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余談的執筆(フランス風、フランス的なものとは? バッハのイギリス組曲の想定音律など) [最適音律を見極める基準(仮説)]

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今日こそは修正を最小にして昼寝するぞ(汗)

ルセの弾くラモー(「ニ調」)を聴きながらこれを書いている。
http://www.youtube.com/watch?v=m-XLNzNweoI


 フランスバロックの鍵盤組曲の(音律的な側面から考えた)最大の特徴といえば、まずは、
(1) 一つの組曲で、相互に主音が同じ長調曲と短調曲の両方を入れるケースが、極めて多いないし一般的である、ということではなかろうか。つまり、フランスバロック鍵盤組曲では、第1組曲は二短調、第2組曲はイ短調・・・というのではなく、第1組曲は「二調」、第2組曲は「イ調」などと分類される場合が多い。
 さらには、フランスバロックの鍵盤曲は、
(2) 1曲の中に主音が同じ長調和音と短調和音の両方を入れている曲が多い。
 上記(1)(2)も、音律研究の上で重要な考慮要素になると考えられる。例えば現在分析しているフローベルガーの組曲集は、(1)は当てはまらないが(御存じの通り、他のドイツ人作曲家の鍵盤楽器組曲も同様であろう)、(2)の傾向が見受けられる曲が結構ある。

 さらに余談。バッハの鍵盤楽器曲の解説本で、「イギリス組曲はフランス組曲よりもフランス的である」旨の説明(くだり)を読んだことがある。未だにこの意味が良く分からないのだが、上記(1)の観点で見ると、イギリス組曲の方が各組曲の所謂「トリオ」の舞曲で同主張転調の書法を使っている(対してフランス組曲ではこれがない)ので、この点で「よりフランス的」と言っているのか?とも思ったりのするのだが、実際どうなのだろうか。

 ただ、私的には、音律的アプローチからすると、イギリス組曲は、上記「トリオ」の舞曲で同主張転調の書法を使っているからこそ、フランス組曲よりもより大人しい調性選択なのではないだろうか? と感じている。 例えばフランス組曲第3番ロ短調や第4番変ホ長調で同主調転調曲を書くと「ロ長調」や「変ホ短調」になるが、これだと響き的に非常に厳しいだろう(但し、フランス風序曲やあまり知られていない「組曲変ホ長調」ではこれに挑戦している。流石はバッハ!)。さらには、イギリス組曲第4番ヘ長調のトリオ舞曲(メヌエット)は、同主調の「ヘ短調」ではなく並行調の「ニ短調」である。他の組曲(1番イ長調、2番イ短調、3番ト短調、5番ホ短調、6番ニ短調)ではトリオ舞曲で同主調転調させているのに、これだけ同主調転調させていないのは、明らかに「想定音律のヘ短調だと響き的に厳しいから」であろう(4番の全体的に明るい曲想と対比させるのは不似合いというのはとりあえず無視(笑))。
 というわけで、私としては、イギリス組曲の方がフランス組曲に比べ、想定音律がより純正MTに近い音律ではないか、と予想している。

あぁ、昼休みが終わる、、、やはり今回も昼寝できなかった(泣)


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glennmie

おもしろいですね。
私も、「Bachのフランス組曲とイギリス組曲は、(Bachが命名したわけではないけれど)当初とは呼び名が入れ違ってしまったんだ」と聞いたことがありますよ。
その時もどういうことかわからなかったんですけど。
by glennmie (2012-05-12 03:45) 

koten

glennmieさん、nice&コメントありがとうございます。
( ^_^)o旦~~ ♪

>当初とは呼び名が入れ違ってしまった
・・・これは更に凄いですね(汗)、、、ううん、何だろう、ここまで来ると何か「闇の勢力による情報操作」では? という印象さえ生じて来ましたよ(爆)。


by koten (2012-05-13 08:19) 

koten

自分用メモ:
フロベル2番d-mollのクラヴィコードによる生演奏

http://www.youtube.com/watch?v=oVJTxtrib4o

いやぁ本当、こういうの聴いちゃうとクラヴィコードが欲しくなるなぁ。
by koten (2012-05-14 12:34) 

koten

自分メモその2:
バッハのブランデン5番第1楽章も真っ青(笑)なヘンデル声楽曲のチェンバロ伴奏音源を発見(「HANDEL CRAZY HARPSICHORD!!! 」と題されたyoutube音源)
http://www.youtube.com/watch?v=NZP-W-fZ-aY&feature=related
by koten (2012-05-16 12:50) 

REIKO

>「イギリス組曲はフランス組曲よりもフランス的である」旨の説明(くだり)を読んだことがある。未だにこの意味が良く分からないのだが

手持ちのCD二種の解説も、どちらも最初にそのように書いてありました。
具体的な理由は、「プレリュードが付いている」「ドゥーブルのつく楽章がいくつかある」「過剰な修飾音で彩られるサラバンド」・・・だそうです。
なのに何故「イギリス組曲」なのかというと、「あるイギリス人のために作曲」というクリスチャン・バッハのメモの裏付として、伝承している筆写譜のほとんどが、「高音部ヴァイオリン記号(=ト音記号)、低音部バス記号」という当時の「イギリス式音部記号」で書かれているからとのこと。
(当時ドイツでは、鍵盤曲はソプラノ記号とバス記号で記譜していた ─── バッハも当然これが普通だった)
⇒このことは、ウィーン原典版「イギリス組曲」の「まえがき」に詳しいです。
つまり(注文主?の)イギリス人用に、慣れないイギリス式音部記号で楽譜を書いたと想定されるわけです。
そこまでやってるなら音律も、まだイギリスでは主流だった?ミーントーンに配慮している可能性がありますね。
純粋なミーントーンでなくても、そこからちょっとだけいじれば何とか弾けるとか・・・。
このイギリス組曲って、「ヘンデルのウルフ回し&分割+スカルラッティ式の代用もアリ」で何とかなりそうな気がしませんか?
曲調的にはミーントーンだと思うんですよ・・・

>バッハのブランデン5番第1楽章も真っ青(笑)なヘンデル

そう言われてみると、良く似たフレーズがありますね。
この箇所は「リナルド」上演時、ヘンデルが即興でチェンバロ・ソロをやったそうなので、CDによって演奏が違うんですよ。
この録音持ってますが、それ以前に聴いていたホグウッド盤よりものすごくソロが長いので、「一体いつまで弾いてんだぁ??」と呆れたおぼえがあります。(終わらないのでは?と思った)
大サービス盤ですね。

★ルセのルイクー買いました・・・音律の明記はないですが、たぶんミーントーンだと思います。
従って、「パヴァーヌ嬰ヘ短調」は相当壊れてますが、この曲は、これでいいと思いますね。
後半、ちょっとだけ出てくる長調の下降フレーズが、天から降ってくる光のようで美しいです。
これまで持っていたルイクーCD三枚のうち、一枚はミーントーンもう一枚は修正ミーントーンと書いてありました。
しかし前者は「壊れ具合」を気にしてか、パヴァーヌ嬰ヘ短調は繰り返しを省略、4分未満で終わっているので物足りません。
ルセはちゃんと前後半ともに繰り返して、しかもこの曲を二枚組の掉尾に置いています。
さすが「分かってるヤツ」は違う・・・ということですね♪
by REIKO (2012-05-17 05:19) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。
( ^_^)o旦~~ ♪

>具体的な理由は、「プレリュードが付いている」「ドゥーブルのつく楽章がいくつかある」「過剰な修飾音で彩られるサラバンド」
・・・ううむ、そうですか。でもこの理由だと正直なんかピンと来ないですよね。「プレリュード」は実に骨太で堂々としていてフランス風序曲的な要素が感じられないし、ドゥーブルなら(今調べている)フローベルガー(独)の組曲にだって幾つもあるし。サラバンドについてはそれなりに納得ですが、サラバンドは元々スペイン発祥だしなぁ(汗)。

>「あるイギリス人のために作曲」
 これは聞いた(読んだ)ことありますね。クリスチャン・バッハのメモというのは初耳でした。

>まだイギリスでは主流だった?
 英国って後の「ピアノ」にまで「分割黒鍵」を付けてた国じゃないですか。なので、当然ミーントーンは主流だったはずですよ。参照サイト
http://www.symphonic-net.com/schonfeld/cgi-bin/lec/diary.cgi?no=24
 私見ですが、英国をこんな風に「分割黒鍵」国に調教(笑)したのって、どう考えても(英国に骨を埋めた)ヘンデルの影響だと思うのですが、、さてさて真実やいかに。英国でヘンデルの後継者となったクリスチャン・バッハがどうだったのか、も興味津々ですね。

>ちょっとだけいじれば何とか弾ける
 第1番以外はそうだろうと踏んでます。イ長調の1番が曲者ですよね。イギリスのこの頃の「分割黒鍵事情」を知りたいですね。(ぼそぼそ・・闇の勢力にとっての「不都合な真実」情報(笑)ならばアセンション達成までは表に出てこないでしょうけど。)

>「ヘンデルのウルフ回し&分割+スカルラッティ式の代用もアリ」
 で、第1番はこれでしょうかね。ヘンデルも自組曲第1番にイ長調を持ってきたことを踏まえると、、、もしかすると、「英国ではウルフ回しが当たり前だった」ってことは考えられないですかね? 事実だとしたらこれまた大発見!! でも本当、後の時代のピアノにまで分割黒鍵付けていたんだから、これは全く「自然な説」のように思えてしまう私(笑)。
 前の時代のパーセルも、鍵盤曲ではイ長調曲だけ、彼にしては「やたら長大」な作品を作っているんですよね・・これも何か意味深

>曲調的にはミーントーンだと思うんですよ・・・
 私的にはWTCでさえもミーントーンベースだと思う今日この頃なので、当然ミーントーン支持です。
 未だ具体的に検証していないので妄想度大かもしれませんが、先輩のフィッシャー(1656~1746 )が20の調のプレリュード&フーガを書いて、その音律がもしかしたら白鍵が1/4s.c.ミーントーンのままで、それを研究したバッハが、24調弾くために白鍵の内F音だけずらした音律を考案したって可能性があるな、と踏んでます。


>この箇所は「リナルド」上演時、ヘンデルが即興でチェンバロ・ソロをやったそうなので、CDによって演奏が違う
>この録音持ってます
・・流石はヘンデルファン。脱帽です(笑)。

>ルセ
・・私もCD棚あさっていたら、かなり前に買ったルセのフロベルCDが出て来たので、昨晩ipod録音しました。帰りの通勤で聴きます。

>「パヴァーヌ嬰ヘ短調」~これでいい
 まだ聴いてないので何とも言えませんが、その気持ち分かります。
 ちなみに「古楽の音律(春秋社)」では、ルイはこの曲を「17世紀フランス音律を修正して弾いていたに違いない」旨の説が紹介されてますが、その説の人、耳が可成り12ETに毒されているなぁと思いますね(笑)。

>「分かってるヤツ」は違う
 激同です(笑)。



by koten (2012-05-18 12:36) 

REIKO

>「プレリュード」は実に骨太で堂々としていてフランス風序曲的な要素が感じられないし

そうですね、実際はイタリア協奏様式の影響が大きいとされています。
で、ウイーン原典版の解説によれば、もし「英国人の注文主」が本当にいたとすれば、その人がプレリュードの様式や(フランス風にはしないでくれ、とか)、音部記号はイギリス式に・・・など具体的な注文をつけたことも考えられるそうです。

>ヘンデルも自組曲第1番にイ長調を持ってきた

あ、そういえば同じですね・・・
イ長調⇒定石でホ長調に転調⇒ホ長調属和音でウルフ長三度崩壊・・・になるので、ミーントーンなら最低でもdis型になってないと厳しいですね。
ルセのルイクーと一緒に、マッテゾンのチェンバロ組曲のCDも買ったんですが、この曲集は1714年にロンドンで出版されています。
中に変ホ長調の組曲もあって、奏者は不等分律で演奏してるようですが、中途ハンパに歪んでいてあまりきれいじゃないです・・・
ルイクーの嬰ヘ短調パヴァーヌは、単独曲なんですよね?
(単に伝承してないだけかもしれませんが、他に同調で組み合わせる曲がないようだ)
単発の曲なら曲調によっては歪んでもいいのですが、組曲全体が歪みっぱなしってのは、やはり変だと思います。

ルセのルイクーパヴァーヌここにありました↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=sgwGVuq0aa4
(今来日してるんですよね、ルセ♪)
by REIKO (2012-05-20 17:23) 

koten

REIKOさん、いらっしゃいませ~((( ^_^)且~~ ササ、お茶 でも

>もし「英国人の注文主」が本当にいたとすれば、その人がプレリュードの様式や(フランス風にはしないでくれ、とか)、音部記号はイギリス式に・・・など具体的な注文をつけたことも考えられる
・・・なるほど、面白いですね。当時はそういう具体的な仕様のオーダーメイドを要求する「注文の多い金持ち」が結構いたということですかね。当時でもお金持っている人は桁違いに持ってたでしょうしね(笑)。

 ヘンデル音源については先ほどコメントしましたが、これ本当良いですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=wMoWzAheFeE&feature=relmfu
 少なくとも私が聴いたヘンデル演奏の中では間違いなく一番(最も良い響き)ですわ。即興的なオカズ入れ(笑)の芸も冴えてるし。

>ルイクーの嬰ヘ短調パヴァーヌは、単独曲なんですよね?
 そうです。古楽界で最も使われている(であろう)D.モロニー編纂のEDITIONS DE L’OISEAU-LYREの楽譜では、唯一の嬰ヘ短調曲として載ってます(120番目)。この楽譜、解説が実にていねいで、第20頁には何と調律のことまで解説されていますね。これは有る意味快挙かも。英文なので、可成りじっくりと精読する必要ありそうです。

今、ルセのルイクーパヴァーヌ音源聴きながら書いてます。やっぱルセは良いですねえ(しみじみ)。
予想通り、1:36当たりの和音(C♯コード)の響きは厳しいですね。ただ、この程度ならもう慣れましたけど(笑)。

 ルイが作曲した「パヴァーヌ」自体、この曲が唯一のようですよね。なので、この「パヴァーヌ」という曲に例えば「誰かへの追悼」のような何かしら特別の意味を込めている場合は、トンボーなどと同じように悲痛の感情を込めるために厳しい響きを織り交ぜるということは考えられますよね。(「パヴァーヌ」というと、「涙のパヴァーヌ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」などのように、美しい響きの曲をつい連想してしまうので、それが盲点になっていることが考えられるかと。)

by koten (2012-05-20 23:39) 

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