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最適音律を見極める基準(仮説) ブログトップ

わかった、わかって来たぞ!! 純正律を見つける方法(ルネサンス音楽など);補足修正あり [最適音律を見極める基準(仮説)]

  まずは狭き門より入れ・・・「狭き門」=「純正律」?
   →音律業界的には、「まずは純正律から調べろ!」(笑)


  想定音律発掘マニュアル:純正律編

①曲を選ぶ

②音名またはⅠⅡⅢ・・または階名を書き込んだ五度圏音律表(以下チェック表)を用意する。
 →楽譜の余白に書き込むと良い。後々まで役に立つ。

③その曲の「ルート音」を選定する。
  ※普通はいわゆる基音(例:n短調だったらn音)」が該当する。
   但し、移動階名音での「ラ」音が22セント高い「ヨーロッパ音階」又はその「近似形」を採用している場合がある!!!
   これは、ルネサンス音楽に多そうな感触あり。 旋律の(凸凹の)違和感を感じなくなるメリットあり!
   この場合は、(ラを22セント上げるのでシントニックコンマが右に一つ(つまり「レラ」から「ラミ」に)ずれることになり、)電子楽器で言えば所謂C基準ではなく「G」基準になる!!! (そうか、そうだったのか。)
     そのため、この「G基準」型(またはヨーロッパ音階型)の場合は、Ⅱが禁則にならなくなるのである!(←超超これはっ!!!)
     その代わり、Ⅵの五度(ハ長調ならばAE)が禁則になるので、この五度和音の使用が控えめになったり「装飾音」が付けられたりする。
     なお、純然たるヨーロッパ音階の場合は、ラの音「だけ」上げるので、Ⅳの五度(ハ長調だったらFC)は純正で長三度(FA)は「ピタゴラス長三度」となる。ケプラー純正律がこのタイプであり、Fから右回りに4つの純正五度が連鎖する。(純正律では、純正五度「3つ」連鎖型が普通であり、ピタゴラス長三度の発生を許してしまう純正五度「4つ」連鎖型は、いわば「イレギュラー」型と言えるのではないか。)
     これに対して、上述した「G基準」型は、通常の純正五度「3つ」連鎖型の純正律を一つ右に回転させるため、上述したⅥ(同上AE)のみならず、Ⅳ(同前FC)の五度も22セント狭い「禁則」になる。
     従って、「ヨーロッパ音階」型か? or「G基準型」か? の判別は、Ⅳの3和音(ハ長調ならFAC)につき専ら「五度重視」か?or 「三度重視」か? により行う。(ルネサンスやバロックでは、通常ピタゴラス長三度は嫌われるので、それも考慮する)

   →そして、この「G基準型」の正に典型例が、先日話題にしたW.バードの「The Bells」である。C調の曲でありながらいきなりⅡ(Dm)の和音が登場するが、これはそういうことだったのである(やっと分かった!)。
     (→あれれれ、そうすると、まさかヘンデルも、とか?? ともあれ、いきなりⅡを最初から堂々と使っている曲については、「G基準型」(次いで「ヨーロッパ音階型」)を疑ってみる必要あり!) 

  ※以上、長々と書いたが、この「G基準」型(謂わばⅤルート型、属音ルート型)は、主要3和音(Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ)の内のⅣの五度がいわば「破綻」してしまうものであるがために、「盲点」になりやすいのである。 しかしながら、これが如何にも「実用音律」らしいところでもあり、昔の人はこのような柔軟な発想で音楽を楽しんでいたのである。(あぁ何と深いのであろうか音律の世界!)   

④使用されている三和音をチェックしてチェック表に書き込んで行く。
 方法:まずは5度!! ○を書き込む。◎や三重○とかどんどん重ねて書き込むと、「統計値」が分かる(多数決時に役立つ)

⑤(音階構成音での)使われていない5度、使用頻度の(著しく)低い5度、をチェックする。
 →曲を隅々まで全部調べなくても、普通は調査途中で判明する(気づく)はず。(但し、派生音については⑦の作業で使用音全て(つまり曲を隅々まで)調べることになる。)

⑥その5度が禁則位置に来るような(純正律(系)の)音律を探す(ないし自作する)。

⑦最終的には、その曲で使われている派生音まで全てチェックし、使用されている派生音(♯音or♭音)に合わせるように音律を完成させる(異名同音がある場合は、多数決、中間値に修正などが考えられる)。

その他:2部形式の曲は後半のチェックを入念にすると良い(勝負和音が多いから)

 とりあえずこんなところで。


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余談的執筆(フランス風、フランス的なものとは? バッハのイギリス組曲の想定音律など) [最適音律を見極める基準(仮説)]

今日こそは修正を最小にして昼寝するぞ(汗)

ルセの弾くラモー(「ニ調」)を聴きながらこれを書いている。
http://www.youtube.com/watch?v=m-XLNzNweoI


 フランスバロックの鍵盤組曲の(音律的な側面から考えた)最大の特徴といえば、まずは、
(1) 一つの組曲で、相互に主音が同じ長調曲と短調曲の両方を入れるケースが、極めて多いないし一般的である、ということではなかろうか。つまり、フランスバロック鍵盤組曲では、第1組曲は二短調、第2組曲はイ短調・・・というのではなく、第1組曲は「二調」、第2組曲は「イ調」などと分類される場合が多い。
 さらには、フランスバロックの鍵盤曲は、
(2) 1曲の中に主音が同じ長調和音と短調和音の両方を入れている曲が多い。
 上記(1)(2)も、音律研究の上で重要な考慮要素になると考えられる。例えば現在分析しているフローベルガーの組曲集は、(1)は当てはまらないが(御存じの通り、他のドイツ人作曲家の鍵盤楽器組曲も同様であろう)、(2)の傾向が見受けられる曲が結構ある。

 さらに余談。バッハの鍵盤楽器曲の解説本で、「イギリス組曲はフランス組曲よりもフランス的である」旨の説明(くだり)を読んだことがある。未だにこの意味が良く分からないのだが、上記(1)の観点で見ると、イギリス組曲の方が各組曲の所謂「トリオ」の舞曲で同主張転調の書法を使っている(対してフランス組曲ではこれがない)ので、この点で「よりフランス的」と言っているのか?とも思ったりのするのだが、実際どうなのだろうか。

 ただ、私的には、音律的アプローチからすると、イギリス組曲は、上記「トリオ」の舞曲で同主張転調の書法を使っているからこそ、フランス組曲よりもより大人しい調性選択なのではないだろうか? と感じている。 例えばフランス組曲第3番ロ短調や第4番変ホ長調で同主調転調曲を書くと「ロ長調」や「変ホ短調」になるが、これだと響き的に非常に厳しいだろう(但し、フランス風序曲やあまり知られていない「組曲変ホ長調」ではこれに挑戦している。流石はバッハ!)。さらには、イギリス組曲第4番ヘ長調のトリオ舞曲(メヌエット)は、同主調の「ヘ短調」ではなく並行調の「ニ短調」である。他の組曲(1番イ長調、2番イ短調、3番ト短調、5番ホ短調、6番ニ短調)ではトリオ舞曲で同主調転調させているのに、これだけ同主調転調させていないのは、明らかに「想定音律のヘ短調だと響き的に厳しいから」であろう(4番の全体的に明るい曲想と対比させるのは不似合いというのはとりあえず無視(笑))。
 というわけで、私としては、イギリス組曲の方がフランス組曲に比べ、想定音律がより純正MTに近い音律ではないか、と予想している。

あぁ、昼休みが終わる、、、やはり今回も昼寝できなかった(泣)


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その4,フロベル想定音律の割り出し(重要情報満載?(笑)) [最適音律を見極める基準(仮説)]

いやぁ、流石に木曜日は辛いっすね(泣)

(本題続き)
 メジャー作曲家、特に国際的に活躍した作曲家(フレスコバルディ等)はフランスの音律を当然知っていたと考えられる。なので、例えば、フレスコバルディの「フランス風(フランス様式による?)カンツォーニ(1645年)」は、当時のフランスの音律が適用できる可能性が考えられるが、楽譜がないため要購入か(←フレスコバルディの楽譜は結構高い(泣))。


(音律割り出しの名人?)ルセによるルイ・クープラン演奏の続編
L. Couperin - Suite en la mineur - C. Rousset
http://www.youtube.com/watch?v=DuoMpty9I2I
この組曲イ短調は、
- Prélude à l'imitation de Mr Froberger
- Allemande l'amiable
- Courante La Mignone
- Sarabande
- La Piémontoise
 とあるように、最初は「フローベルガーを模した前奏曲」となっている。フローベルガーが好んで使った同音(高速)連打(30秒台)の他に、何が真似されているのかは私的には謎だ(汗)。このルセの演奏録音が、「フローベルガーが(好んで)使った調律」だったら良いのだが、世の中そんなに甘くないかも知れない(笑)。

ちなみに、白鍵がミーントーンになるフランスの音律の
F-①-B♭(A♯)-②-E♭(D♯)-③-G♯(A♭)-④-C♯-⑤-F♯-⑥-B(H)
の6つの5度の間隔(純正5度からのズレ)は、

17世紀フランス(ルイ・クープランの頃)
ラモー(情報源は「古楽の音律(春秋社)」)
クープラン(REIKOさん割り出しによる)
の順で書くと(単位セント、Mはミーントーン5度(-5.5)、◎は純正5度)、
①+5②+5③+15.5④M⑤M⑥M
①+8②+8③-7   ④◎⑤◎⑥◎
①+5②+5③-1   ④◎⑤◎⑥◎
となる。
 つまり、フランスバロックの前期と後期とでは音律構造が大きく異なり、特に、G♯(A♭)の位置、言い換えると、ホ長調のⅠの和音(ホ短調のピカルディ終止和音)の「長3度の純正度」が全く異なっていることが分かる。

ルセの弾くフランソワ・クープラン
http://www.youtube.com/watch?v=dsMSVI6ykLg
2曲目が神秘的なヴァリケート(変ロ長調、A♭音あり)である。

 とりあえず今日はこんなところで(疲れが溜まっているので以下昼寝(笑))

 


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続きその3、フロベル音律解析 [最適音律を見極める基準(仮説)]

(続き) 

余談:ネットでは「韓国の主要銀行の崩壊&取り付け騒動」が話題になっているが、マスコミは相変わらず隠蔽体質のようである(下記井口氏のブログ参照)。
http://quasimoto.exblog.jp/17938664/
ブログ「ハートの贈りもの」さんでも「日本のプルトニウムは、やはり核兵器製造目的だった!―その歴史とからくり」他、様々なニュースが記事になっている。これは必見かも。
http://blog.goo.ne.jp/narudekon/e/ccdad865d5a9f2cf959efca08eb662ad

(ぼそぼそ・・・当ブログが陰謀暴露系記事一色に染まるのも時間の問題か?(爆))


では本題

------今日のメモ----------------------
 前に引用した参照サイトによれば、フローベルガーの組曲で、最初の6曲は1649年、次の6曲が1656年とのことなので、ルイ・クープランと出会った1652年を挟んだ上記各6曲間で「想定調律が違う可能性」もあり得るか。
 ルセが弾くルイ・クープラン(ヘ長調組曲、シャコンヌとトンボーあり)
http://www.youtube.com/watch?v=CmI-mxLSmng&feature=related
 同、ト短調組曲、パッサカリアあり
http://www.youtube.com/watch?v=zJ54JHro6A8

自分用、ルセの検索用ワード
Rousset L. Couperin

 (ルセの調律は色々と参考になりそうだ。ルセのCDはamazonなどで軒並み入手し難くなっている。(優れた調律のCDがあっという間に売り切れる)現代社会では、そういう入手困難CDの方が「本物の調律」の可能性が高いことは今更言うまでもない・・・「余談」と上手く繋がったでしょ?(笑))

------楽譜解析中更新メモ(作業中)----------------------
 組曲番号:調性等 :使用される黒鍵音とメモ(非音階音の白鍵は( )書き)
 第1組曲:イ短調①:G♯、F♯、D♯、C♯(♭音やA♯は不使用)、初っぱなからフローベルガーお得意の「同音反復音形」が出現
 第2組曲:ニ短調①:B♭、C♯、F♯、G♯
 第3組曲:ト長調①:F♯、(F)、C♯、G♯
 第4組曲:ヘ長調①:(H)、B♭、F♯、E♭(←低くてもよさそう)
 第5組曲:ハ長調①:F♯、B♭、C♯、G♯
 第6組曲:ト長調②:F♯、D♯、G♯、C♯、B♭、E♭、変奏曲でdisとEsを混用している。但しdisベース

 第7組曲:ホ短調①:F♯、C♯、D♯、G♯、A♯←ここで初めてAisが出てきた!

--------

時間切れ! また明日でも


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続・適宜更新/補遺編:フローベルガーの組曲の音律を何とかして解明できないものか、その2 [最適音律を見極める基準(仮説)]

(続き)
フローベルガーの組曲の音律について考えてみる。

------(楽譜解析中メモ(未だ途中段階))----------------------

 第1組曲:イ短調①:dis使用(♭音なし)
 第2組曲:ニ短調①:gisまで使う
 第3組曲:ト長調①
 第4組曲:ヘ長調①:Es使用(低くてもよさそう)
 第5組曲:ハ長調①
 第6組曲:ト長調②:変奏曲でdisとEsを混用している。但しdis指向
 第7組曲:ホ短調①:ここで初めてAisが出てきた!
 第8組曲:イ長調①【唯一】
 第9組曲:ト短調①:ここで初めてAs(A♭)が出てきた!(但し「増1度」的?)
第10組曲:イ短調②
第11組曲:ニ長調①
第12組曲:ハ長調②
第13組曲:ニ短調②
第14組曲:ト短調②:As(A♭)あり、cisとdesを混用している。
第15組曲:イ短調③
第16組曲:ト長調③
第17組曲:ヘ長調②
第18組曲:ト短調③
第19組曲:ハ短調①【唯一】 fisとgesを混用している。
第20組曲:ニ長調②
第21組曲:ヘ長調③
第22組曲:ホ短調②
第23組曲:ホ短調③
第24組曲:ニ長調③
第25組曲:ニ短調③
第26組曲:ロ短調①【唯一】
第27組曲:ホ短調④
第28組曲:イ短調④
第29組曲:イ短調⑤
第30組曲:イ短調⑥
-------(以上、適宜更新)----------------------------------

【概略内訳】 : 短調が6+4+3+3+1+1=18/長調が3+3+3+2+1=12
【詳細内訳(多い順から)】 : 6つのイ短調、4つのホ短調、ト調(長/短)とニ調(長/短)とヘ長調が3つずつ(合計15)、2つのハ長調、唯一のイ長調、ハ短調、ロ短調)

【作曲対象外】:♯系長調→ホ長調(以降)、♯系短調→嬰へ短調(以降)、♭系長調→変ロ長調(以降)、♭系短調→へ短調(以降))

 以上から分かること⇒フローベルガーは、短調指向(イ短調偏愛)、♯系指向
  (※ラモーもクラヴサン曲ではイ短調偏愛である)

  フローベルガー(1616-1667)は、ルイ・クープラン(1626-1661)との交流があったので(出会いが1652年頃といわれている)、その影響もありそう。 但し、ルイ・クープランの方が作曲調性が広い(変ロ長調や嬰ヘ短調曲も作曲している)。なので、まずはルイ・クープランが使っていた音律(17世紀フランス、最大ウルフが+15.5セント)を試してみて、次にそれをもっと大胆に調整する試みを行うのが王道(または早道)か?

 想定音律模索の視点として、フローベルガーが「イ短調で最も美しいと感じていた音律」、ホ長調や変ロ長調(短調ではヘや嬰ヘ)では作曲する気力が起きない(笑)ような音律、(その他:ハ短調やロ短調やイ長調は「我慢の限界値的な響き」がある(?)音律か)

ルセのトッカータ9番(ハ長調)の終盤や組曲19番(ハ短調)を聴いて感じたが、これは「可成り面白い調律」だw
http://www.youtube.com/watch?v=gE70LdMmgqg&feature=autoplay&list=PL440B2B7D46E17A01&playnext=1

 今日はこんなところで。 


 


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(適宜更新)GW企画補遺編:フローベルガーの組曲の音律を何とかして解明できないものか [最適音律を見極める基準(仮説)]

(昼休みのつぶやき)

その後の調査により、フローベルガーの鍵盤楽器のための「組曲」は、現在知られている限りでは30あるようだ(下記サイト参照)。
http://www.cembalo.com/discography/disc11_3.htm

つまり、前の記事で載せた下記28の組曲の他に、2つのイ短調組曲(29,30番)があることが確認された。

フローベルガーの組曲032.JPG

(参照サイトはwikiの「フローベルガー」からリンクされているIMSLPの楽譜サイト)

で、ざっと調性を調べてみたところ、ホ短調がらみで、以下の点が非常に気になった。

現段階での最大の疑問点:
 フローベルガーは、ホ短調の組曲を作曲した、しかもⅤ(B)の和音やⅤ(B)-Ⅰ(E)終止法は当然のように使っていたのに、何故にホ「長」調の組曲は作曲しなかったのか??

(派生疑問点:鍵盤楽器用のホ長調組曲を一番最初に作ったのは誰か? さらには、オルガン用のホ長調曲を一番最初に作ったのは誰か?(ホ長調のオルガン曲は、バッハですら作っていないはず))
⇒もしかして、主和音が純正3度にならない長調は作曲対象外????
 ⇒手持ちCDのホ短調組曲を聴いてみる⇒ピカルディ3度の終止和音(E)が、何か濁ってる感じ。

 ううん、これはもっと深く研究しないと気が済まなくなってきた(汗)。

 というわけで、この問題について、もう少し研究したいと思う今日この頃。

ちなみに、下記yotubeサイト(の投稿者)は、チェンバロ音源を滅茶苦茶沢山upしてくれているので非常に嬉しい。

http://www.youtube.com/watch?v=ezruj3cHNaw&feature=relmfu

で、上記ト短調組曲を聴いてみるに、どうもB♭音も修正されている印象を受ける。

フローベルガーは、♯系長調はホ長調(以降)、♯系短調は嬰へ短調(以降)、♭系長調は変ロ長調(以降)、♭系短調はへ短調(以降)の組曲を作曲しておらず、調性選択が割と狭いので、想定音律を割り出すのが比較的容易ではないか、との印象を受ける。というか、古楽演奏家のトップは既に割り出して(ないし「突き止めて」)いるはずである。 もしかしたら当時のフランスの音律がヒントになるかもしれないと思ったりもする。

 あぁ、昼休みが終わる。とりあえずこんなところで。

 

 


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さらに5/10補足:難題に挑戦!? イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律に関する研究論序説 [最適音律を見極める基準(仮説)]

 あぁ、GWが終わってしまう(泣)
 今年のGWは家族で「苺狩り」に行って私だけお腹を壊したりとか色々ありました(汗)。
 一方、GW中の音楽的行事としては、22日に発表する曲を練習して若干録音した程度でしょうかね、、、あと、イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律研究をそろそろはじめようかな、と思い立ち、後述するサイトに投稿したりもしました。

 で、今回のお題が「イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律に関する研究論序説」な訳ですが、いかんせん消灯?時間が迫ってきてじっくり推敲している余裕がありません(泣)。
 以下、レジュメ風に行きます。

 前期バロック(フレスコバルディ、ロッシ、ピッキ等)はとりあえず保留(汗)⇒ミーントーン中心、純正律的な要素がどこまで入るか?論、分割鍵盤論となるだろう、おそらく。

 後期バロック以降
※こんなにいるイタリア鍵盤楽器作曲家の「ドメニコ」人(笑)
D.ツィポーリ(1688年 – 1726年)
D.スカルラッティ(活躍はスペイン、1685-1757年)
D.パラディース(活躍はイギリス(1707年~ 1791年))
D.アルベルティ(1710年前後 - 1740年)
D.チマローザ(1749年 - 1801年)

   VS(?)
イタリア鍵盤楽器作曲家の「非」ドメニコ人
B.ガルッピ(1706年- 1785年)
M.クレメンティー(活躍はイギリス(1752 年 - 1832年))

 で、今回は、ちょうど渦中にある(?)イ長調曲の名曲として、D.パラディースの「クラヴィチェンバロのためのソナタ」第6番イ長調より第2楽章(Allegro)を取り上げてみました。

IMG_5109.jpg
  使用楽譜(ショット版)とおすすめCD(Enrico Baianoのチェンバロ演奏)です。

IMG_5110.jpg
 例によって色塗り楽譜です。

 以下、5種の調律聞き比べ。

その1(調律名を当ててください(笑)、以下同じ)


その2(同上)


その3


その4


その5


 どうでっしゃろ?(汗) その1とその2の違いが直ぐに分かった人は凄いです。その3以降は割と分かりやすいかもですね。ヒントは、ローランドの電子チェンバロ(旧型のc20)での演奏なので、一般的な古典調律しか入っていないこと、調律替えが出来ること、などです。さらなるヒントは、ミーントーンの演奏が3つあり、内2つは調律替えを使ってます。12平均律は勿論ないです(笑)。

 解答と解説は下記サイトに載せておきました(下記サイト中の演奏順序通りです。)
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=7406

解説の再掲:イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の「想定音律」を探り当てるのは非常に難易度が高いと感じます。特に、パラディースは音楽史的には2つの時代(スカルラッティなどのバロック、C.P.E.バッハ、モーツァルトやハイドンなどの古典派)を生きていることもあってか、調律に対する「懐の広さ」のようなものを感じます。当時のイタリアでは、分割黒鍵をもったチェンバロが18世紀の中頃に流行らなくなり(「古楽の音律(東川清一編、春秋社)」第184頁参照)、その後、ヴァロッティ考案による音律(1/6分割法)がタルティーニにより称賛されていること(同書第160頁参照)、などにより、この頃の鍵盤楽器の調律問題は一層複雑になっているように感じます。イタリア人の鍵盤楽器曲作曲家の中ではドメニコ・アルベルティ(Domenico Alberti, 1710年前後 - 1740年)などの作品が比較的個性が強いので、このあたりから研究すべきか、とも考えられますね。

 
その他メモ:
スカルラッティの初期作品はミーントーンベースか?
中期作品(カークパトリック(K)番号3桁くらい)以降、調律の使い分けが始まる?
晩年は再びシンプルな音律にもどっている?

 それでは、みなさま明日からまた仕事頑張りましょう・・・頑張れニッポン!!


5月9日(月)夜追記:

ドメニコ・パラディースのチェンバロソナタの楽譜は、現在一部ですがIMSLPのサイトで入手可能です。
http://imslp.org/wiki/Category:Paradies,_Pietro_Domenico

KBⅡの(約11セント狭い)5度に慣れてくると、ウェルクマイスターの(6セント狭い)5度に違和感が無くなって来る(≒昔は耳障りだったあの6セント狭い5度が「許せる」方向に自分の感覚が次第に変容する)ような気がするのは私だけでしょうか(汗)・・・何か、ヴェルクマイスター(第一技法第三番)って、(少なくとも)イ長調の曲には非常に相性が良いのではないか、とも感じてしまう今日この頃です・・・うぅん、人間変われば変わるものだなぁ(汗)。

5/10昼追記:
 schott版の楽譜解説では、(オペラやカンタータの作曲家として成功しなかった)パラディースは、「1746年にロンドンに移住した」って書いてありますね。『ミーントーンの国』イギリスです。
 で、パラディースは、この曲集を1754年に出版して真の名声を勝ち得た(頻繁に再版された)けれども、生活は不安定だったようで、財政難により手稿譜を売却し1770年にイタリアに戻った、とのこと(その後1791年8月25日にヴェニスで没)。
 なので、この曲集は、「英国人の趣向(ミーントーン)を(も)意識して作曲された」と考えて良さそうですね。



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「最適」音律、「想定」音律、「社会的」音律、、、(昼休みつぶやきシリーズ) [最適音律を見極める基準(仮説)]

 最近の記事やコメントでは「最適」音律と「想定」音律を混在して使っているような感があるが、両者の用語を区別して使うべきかな、とも感じる今日この頃。

 つまり、定義としては、
 「想定」音律というのは、作曲家が「○○律」で演奏することを前提として曲Aを作曲した場合のその「○○律」ってことで、
 一方、
 「最適」音律というのは、上記曲Aを演奏するのに最も適していると思われる(ないし感じられる)音律ってことですよね。
 
 言い換えると、「想定」音律は客観的なものであり、一方、
 「最適」音律は、主観(特に判断する人の「価値基準」、「体内音律」さらにはそれらの「引き出し」の多さ)や教養や予備知識等に影響される可能性が大ですよね。

 なので、「想定」音律と「最適」音律が食い違う場合が起こり得る訳ですよ。
 一番ありそうなのが「トンボー(~の墓)」とかじゃないですかね。この形式?の曲は、作曲家が~の死を弔うために、「わざと不協和音が多い調を使って書いた(ものが多い)」とか、そういう説があり、平成23年2月16日現在の私もその説を支持してます。
 で、「最適」音律の価値基準を「最も美しく響く音律を選ぶべき」としてしまうと、「想定」音律と全く正反対な結果が出てしまうことになりますよね。
 この延長線上にあるのが、ミーントーンなどの所謂「調律替え」論ですよね。

 あと、「社会的」音律、「個人的」音律という概念があるらしいです。これは以前にとある上の方とメールで情報交換した際に教えていただきました。
 要するに、昔のヨーロッパでは、一般人が礼拝等のために出入りする教会に設置されているオルガンの音律(一般には「ミーントーン」ですよね)が「社会的」音律になる。 それに対して、チェンバロなどでは個人が自分の好きな音律を自由に設定できる(誰にも干渉されない、多数決原理は働かない)ので、「個人的」音律になる、と、こういうことだと思われます。

 あ、時間が来てしまった。それではまた m(__)m
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質疑応答シリーズ&ヘンデルのウルフシフトミーントーン論(REIKOさんへのレス) [最適音律を見極める基準(仮説)]

今日のお題:質疑応答シリーズ&ヘンデルのウルフシフトミーントーン論(REIKOさんへのレス)

---論点(というか「妄想ポイント」?)のハイライト------------

ヘンデルは分割鍵盤の「推進ないし復古論者」なのか?
 分割鍵盤の楽器を所持していたことが事実ならば、少なくとも「擁護者」であると言い切って良いだろう。
 (→そもそも分割鍵盤の楽器って、いつ頃廃れたのか?)
 ※最大論点:例えばチェンバロ組曲第5番ホ長調のF♯♯(Fのダブル♯)音とGナチュラル音の使い分けは、単に「筆が滑った(汗)」のか、或いは「確信犯」なのか?


---本題--------

〔まぁや〕:kotenさん、REIKOさんからコメント2つ来てますよ。レスしなくて良いんですか?
【koten】:え? ああ、分かってます。余りにも書きたいことが多すぎて、一体どこからどう答えて良いのやら、迷っているところなんです(汗)。

【イッテツ】:そんなのどこからでも良いじゃん(笑)、書きたいところから書けば良いんだってば。
【koten】:まぁそうなんですけどね・・ほらほら、「流れるような論理展開」とかしたいじゃないですか、あのイタリア音楽やフェラーリ(←スーパーカーです、ちなみに)の曲線美みたいに流麗な感じで・・・要するに「美意識」ですよ、文章の美意識(笑)。

〔まぁや〕:余り格好付けようとしないで(笑)、書きやすいところからレスされては?
【koten】:あ”~じゃあここから行きますか・・・

>★今打ち込んでる「鍛冶屋」で、昨日ウルフをA#-Fにして鳴らしてた
>んですが、これで破綻なく演奏できても、どうも響きのまとまりが悪く、
>「具合の悪い鍛冶屋」みたいなんです・・・(笑)
>このホ長調組曲の他曲を見ると「E#」が出てくるので、もう1つウルフを
>移動させた方がいいのでしょうかね?

 ・・・をーい!(汗)、REIKOさん、私のコメント(12/1付け)良く読んでよ~(笑)

【イッテツ】:お前さん、何コメントしたんだっけ?
【koten】:こう断り書きしたんです。
>次の記事に書きましたように、「ルート音の位置を一つ右側にする」が凄く重要ですので。

〔まぁや〕:えーと、マーヤよく分からないんですけど(汗)、REIKOさんのコメントとどういう関係があるんですか?

【koten】:つまり、ミーントーンって、普通はウルフ(『狼』)位置が「G♯-E♭」ですよね。で、電子楽器やDTMやっている方は詳しいかと思うのですが(←などと書いてプレッシャーを掛ける(爆))、この通常状態では「ルート音がC」な訳です。つまり、ルート音Cのミーントーンは12月2日付けの記事の最初に書いたように、
C--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯-『狼』-E♭--B♭--F--C
 な訳です。分かりやすくするため、ルート音を【】で括ると、
【C】--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯-『狼』-E♭--B♭--F--C
ですよね、ここまでは良いですか?
【イッテツ&まぁや】:合点です(ガッテンガッテン!)。

【koten】:では次、この状態からルート音を右、つまり♯側(ドミナント方向)に一つシフトさせてGに設定します。すると、『狼』も右に一つずれるのは勿論ですが、大事なのは♭音が(42セント低い)「異名の♯音」に変換されるってことですよね。正確に言うと、「『狼』を挟む(右側の)♭音を42セント下げて異名の♯音に替える」からこそ『狼』が右に一つずれるのですが、その言い方だと「有り難み」が薄れるので(笑)、便宜上、しばらく上記の言い方で統一します。で、そうすると、
①C--【G】--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯(←!)-『狼』-B♭--F--C
 になるんでしたよね。これも既に勉強しましたよね、Gルートのミーントーンです。ここまで良いですか?
【イッテツ&まぁや】:合点承知の助!(ガッテンガッテン!)。

【koten】:さらに右に一つずらします。Dルートのミーントーンです。
②C--G--【D】--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯(←!)-『狼』-F--C
 これも前回勉強したので解説不要ですよね?
【イッテツ&まぁや】:合点してます(ガッテンガッテン!)。

【koten】:ではさらに右に一つずらします。Aルートのミーントーンです。
③C--G--D--【A】--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯--E♯(←驚愕!!)-『狼』-C
 これも前回勉強してますよね・・なので解説不要ですよね?
【イッテツ&まぁや】:合点で~す(ガッテンガッテン!)。

【koten】:ここまでで何か気付きませんか?
〔まぁや〕:へ? 何か特別な事したのですか?(汗)
【イッテツ】:ここまでは単に復習してるだけじゃないの?

【koten】:そうです、単なる復習です。では、REIKOさんが実践されたのは、上記の内のどれですか?
〔まぁや〕:ええと・・・REIKOさんは「ウルフをA#-Fにして」って仰ってますね。
【イッテツ】:ああ、そうか、②の「Dルート」のミーントーンだな。

【koten】:そうです、「Dルート」のミーントーン。で、REIKOさんはそれだとイマイチだから、もう一つずらそうと予定されてますよね。
〔まぁや〕:とすると、③の「Aルート」のミーントーンにされようとしてますね!(納得)。
【イッテツ】:あれれ、でもそれって・・・?

【koten】:私はREIKOさんに予め何てコメントしたでしょうか?
【イッテツ&まぁや】:『次の記事に書きましたように、「ルート音の位置を一つ右側にする」が凄く重要ですので。』だな&ですね。

【koten】:そうです、ホ長調組曲で「ルート音の位置を一つ右側にする」ためには、Eルートの一つ右側、つまり「Bルート」にしなければならないのです。「Aルート」では未だ全然駄目なんです、あと2回シフトしないと!

【イッテツ】:「音律界」では、ホ長調の曲をミーントーンで弾くには「Dルート」くらいで十分ってされているよな、一般的には。そこから更に→A→E→Bって3回シフトさせる(つまりノーマルの位置から5つの音を42セントずつ下げて、ウルフの位置を合計5回シフトさせる)なんて、もうこれは「常識外」、「何それ?」、「ありえない!」、「あなた頭オカシイんじゃない!?」って世界じゃね?(汗)
【koten】:そうです、まさにそれ! だから私が単に「調律替え」って言わずに、わざわざ特別に仰々しく、
>「ウルトラ必殺技」となる秘技名『ウルフシフト』
と命名したのもこういう理由からなのです。
 要するに「盲点中の盲点」だからです、普通の発想ではこんなのあり得ないでしょ?
 私だって、ミーントーンのルート音をワンタッチで変換(←まさにウルフ位置の「ワープ」ないし「テレポーテーション」)させることができる電子楽器(ローランドの旧型の電子チェンバロ)があったからこそ、これを発見できたのです(きっぱり!)。正に「ローランド社さん大感謝!」な訳です。そういう経緯があったからこそ、新作電子チェンバロからこの機能が綺麗さっぱり無くなった時は、もう「怒りの頂点」に達したわけですよ(笑)、「あ”~!! これは何の嫌がらせだ!?(怒)」って(爆)。いやもぅ本当に!

〔まぁや〕:仰りたいことは大体分かりましたけど(汗)、では、「Bルート」のミーントーンにすると、どういう音程ワールドになるのでしょうか?

【koten】:あ、すみません、つい熱く語ってしまいました(汗)。「Bルート」に行く前に、復習のために前回学んだ「Eルート」を再掲しておきますね。
④さらに『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「E」にする)と?
G--D--A--【E】--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯--E♯--B♯(←驚愕!!)-『狼』-G
 ⇒さらにCが「B♯」(←!!)に変換される。

【イッテツ】:前回勉強したから、「B♯」音が出てきてもあんまり驚かないんだけどな(笑)
【koten】:いや、一応フリだけでも良いんで驚いていてくださいよ(笑)・・・「Bルート」は更に「目もくらむような凄まじい世界」なんですから(汗)

〔まぁや〕:何だかワクワクしますね(笑)
【koten】:でもま、疲れたのでここで少し休憩ってことで

ーーーーーーーこれより10分間の休憩をいただきますーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・・・・・

ーーーーーーー陰ナレ~休憩終了~ーーーーーーーーーーーーーーーーー

【koten】:じゃあ再開します~
⑤さらに『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「B」にする)と?
A--E--【B】--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯--E♯--B♯-F♯♯(←超驚愕!!)-『狼』-D
 ⇒さらにGが「F♯♯」(←驚!!)に変換される。
 ウルフ位置は「F♯♯-D」間となる。
 となります。分かりますか?

〔まぁや〕:!? 「F♯♯」って? Gと同じ音じゃないんですか?(汗)
【イッテツ】:一瞬誤字かと思ったが、違うみたいだな・・Fのダブルシャープって奴だよな。

【koten】:ええ、そうです、誤字じゃないです。「F♯♯」は「G」より42セント低い音です。つまり、「G-D」だと単に「5.5セント狭い」5度ですが、「F♯♯」は「G」より42セント低いが故に、「F♯♯-D」が36.5セント広いウルフ5度になるって寸法です。
 どうです、だんだん訳わからなくなって来たでしょ?(笑)

〔まぁや〕:♭音が既に完全に消えてますけど、更にダブルシャープまで出てくるんですか(唖然)・・・しかも「F♯♯」って、鍵盤の位置は白鍵のGですよね?

【イッテツ】:「固定ド」しか勉強して来なかった人は、ここでパニックになるかもな(笑)
【koten】:あ、イッテツさん良いこと仰る!(笑)。そうですね、「移動ド」読みを勉強した人であれば、「F♯」を「レ」って読めますので、ここで「救われ」ますよね(笑)。「F♯♯」は、単に「レ♯」に過ぎない訳ですから。

〔まぁや〕:ええと、、ごめんなさい、ちょっとここで少し整理させてください(汗)。この組曲第5番はホ長調(♯4つ)なので、ドレミファソラシとして「E、F♯、G♯、A、【B】、C♯、D♯」は当然に使いますよね。で、残りの-A♯--E♯--B♯-F♯♯-Dの音を整理すると、、、、
【イッテツ】:E♯がド♯、F♯♯がレ♯、A♯がファ♯、B♯がソ♯、Dがシ♭・・だな?
【koten】:そのようですね。

〔まぁや〕:ええと、それでヘンデルの組曲って、どの曲もミーントーンのルート音が「一つ右(ドミナント側)」に来るってことですよね?
【koten】:そうです、それがヘンデルの「公式」(作曲上の方程式)のようですね。

〔まぁや〕:じゃぁじゃぁっ!!!! もしかしてヘンデルって、どんな調であっても、移動ド読みで言う「ドレミファソラシ」と「ド♯、レ♯、ファ♯、ソ♯、シ♭」の12種類の音「だけ」で作曲しているってことですか???? ♭音は「シ」だけで使うってことですよね? バッハみたいにソ♯とラ♭を使い分けたりはしないってことですよね? 
【koten】:おぉ、鋭いねマーヤちゃん! 少なくともこの(8つの調性の)チェンバロ組曲集では、正にその公式が当てはまります、、、ただ、若干の例外は有りますけどね。これは後で余裕があれば書きます(←本当はこれが本題なんですけど(汗))。

【イッテツ】:それと、REIKOさんは「E#」が出てくるって仰ってたけど、それだけじゃなくて、その公式が正しいのであれば、B♯(ソ♯)とF♯♯(レ♯)も楽譜中に「必ず」出てくるってことだよな?
【koten】:そう言うことになりますね・・・確認してみましょうか?
 ええと、まずこれがB♯(ソ♯)ですよね。アルマンドの後半7小節目に出てきます。
画像20101202 008.jpg

 そして、その後直ぐにF♯♯(レ♯)も登場しますね。
画像20101202 009.jpg

 どうです、合点していただけましたか?(笑)
【イッテツ&まぁや】:うーーーーん、合点!(ガッテンガッテン!)。

【イッテツ】:うーん、なるほどな。で、時間も押して来たので、チャッチャと「例外」の方に行こうぜ(笑)
【koten】:いや、まぁそうなんですけど、暫くこの「原則論(ヘンデルの公式)」の余韻に浸らせてくださいよ(汗)。いやぁ我ながら長文良く頑張ったなぁ(自分祝!)

ーーーーーーーこれより20分間の休憩をいただきますーーーーーーーーーーーーーーーーー
                         (今日中に続きが書けるか?)

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【続々(補足)】:ヘンデルがチェンバロ組曲で使った音律を考えてみる(仮説) [最適音律を見極める基準(仮説)]

実証編です。

先ほどヘンデルの余りにも有名なシャコンヌを演奏upしてきました。

画像20101202 006.jpg

これは、前回まで解説した第6番(嬰ヘ短調の曲)とは異なりますが、1曲でト長調(♯1つ)-ト短調(♭2つ)-ト長調(♯1つ)と転調するので、こっちの方がより説得力あるかなと思い、取り上げた次第です。このように同主調転調する曲も、『ヘンデルの場合は、』使用されている音の種類を全部洗い出す(?)ことで、最も綺麗な響きを出せる(1/4コンマ)ミーントーンの「ルート音&ウルフ位置」を見つけ出すことが出来ます。

PC&機器の調子が今ひとつで、少しノイズが入ってしまいましたが(汗)、どこにも響きの破綻は無いはずです。
     ↓
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=6878

 この曲の場合、ルート音は、(短調の方が多くの種類の音を使うこともあって、)「F」基準でした。

 youmusic中の説明では「(ヘンデルにつき)ウルフシフト型の演奏録音を聴いたことない」と書いてますが、この響き、どうもピノックの演奏が近い気もしますね(汗)・・英国は伝統的な「ミーントーンの国」みたいですからね・・。ともあれ、ピノックのシャコンヌ演奏は本当に名演だと思います。

 なお、上記で『ヘンデルの場合は、』と断り書きしたのは、バッハの場合はこの(ウルフシフトミーントーンの)技法が使えないことが非常に多いからです。例えばバッハの有名なパルティータ第3番(BWV827、イ短調)では、下記のように、最初にG♯が出てきますが、・・・
画像20101202 003.jpg

・・・70小節あたりから下記のようにA♭の音が出始めます。 つまり、ここからG♯とA♭が混在した状態となるのです、、、、こんなことはバッハの曲では当たり前のように出てきます(汗)。
画像20101202 004.jpg

 ヘンデルの場合、こんな意地悪?(爆)なことはして来ませんので、安心して(?)誰でも「最適ミーントーン」を探り当てることができます。

 ちなみにこの議論、数年前にも幾つかのサイトで行っているのですが、どうもミーントーン支持(主義?)者の方からのウケが悪いんですよね(汗)・・・この話をすると、「バロック以降はウルフの位置は固定だ」という意見、さらには「(調律替えをしている)ヘンデルはクラシック音楽の本流を外れている」旨の意見まで出て来て、どうにも閉口してしまいます(汗)・・・なので、この情報は「しばらくはお蔵入り」させた方が良いかなとも思っていたのですが、(REIKOさんが困っていたみたいだし(笑)、)丁度良い機会なので発表してみました。
 
                             それではm(_ _)m
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【続】ヘンデルがチェンバロ曲で使用した音律(仮説) [最適音律を見極める基準(仮説)]

鍵盤楽器用のミーントーンの音程(各音名)とウルフ5度(『狼』)の位置
C--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯-『狼』-E♭--B♭--F--C

①『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「G」にする)と?
C--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯(←!)-『狼』-B♭--F--C
 ⇒E♭が「D♯」に変換される。(←ミーントーンの最大級の醍醐味でもある!)
  ウルフ位置が「D♯--B♭」間なので、悪い長(短)3度も右にずれる。


②さらに『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「D」にする)と?
C--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯(←!)-『狼』-F--C
 ⇒さらにB♭が「A♯」に変換される。
  ウルフ位置が「A♯--F」間なので、悪い長(短)3度も右にずれる。

③さらに『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「A」にする)と?
C--G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯--E♯(←驚愕!!)-『狼』-C
 ⇒さらにFが「E♯」(←!!)に変換される。(これに素直に「驚愕」できる人はセンスが良い(爆)。ちなみに「E♯」はFより42セント低い音である。)
  ウルフ位置が「E♯--C」間なので、悪い長(短)3度も右にずれる。
  ・
  ・
 以下同様

 ※これは現在の古楽界の「盲点」であるといえる(きっぱり!)。
(理由:いわゆる古楽関係の「上の人達」は、ミーントーンのウルフの位置を移動させていたのは「ヴァージナル音楽(ルネンサンス時代)あたりまで」と考えている感がある(下記サイト参照、ちなみにgooでの質疑応答の質問者はkoten君です(笑))。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%85%A8%E9%9F%B3%E5%BE%8B#.E8.AA.BF.E5.BE.8B.E6.9B.BF.E3.81.88

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4246594.html

 古楽の「上の方の人」になればなるほど、電子楽器を(オモチャ扱いして)小馬鹿にする傾向が強くなる。
 ほとんどの音律関係書籍でも、ここまで懇切丁寧には書いていない。
 電子チューナーだって、ミーントーンについては、コルグ社のもので「E♭」型のみならず「D♯」型のもプリセットされている程度であり、A♭、A♯の音ですらプリセットされていない(勿論「E♯」なんて望むべくもない・・・ああ何と言うこと・・←悲嘆)。
 ヘンデルのチェンバロ組曲は、レオンハルト氏が弾かないんだから「(おそらく)弾く価値がないんだろう」、と考えている人も少なからずいる(だろう・・・少なくとも昔はその雰囲気が強かった)。
 その他、音律関係書類のレア本化など、理由を挙げればキリがない。)

 ちなみに上記事項は、電子楽器関係者にも盲点であるといえる(きっぱり!)。
(理由:「取説」にはこんなこと一言も書いていない(はずだ・・・だってみんな真面目に音律を勉強していないんだもん(笑)・・だってそうでしょ? 真面目に勉強していれば、R社の最新作の電子チェンバロから(旧作ではちゃんと存在した)「音律のルート音変更機能」が消されるはずないでしょ?(←半ば本気で怒!))。

 ※※さらなる盲点は次の事項である。
「ヘンデルのチェンバロ曲は、ミーントーンのルート音を『一つ右側』に設定しないと美しい響きが得られない!!(・・・ことが非常に多い←リスク担保記載(汗))」
 つまり、嬰ヘ短調の曲は「♯3つだからルート音はAだね」と考えると中途半端に終わる。もう少し踏み込んで考える必要あり⇒そのためには楽譜の一音一音(ひいては全ての音)を調べる必要がある←超面倒(汗)、だれが好んでやるか、こんな作業?(でもやらなければ「幸せ」にはなれない・・・かもよ?(笑))

 続けます(汗)。
④さらに『狼』を右に一つシフトさせる(=電子楽器でルート音を「E」にする)と?
G--D--A--E--B--F♯--C♯--G♯--D♯--A♯--E♯--B♯(←驚愕!!)-『狼』-G
 ⇒さらにCが「B♯」(←!!)に変換される。
  ウルフ位置が「B♯--G」間なので、悪い長(短)3度も右にずれる。
  ここまでシフトさせて初めて、第6番嬰ヘ短調で使う「D♯」、「A♯」、「E♯」、「B♯」の全ての音が出揃うのである(祝)!
 これは第1番イ長調でも全く同様である。

 イ長調や嬰ヘ短調の曲を「ルートE(ホ)」のミーントーンにして弾くというのは盲点でしょ?(笑)
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ヘンデルがチェンバロ組曲で使った音律を考えてみる [最適音律を見極める基準(仮説)]

研究テーマ

 有名な8つのチェンバロ組曲
  ※非常に多彩な調を使ったヘンデル:
    第1番:A-dur (♯3つ)
    第2番:F-dur  (♭1つ)
    第3番:d-moll (♭1つ)
    第4番:e-moll(♯1つ)
    第5番:E-dur (♯4つ)
  ※ 第6番:fis -moll(♯3つ)
    第7番:g-moll (♭2つ)
    第8番:f-moll(♭4つ)
  →それでもなお、基本的には1/4S.C.のミーントーンと思われる。
    但し・・・

 それ以外、特に長大(超大?)な変奏曲はどうか?
→純正調(Just Intonation)適用の余地はないか?
    (何故にそう思ってしまうのか?)

 レオンハルト氏は何故にヘンデルの組曲を演奏しないのか?

---【本論】----------------------

 音律関係の各書籍及びサイトでは、ヘンデルは「生涯ミーントーン(中全音律)に固執した」、「ミーントーン主義者である」等の記載を目にすると思います。また、ヘンデルは「分割鍵盤(黒鍵が♯キーと♭キーに分割されている楽器)を所持していた」という記述も、あちこちの本やサイトで目にすることでしょう。
 ということで、音律を勉強する者は、ヘンデルのチェンバロ組曲も「まずはミーントーンからだな!」ということで、超メジャーな1/4コンマの中全音律から試してみることでしょう。上記組曲の内、2、3、4番、7番あたりは、通常のミーントーンで割と抵抗なく聴けるかと思います。響きが悪いところは「あ、ここはもしかしたら分割鍵盤を使っていたのかも!?」などと想像力(妄想力?)を駆使してみる余地があるかも知れません。

 ・・・・って、駄目だこれ!(汗) 文章がカタ過ぎて疲れる(自爆)!!
 やっぱりいつもの表現形式(駄文対話形式w)で行きますか(笑)


【koten】:で、私の場合、最初の「壁」が第6番だったんですよ。
〔まぁや〕:へぇぇ~ どうして第6番なんですか?

【koten】:私、この組曲の最後の「ジーグ」がめちゃくちゃ好きなんですよ。格好良いですよねこの曲! で、ローランドの電子チェンバロにプリセットされている色々な(超メジャー)音律を試して弾いてみたのですが、どれも「うーん、何か違うよな~」という違和感が生じるんですよね。

画像20101128(sun) 002.jpg

【イッテツ】:通常のミーントーンでも駄目なのかい?
【koten】:色々な体験を経て耳が慣れてしまった今なら、「通常のミーントーンも「あり」だな(ぼそぼそ・・響きが悪い部分は結構あるけどね・・)」って思えるんですが、当時の私的には「完全NG!」、「こんなのあり得ないっしょ!」って感想でしたね。破綻した長3度が沢山出てくるし、第一、前半の最後のC♯の和音なんて最悪でしょ。

〔まぁや〕:そういえば、第6番の「嬰ヘ短調」って当時では珍しい調性ですよね?
【イッテツ】:あの大バッハでさえも「組曲」では避けてるよな、この調性?
【koten】:あぁ、そうかも知れませんね、「快適音律クラヴィーア曲集」と「トッカータ」でこの調性使ってますが、組曲では嬰ヘ短調は使ってないかもしれませんね。若い頃のいわゆる「習作」までは調べ切れてないので何とも言えませんが・・・

〔まぁや〕:それで、結論的にはどうなったんですか?
【koten】:マーヤちゃん、今日はずいぶんと先を急ぐんだね・・(汗)
【イッテツ】:だってお前さん、もう23時回っちゃたじゃん(笑)。チャッチャと収束させないと。

【koten】:しょうがないなぁ(汗)、、、かいつまんで言いますと、上記のようにヘンデルって「分割鍵盤の楽器」を持っていたっていう噂ですよね・・・なので私、最初は絶望感に襲われたんですよ。「確かに分割鍵盤の楽器でもなけりゃ、こりゃ無理だよ!(泣)」って。だってそうでしょう? この曲、初っぱなから「E♯」なんて音使ってるし(汗)、通常のミーントーンで使う「E♭」じゃなくて「D♯」の方を使っているし(後者の方が低い)、「B♯」とか「A♯」とか、とにかく通常の12鍵盤用のミーントーンでは「存在しない」音ばかり使っているんですもの(汗)。

【イッテツ】:そこで閃いたのが「調律替え」の技法ってやつだな?(笑)
【koten】:そうです、調律替え・・・って、あぁ、イッテツさん、一番おいしいとこ先に喋っちゃうし!(泣)

〔まぁや〕:なるほど、調律替えですか(感心)、、具体的にはどうやるのですか?
【koten】:まずは、楽譜(対象曲の全ての音)を見て、通常の12鍵盤用のミーントーンでは「存在しない音」をチェックして、その音を全部抽出します。この場合は、「D♯」、「B♯」、「A♯」ですよね。そして、ミーントーンで「これらの音が出現する」ように「ウルフ位置をシフト」させるのです!!! ミーントーンにおけるこのウルトラ必殺技となる秘技?名を私は『ウルフシフト』と命名しました・・勿論勝手に付けた名前ですので一般には通用しませんが(汗)

【イッテツ】:お前さん、「かいつまんで言う」とか言っておいて、ずいぶんダラダラ喋っているよな(笑)、で、ウルフシフトの技法とやらを、もうちょっと具体的に話してくれよ。

【koten】:いやぁ、だんだん調子が出てきたもので(笑)・・・でもやっぱり疲れて来たので(ただいま23時26分)、明日にしません?
【イッテツ&まぁや】:却下~!!(ぼそぼそ・・交信しちゃうぞよ~・・・)

【koten】:はいはい、分かりましたよ(汗)。。。(今ミューズさんらしき人(←神?)の声が聞こえたけど気のせいだよな(汗)・・)
 ええと、つまりですね、基礎知識としては、
 ①ノーマルミーントーンのウルフ5度の位置は「G♯-E♭」ですよね。
 ②ミーントーンでは、♯音よりも(異名同音の)♭音の方が「高い」んですよね。
 ここまで良いですか?
【イッテツ&まぁや】:分かります~!!(ぼそぼそ・・御意じゃぁ~・・・)

【koten】:では次、上記基礎知識を前提として、ミーントーンのウルフ5度を♯側、つまり5度圏サークルの右側に一つずらすとどうなるでしょうか?
〔まぁや〕:マーヤわかんない~(じたばた)
【イッテツ】:ああ、それはあれだよ。・・・F♯-C♯-G♯-E♭-B♭-F・・・の5度連鎖が、・・・F♯-C♯-G♯-『D♯』-B♭-F・・・になって、いわゆるD♯型のミーントーンになるんだよな? ウルフ位置がD♯-B♭になって。

【koten】:そうです、この場合、単にE♭の音をD♯に「下げる」だけでウルフ5度が1個右に移動しますよね。
【イッテツ】:何セント下げれば良いの?
【koten】:あ”~本質的かつ厳しい質問ですね(汗)・・・ええと、ウルフ5度の値を通常のミーントーンの5度(5.5セント狭い5度)にすれば良いんだから、・・・そう言うことですよ(汗笑)・・・ミーントーンのウルフ5度って「+36.5セント」でしたっけ? だとするならば、36.5-(-5.5)=42セント下げれば良いってことになりますね。 あ”~やっぱりちょっと時間的にきついです、続きは明日にしましょう(泣)。  でももう、これでやり方分かりましたよねREIKOさん?(笑)

画像20101128(sun) 001.jpg
  ↑
ウルフ位置の答え(正解?)を描いた楽譜の写真を載せておきます。

          (続く?)
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(叩き台)鍵盤楽器曲につきミーントーン系か純正律系かピタゴラス系か・・を判別する方法論を考えてみる。 [最適音律を見極める基準(仮説)]

 以下、叩き台です。

 【仮説その1】
 ピカルディーの三度(短調の曲(例えばa-moll)につき、その調の長3和音(この場合A=イ+嬰ハ+ホ音))で完結させる終止法、下記サイト参照):
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%81%AE%E4%B8%89%E5%BA%A6

 ピカルディーの三度(ピカルディ終止)は、「元々ミーントーン(中全音律)に基づくもの」との説あり。
 理由:ミーントーン(中全音律)には、純正「長」3度音程(周波数比4:5)は沢山あるが、一方で、純正「短」3度音程(周波数比5:6)は一つもない。したがって、ミーントーンで短調(例えばa-moll)の曲を演奏したときに、短3和音(この場合=イ+ハ+ホ音)で完結させると十分な満足感が得られないので、その調の長3和音(この例ではA-durの主和音であるイ+嬰ハ+ホ音)で完結させる終止法が誕生した。
 補足:これを根拠に、ミーントーンの各調性の個性に言及する説あり。例えば、ミーントーンでは、ヘ長調の主和音は綺麗なので、(主和音の短3度音程が非常に狭い)へ短調の曲はピカルディ終止が必要であり、これにより聴衆が安心する(「救われる」)。これに対して、ロ長調の主和音は汚いので、ロ短調の曲をピカルディ終止しても「救われない」、など。

 判別指針:ピカルディ終止している曲は、ミーントーン系の(ないし少なくともミーントーンを意識している)曲である可能性が高い。逆に、短調の曲(例えばa-moll)なのにピカルディ終止でなく短3和音(この場合イ+ハ+ホ音))で完結している曲については、純正律系を前提とした曲の可能性がある。

 後者の例:ブルグミュラーの25の練習曲(作品100)の場合、第2番(アラベスク、イ短調)

IMG_4670.jpg


 【仮説その2】
 曲の序盤から(何の配慮も無しに)いきなりD-Aの禁則5度が出てくる場合、逆にミーントーン系である可能性が相対的に高そうである。(例:上記ブルグミュラーの練習曲では、第7番(清い流れ、ト長調)/第10番(やさしい花、ニ長調))

IMG_4671.jpg

IMG_4673.jpg


 【仮説その3】
 仮説その2の例外として、D-Aの禁則5度の汚さを逆に活用した曲も存在するように思われる。(例:上記ブルグミュラーの練習曲では、第20番(タランテラ、ニ短調))

IMG_4675.jpg


 【仮説その4】
 ホルン音型が出てくる場合、純正律系を前提と(少なくとも意識)している曲ではないか。(例:上記ブルグミュラーの練習曲では、第9番(狩猟、ハ長調))
IMG_4672.jpg


 【仮説その5】
 ハ長調は基本的には純正律を意識している曲が多いように思われる。
 「ベートーベンのピアノ曲は?」と反論が来そうだが、ベートーベンも若い頃には下記のような明らかに純正律前提と思われる曲を書いていた(WoO.51、ハ長調)。

IMG_4674.jpg

【仮説その6】
イ長調の曲は、純正律が使える可能性がある。
(ネタが沢山あるので、詳細は後日に書こうと思います。)

----------平成23年2月18日加筆------------------------
最近(平成23年2月)の所感

★イ長調の音律(特に後期バロック)は何だったのか?
 組曲(曲集など)の最初に「イ長調」の曲を配置しているケースが(特に後期バロックで)目立つ。
鍵盤楽器曲の例:
  ヘンデルの(8曲からなる)チェンバロ組曲集(第1番はイ長調)
  バッハのイギリス組曲(第1番はイ長調)

鍵盤楽器曲以外の例:
  テレマンのフルートのための12のファンタジー(第1番はイ長調)
  ヘンデルのVnソナタもそうではなかったか?(要確認)
  コレルリなどは?(要確認)

 「イ長調」が後期バロックで重宝されたことは間違いないだろう。
 (1番ではないが、バッハのVnとCemのためのソナタ、FlとCemのためのソナタにもちゃんとイ長調多楽章曲がある。)

 これに対して、前期バロックや古典派の鍵盤楽器では「僅かに」パラっと入って来る(場合が多い)。「1番」として重宝はされていない感じ。でも「無視」はされていない。ちゃんとイ長調曲が作られている(前期バロックでは以前に記事にしたラインケンやブクステフーデの組曲集などが典型例(後の方で1曲だけ作られている。)、古典派ではモーツァルトのピアノソナタ・イ長調(←有名な「トルコ行進曲」付きのもの)など)。

【仮説その7】
調号(♯や♭)の多い曲は、基本的にピタゴラス系になる音律(WM第1技法第3、KBⅠ,Ⅱ,Ⅲ、など)から検討して行った方が効率が良さそうである。なお、ベートーヴェン以降の鍵盤楽器曲は、KBⅡ⇒KBⅠ⇒WM⇒KBⅢ⇒その他、の順で消去法で検討するとあるいは効率的か?

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