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【超Ultra重大議題】:ソルやカルカッシのギターの第2フレットには本当に『段差』があったのか? [フレット楽器]

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10月30日の記事のコメント欄で、私は、

>だとすると、この時代のギターの第2フレットには『段差がある』ことになります(←驚愕的な予言!!!!!)。(理由:第2フレットを「一直線」にすると、上記音律表が崩れて「使い物にならない音律」になりますので。)

とコメントしました。
ここですね。
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30#comments

 これが本当だとすると、今まではフレット楽器について「フレットは直線が常識だろ!」と当然のように考えて来た我々にとっては超Ultraドエライことな訳ですよ、果たして本当なのでしょうか?

 図を使って検証してみましょう。

 以前に、「【重要議題】:ソルの(時代の)ギターは、4(9)F及び2Fハーモニクスが鳴る!!」という記事を書きました。ここです。
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26

このときは専ら長3度の純正度に注目していたのですが、

>第2Fの下(右)・・・・3オクターヴ上のニ音
>第2F・・・・3オクターヴ+長2度上のホ音
の記述からすると、4弦の第2フレット(つまりE音)は、明らかに「純正な大全音」或いはそれに非常に近い音程な訳です。

で、
>第5F・・・・2オクターヴ上のニ音
>第4F・・・・2オクターブ+長3度上の嬰ヘ音
の記述と総合すると、以下の図が成り立つと考えられます。

ソルのギターフレット図1.JPG

 ここまでは良いですか?

 念のため、さらにかみ砕いて説明すると、図中の「○」は純正5度(ギターの調弦上は純正4度、以下同様)音程を示しています。そして、D-Eの2度を「大」全音とするには、D-AとA-Eの2つの5度の両方を純正にする必要があります。なので、図中ではこの2つの5度を「○」で示しています。ここまでは良いですよね?

 次に、4弦の開放音Dに対して、同弦4フレットのF♯音を純正長3度にするためには、シントニックコンマ約22セント分をE-B-F♯の2つの5度のいずれかに入れて(或いは両方に分配して)、いずれか或いは両方の5度を狭くする必要があるわけです。
 で、どちらに入れるか、或いは2つに分配するか?が問題となるわけですが、どう分配するにせよ、6弦の第2フレットの位置については「変わらない」んですよ。(1弦第2フレットについても同様ですが、以下は6弦に絞って話をします。)

 つまり、4弦の開放音Dに対して、同弦第2フレット(大全音)がE音じゃないですか。なので、E音である6弦の開放音を当然この音にオクターブで合わせますよね。 そしたら、6弦の第2フレット(F♯音)は、当然4弦の第4フレットの音と「オクターブで合う位置」に来る必要がありますよね? そうすると、必然的に、「E-F♯」が(大全音より約22セント狭い)「小」全音にならざるを得ないのですよ。

 純正長3度=大全音+小全音だからです。

念のため、ダメ押しの記述を加えましょう(笑)。
 
 純正長3度(D-F♯)=大全音(D-E)+小全音(E-F♯)だからです!

 さらにダメ押ししますと、これに対して反証するためには(つまり、ソルのギターの第2フレットに「段差がない」と言うためには)、2つの全音すなわち、D_Eの音程幅とE_F♯の音程幅とが「等しい」ことを証明する必要、つまり、
第4弦のD-F♯の純正長3度=「中」全音+「中」全音
であることを証明しなければならないのですが、ソルのハーモニクスの説明からは、明らかにD_Eの音程幅の方が「広い」ですよね。 そうすると、どうしても第2フレットに『段差』が出来てしまうと考えられるのです。
 (※上記説明の「音程幅」とは、セント値による値、もしくは周波数の比率です。)
 

 つまり、4弦第2フレットが「大全音(的)」すなわち「広い」フレットということが決定されると、対して6弦(及び1弦の)第2フレットは「小全音(的)」つまり「狭い」フレット、ということが決定されてしまうのです。これはすなわち「ソルのギターの第2フレットには『段差』がある」ということに他ならない訳です。 4弦のフレット位置情報だけで他の弦のフレット位置も分かってしまうのですよ。

 で、普通の感覚だったら、隣接開放弦は「ピタゴラス調弦」したいですよね。なので、1及び6弦Eと2弦Bの4度(5度)音程は純正にしたい訳ですよ。とすると、シントニックコンマ分は、B-F♯に全部投入(←オールイン(笑))するしかない、と考えるのが普通ですよね。で、そうこう考えて音程値を計測しながら実際にフレットを並べている内に、あれよあれよと言う間に下記写真のフレットと音律図が出来上がってしまった訳です。
1028純正律ギター 001.jpg

H231028暫定_ギター純正律-音律サークル-JPEG.JPG


 「でも、ギター(さらには19世紀ギター)のフレットに段差のある絵や写真は見たことないよ」っていう人は、この人間社会には「ダブルスタンダード」が沢山ある、ということを知っておく必要があるでしょう(というか、この前の原発事故で改めて思い知らされたはずですよね。今、武田氏のブログでは「ダブルバインド」から「シングルマインド」への意識変革が叫ばれてますけど、要するにそういうことです。)。音律はかつて音楽社会にとっての「最高機密情報」だったし、基本的には現在だってそうなのです(だから古楽器奏者も、リリースしたCDに使用音律を公表したがらない傾向が強い)。

 でも、近年では「楽譜を分析すると音律が分かる」ということが一般に知られて来て、さらに最近ではマニアックな人がハイテク機器を使った「周波数解析」の技まで駆使するようになって(汗)、インターネットの発展も手伝って、「どんなに隠しても隠しきれない時代」になってしまったのですけどね(「上の人」に合掌)。

--追記----------------
自己レス
>だから古楽器奏者も、CDに使用音律を公表したがらない
・・・それでも、最低限、『納豆業界』を見習った「品質表示」くらいはして欲しいですよね。
 
 えっ なぜ納豆業界なのかって?
 市販の納豆にはこう書いてあるじゃないですか・・
 『この納豆は遺伝子組み換え大豆は使用しておりません』って。

 だから最低限こう書いて欲しいんですよ、
 『この演奏では12等分平均律は使用しておりません』って(爆)。
 古楽演奏家であの論外音律使ってたら、そんな人は「モグリ中のモグリ」ですからね。最低限の品質表示ですよこれは。
 モダン楽器であっても「クラシック音楽(調性音楽、和声音楽)」を演奏する人に対しては、今後12等分平均律を使う人はモグリ扱いされる時代がもう直ぐ来ると思いますよ。だって、調べれば調べるほど、昔の音楽ではそんなイカサマな音律なんか使ってなかったことが明らかになるでしょうから。

 私はそれまでは頑張るつもりです・・・死んでから良いところ逝きたいですから(爆)

--------------------
---昼休み追記----------

 20世紀(おそらく戦後)から現代のクラシックギター奏者及び関係者は、長い間、鍵盤楽器の奏者や作曲家らに対して強い劣等感を抱いて来た。この劣等感の酷さは、実際にプロの書いた記事を読み、発表会などで様々な人の意見を聞いて来たので、それこそ痛いほど良く知っている。

 さて、今どういう局面なのか?

 このイ長調純正律(系)のフレッティング及び音律(さらには1/nミーントーン)がクラシックギターのフレッティング、音律として「本物」であること(つまり、歴史的に正当性のある「本流」の一つであること)が証明され、実際にプロによって演奏及びCD化されるようになれば、クラシック音楽界に「革命」が起こり、「既存の価値観が全てひっくり返る」ということである。要するに、「クラシックギター奏者及び関係者は、もう鍵盤楽器関係者に対して劣等感を抱かなくて済むようになる」というのが私の持論である。

 私は確信している。かつての「ギターの黄金時代」における全てのギター関係者は、鍵盤楽器の奏者や作曲家らに対して劣等感なんて「全く、これっぽっちも持っていなかった」と。

---------------------

 それでは皆さま、良い芸術の秋を!


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コメント 10

Enrique

つくづくヒドイ人ですよ,kotenさんは。
さんざん,ミーントーン五度で苦労させておいて(怒)。
まあこれに関しては,改心されているようですし,今回の発見に免じて恩赦(大特赦!)しときますね。
ミーントーンは調弦が大変だけれども,これなら楽勝ではないですか!?
ハーモニクスでポンポーンです。

段差は2フレット以外でも発生しますが,むしろ私には直線フレットで結構行けるというのが驚きですね。ピタゴラス系とは言ってもやはり,キルンベルガー系(そのもの),scを使っているのがポイントですね。pc割りではフレットがうねります。

スキスマはキルンベルガーIの相対的位置でいいのではないでしょうか。

ハライセ(笑)でフレット表公開してもいいですか?

主流かどうかは今後の調査が必要でしょうが,かなり有力なフレッティングだったことは確かでしょうね。カルリ,ジュリアーニ。。。

ホ長調では属七がやられる?のがキビシイかなー?キルンベルガーIIとか言う事は無いのかなー?

ソルは精査が必要でしょうが,ロ短調の件は納得しました。ミーントーンで「月光」弾いたらちょっと変でしたし。てっきり,ミーントーン五度を避けるためかと思っていたら。。。Op31とOp35とでも違うのかもしれないですね。
by Enrique (2011-11-02 13:01) 

Enrique

冗談ですよ!
kotenさんが,イチバン苦労しているはずですし!
by Enrique (2011-11-02 15:08) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。

 遅レスすみません、MTについてのフレット-音名を整理して、ソルのグラン・ソロその他を1/6MTギターで弾いてたらこんな時間になってしまいました(汗)。

>さんざん,ミーントーン五度で苦労させておいて
・・・あはは(笑)、でもあれは、単にEnriqueさんの数値計算が間違っていただけのような(爆)

 それよりもですね、未だグランソロとか変則調弦メヌエットとかしか確認してないのですが、ソルが1/nMTを確実に使っていたという証拠を突き止めましたよ(祝!)。 本当、「グラン・ソロ」弾いてビックリ仰天してしまいましたよ・・・あの♭系への「もの凄い転調」はやはり平均律なのか、と思っていたら、とんでもない話でしたね。まさに「目から鱗」、もう最高、生きてて良かった(爆)! 近いうちに記事書くつもりなので、ミーントーンの研究は続けられた方が良いと思いますよ。1/4よりも1/6の方が異名の派生音に対して「許容」できるようになると思いますので、1/6も是非!

>ハライセ(笑)でフレット表公開してもいいですか?
・・・別に構いませんけど、この音律の場合、3弦2弦の開放音は純正長3度にはならずに「ピタゴラス長3度」になるので、例えば3弦4フレットとか要注意ですよ。スキスマの問題もあるので、慌てずにじっくり計算されることと、実際にフレッティングをやってみて、音を出して響きを確認されることを強くお薦めします。曲も弾いて演奏upしてください(笑)。

 Enriqueさん、耳が良くて演奏技術もあるのだから、色々な古典調律フレッティングをどんどん試して演奏upしてくださいよ。私、それをずっと楽しみにしてEnriqueさんの横(?)に巣(笑)作って布教活動してきたんだから。折角の芸術の秋だというのに、今のままだとブログタイトル返上(ジャロもの(笑))ですって。つまり
「クラシックギターを止められない」じゃなくて
⇒(芸術の秋なのに)⇒「クラシックギターを始められない」になっちゃってますから(超爆)。


by koten (2011-11-03 10:58) 

Enrique

波形の事ですか?あれは取り違えてしまったただけで,計算のマチガイはありません。PCは間違いっこありませんので(笑)。
私の(若干の)苦労は,やはり5度の狭さで,ついハーモニクスで合わせようとして合わず,初心者の様に5フレット押さえて合わせるのが苦痛でしたね(笑)。
今月発表会があって暗譜が済んでなくて,焦っています。近代曲なので平均律でカンベンねってかんじ。これ終わったら,又やりますね。
by Enrique (2011-11-03 18:56) 

Enrique

しかし,1/6MTとイ長調版キルンベルガーIって同居するのかなー?
試すとしたらイ長調版キルンベルガーIの方が先だなー,ちょっと計算してみますね。
by Enrique (2011-11-03 19:27) 

koten

Enriqueさん
>1/6MTとイ長調版キルンベルガーIって同居するのかなー?
・・いや、それは2本使い分けが必要ですよ。特に、昔の「上の人」は使い分けていたはずです。どっちも捨てがたいので。

 私は確信してます。昔は、みんなこうやって色々なフレッティングを実践して楽しんだんですよ。 そして12等分平均律フレッティングやそれに近いフレッティングの楽器も確かにあっただろうけど、「和声音楽の演奏に最も適していないフレッティング」であることは、昔はみんな知っていたはずです。

 本当、古楽の知識が得られない現代の人(特にアマチュアで真面目にクラシック勉強している人)が気の毒でしょうがない&見ていられないんです。だからこうやって一生懸命やっているんです。

 というわけで、発表会頑張ってくださいね。


by koten (2011-11-03 22:41) 

Enrique

私もバカなつぶやきだな~。両者同居する訳が無い。だから。。。
最近アホな発言が目立ちますので気にしないでください。

確かにアマチュア愛好家(プロですら)で音律に興味理解のある人は相当少ない。自分でフレットをいじろうなんて人はさらに極少。忙しい世の中では手が回りません。こういう楽器が普通になって安く入手できるようになれば良いのですが。
前,鈴木大介さんが,旋法系が良い楽器(フレッティング)と機能和声系が良い楽器とがあるなんて言ってました。1/6MTでもかなりウェルテンパードになるので,1/8MTくらいだと,見た目殆ど分からないでしょうね。ぱっと見平均律に見えるフレッティングでも,アグアドなんかも平均律とは少しずらして(ずれて)いるようですから,わずかな名残はあるのでしょうね。名前は忘れました(あまり聞かない外国の)が,やたら和音の奇麗な楽器がありましたね。
以前紹介したUS Patには何種類かのフレットボードを交換する楽器が出ていますが,アレなんかは本質を突いたものですね。本の写真でもありましたよね。
http://classical-guitar.blog.so-net.ne.jp/2009-05-08
あのフレット図は真面目に書いたものかしら。
by Enrique (2011-11-04 13:18) 

koten

Enriqueさん、追コメおおきにです。((( ^_^)且~

>最近アホな発言
・・いえいえ、大分良い感じに「壊れて」来て何よりです(爆)。。この業界(?)で音律体験積むと可成り「はっちゃけた」性格になるでしょうからね・・正常な変化(?)だと思いますよ・・・そして最後はREIKOさんのように、、、(爆)。
 ある楽器店の社長さんに聞いたところでは、外国人(特にラテン系の人)はフレット改造はどんどんやっているみたいですよ。良く言われてますけど、要するに日本人くらいなんじゃないですか、12等分平均律を有難がって使っているのは。

>アグアドなんかも平均律とは少しずらして
・・それは感じます、特に4Fと5Fが怪しい(笑)。まぁ4フレットを純正位置に出来るだけ近づけるのは、あの時代では「常識」&「誰でも知っていた」と思いますよ。 現在だって、外国のサイトでは「弦長の1/5」がどうのこうのって会話は交わされているようですし。もしかしたら日本人くらいなんじゃないですか、第4フレットの重要性を知らないのは。

>フレットボードを交換する楽器
・・あれ欲しいですよね(笑)
by koten (2011-11-04 22:47) 

koten

自己レス:
>12等分平均律フレッティングやそれに近いフレッティング・・・「和声音楽の演奏に最も適していないフレッティング」であることは、昔はみんな知っていたはず
・・・何でこれをこんなに自信持って書いたかというと、私に言わせれば12等分平均律は「自由競争に生き残れない」音律なんです(キッパリ!)
 だからこそ現在こんなに「情報隠し」が行われているんです私に言わせれば。

by koten (2011-11-05 08:40) 

koten

>「自由競争に生き残れない」音律
・・・もう少しかみ砕いて言うと、昔は古典調律の方が「主流」だったので、「12等分平均律フレッティングやそれに近いフレッティング」は少数派だったはずなんです。
 なぜなら、両方弾いてみれば「どっちが良いか」なんて誰の耳にも明らかだから。誰も選びませんよ、和声&調性音楽の全盛期、「黄金時代」の頃に12等分なんて。そうでしょう?

 これに対して、現代では「選択の機会」さえ与えられていないんです。それどころか、昔の音律についての本や古典派時代の作曲理論の書籍さえない。「知識」さえ得られないんです。最先端の古楽科に行ってやっと勉強できるって感じでしょ、21世紀にもなって未だに。
 酷いもんですよ全く。

by koten (2011-11-05 09:00) 

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