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純正律ギター実験記、その2 [純正律(Just Intonation)]

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今日も純正律ギターの実験記を書きます。

昨日は疲労のため感情任せの端折った書き方になってしまったので、その分今日は丁寧に書きたいと思います。では、宜しくお願いいたします(笑)。

まず最初は、「今日のギターフレット」の写真です。昨日の写真は圧縮しすぎて小さくなってしまったようですね(いつもと違うソフトを使ったら超圧縮された(汗))。今日は大丈夫だと思います、ではどうぞ。
純正律ギター 001.jpg

昨日と比べて、1&6弦の3フレットなどを足してみました(これ書き終わったあと、1弦の7フレットも足す予定です。)。 見ておわかりの通り、えらく「歯抜け」の状態です。要するに、幹音+必要最低限の派生音しか付けていません。 純正律でかつ「長調」仕様であれば、これで十分だと感じてます(今のところは)。 

 推測ですが、古い楽器や民族楽器の写真で「いかにも歯抜け」のフレット楽器があるじゃないですか。あれっておそらく純正律仕様だと思うんですよね。 特定の調しか使えないけれども、その特定の調については「もの凄く美しく響く」ようになっているんだと思います。

 次に、「必要最低限の派生音」ですが、昨日の夜にリュート属用の楽譜をパラパラめくって弾いてみたところ、長調仕様の場合、増4度(いわゆるファ♯)と属7音(いわゆるシ♭)くらいかな、と思いました。で、増4度音については予め付けておいたけれど、属7音がなかったので、昨日の寝る前に付けておいたという訳です。

 ここまで書くと、このブログを読みに来るレベルの方なら、上の写真の純正律の「正体」が分かったのではないでしょうか?  え、もうちょっと考えたいですか?(笑)・・・じゃあ3分ほど時間をおきますね。

--------1分経過--------------------




--------2分経過--------------------




--------3分経過--------------------


はい、時間です。  正解は「5弦開放弦を基音」とする純正律でした(正解者には拍手!)。

こうすると、音階の関係で、5弦開放と4弦開放が「純正」音程になり禁則5度(正確には4度)を使わなくて済みます。

但しこのギターは子供用のミニギターで、ギタレレと同じ調弦(5弦開放がD音)なので、イ長調純正律ではなく二長調純正律となり、しかもA=415で調弦したので、余り深く考え過ぎると頭がパニックになると思います(笑)。

 そんなこんなで、次に今日の音源です。昨日説明しきれなかった事項として、各開放音の関係を音出しして説明します。どうぞ。


上の音源は、開放音を鳴らしたものと、3弦2弦の長3度が(音階の関係で)ピタゴラス3度になることを示すために鳴らしたものと、各弦がピタゴラス調弦になっていることを示すためにハーモニクスを鳴らしたものです。

次に主要和音とスケールです。



分かりやすく説明しますと、主⇒属⇒下属和音につき、「運指」的にはA⇒E⇒D、「調弦」的にはD⇒A⇒G(但し現代ピッチ的には半音低いC♯⇒G♯⇒F♯)となります・・却ってわかりにくい?(汗)


 そして次がいよいよ待望の(笑)「禁則5度」音程です。

 この音律ですと、2-6(移動ド読みでレ-ラ)でよく使う音が5弦2フレット(レ)と4弦4F(ラ)と1弦2F(ラ)になりますので、その音を同時に鳴らしてみました。ちなみにファイル名(見えますよね?)の「2弦2F」は誤字です(泣)。

 では次に今日の演奏曲を・・・と思ったのですが、あらあらもうこんな時間ですか(泣)、、、続きは明日ですかね。

 とりあえず、昨日のF.ミラノの名曲はリベンジしたかったので、今日はゆっくり弾いてみました。


 で、まぁ今日もイマイチの演奏だった訳ですが(自爆)、少しいいわけしますと、このミラノの場合、オリジナルの調弦は明らかに、いわゆる「ルネサンスリュート調弦」、つまり3弦を半音下げる調弦だと考えられるのですが、今回使った楽譜はそうでないギター用の調弦なので、結っっっっ構、運指に無理があるんですよね(泣)。

 それと、リュート属の曲の場合、同じ曲であっても、「3弦を半音下げる調弦」用の楽譜と、今回のようにそうでない調弦用の楽譜の2種類が出回っていることが多いです。これにつき、昔は私は「3弦半音下げでないものはオリジナルでなくいわゆる「偽物」では?」との疑惑感(笑)が強かったのですが、昨日、ルネサンス曲についてのカールシャイト氏の解説を読んで「あぁなるほど、そうだったのか!」と目から鱗が落ちた思いでした。参考までに引用します。

-----引用(シャイト・ギター・シリーズ①ルネッサンス・アルバムより)------------
 その時代の音楽の演奏において特徴的なことの一つに、楽器の選択および組合せが一般に自由であったということがある。ある曲のリュートのための版がいくつもあり、またその同じ曲がリュート属の他の楽器----シターン、オルファリオン、パンドラ(この楽器の調弦は最低弦を除いてギターと同じ)----のための様々な版として見いだされることも多い。編者もこの同じ自由にのっとって、リュートと緊密な関係にあるギターのために編曲を行った。またここでは古い資料の中にはギター曲からのリュートのための編曲も見いだされることを指摘しておこう。これらの曲を古い調弦のリュートで弾くにはほんのわずかな運指の変更で充分である。
-----引用終わり------------

 と言うわけです。

 でも、ファンタジアのような難しい曲になればなるほど「想定調弦、想定運指」が厳格に決められているはずで、今回の曲(←ちなみにシャイト編じゃないですので(汗))は運指にちょっと無理があるかな&ミラノの曲はやはり3弦半音下げが「想定調弦」だよなぁ、と感じた訳です、はい。

 あと、F.ミラノの音楽は、「実に純正律指向が強いなぁ!」としみじみ感じます。今回の曲も出だしからいきなり5度の和音ですしね。

 そんなこんなで、うだうだ書いていたらあっという間に就寝時間間近ですね。

 続きはまた明日&みなさま良い芸術の秋を!!




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REIKO

ボンドの跡も生々しい、稚拙な(失礼!)工作写真からは想像もできない、素敵な響きですね!
子供用ギターがすっかり大人の音に!

禁則五度ですが、ある程度の「時間差」で音が入れば、ほとんど気にならない感じですね。
純正律だと、(旋律的に)「ミ」が低い・・・と感じることが時々あり、多少歪んで聴こえる面もありますが、そういう中に上手く?紛れ込ませれば、狭い五度も許容できそうです。
(ミーントーンでも多少の歪みは、それを音律の「味」として許容できるように)
でもっ純正律に慣れると、ミーントーンの五度の狭さが許せなくなったり・・・?
by REIKO (2011-10-26 00:04) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。( ^-^)o旦~~ どぞ ♪

>ボンドの跡も生々しい、稚拙
 ・・ボンド、じゃないやホント、仰る通りだと思います(笑)。「外見と中身は別物」の典型的な例じゃないですかね。
 これで響きが悪かったらブーイングもの(爆)なので、この写真upはナカナカ勇気が要るのですが、トータル(←「最終的な人類の幸福」の観点(爆))で見たら絶対upすべきなので、迷うことなくupしました。
 ちなみにボンドは(どこでも買える)木工用の水性タイプなので、水で簡単に取れます。フレット材は牛の腸のガット、別名、使い古しのテニス用ガットです(爆)。

 弦1本1本がそれぞれ異なる要素(太さ、張力、不均一さ、etc)を備えているので、本当に正確な音程を作ろうとしたら、(以前に写真引用した可動フレッティングギターの純正律仕様もそうでしたが、)このように「1音毎」にフレッティングする必要がありますよね。それでも押さえる力の加減などによって音程は変わるので、「あくまでも概略値が鳴っている」と考えていただければと思います。

>素敵な響き
・・・ありがとうございます。
 上記で「あくまでも概略値が鳴っている」と書きましたが、たとえ概略値であっても凄く綺麗ですよね(笑)。
 これは何故かと言うと、以下は私見ですが、例え概略値であっても、「理性的な人間(別名「真人間」)」であれば、その概略値的な響きから「その音律のイデア(≒目指しているもの、理想の状態、などなど)が分かる」からだと思うんです。

 逆に言うと、「理性的な人間(真人間)」であれば、12等分律で調律された楽器の響きをある程度聴いたならば、12等分律のイデア、すなわち「この音律は、和声の点でも調性感の点でも、何ら一切配慮していない。」ということが分かるはずなんです。

 言い換えると、私に言わせれば12等分律のイデアは「明らかにおかしい」んです。過去に偉い人が表現したように、「和声音楽、調性音楽」にとっての「テロリスト」以外の何者でもない。だからこそ、12等分律の特性を最大限に活かそうとすると、12音技法とか無調とか、そっちの方向(つまり和声や調性をマルッキリ無視、放棄した曲)に行かざるを得ない、という訳です。

 それと、フレット楽器にとっての最大の問題点は、12等分平均律だと「楽器が鳴らない」ということです。要するに「楽器を抑圧する音律」という訳です。Wikiを初めとして、各種音律関係書籍やサイトでも「この視点」からは書いてないと思います。みんな「分かっているけど書けない」んだと思います。このことを書くのは、(12等分平均律が「規格音律」として隅々まで蔓延してしまった)現代社会ではある意味「タブー」なんだろうなと思います。そして、このことを声を大にして発言できるのは我々のような(諸々なモノに関しての利害関係のない)アマチュア音楽愛好家しかいないんだろうな、と感じています。
 ↑これ書いていて、本当、このブログを立ち上げた切っ掛けを思い出しましたよ(笑)。

>そういう中に上手く?紛れ込ませれば、狭い五度も許容できそう
・・・なるほど、楽譜分析の視点になりますね。
 一方で、前に古典派のハ長調のピアノソナタのところで解説(おちゃらけ解説?)したように、この禁則5度は、曲の最初の方で使うのは禁則な(≒音楽センスがない)のだけれども、曲も中盤になって(耳が十分純正和音に慣れて)盛り上がっているところで(謂わばアクセント的、コントラスト的etc・・的)に使うのは「有り」だと思うんですよね。この5度は「ウルフ」という程のものでなく「単なる不協和音」に過ぎないわけですから。実際、昔の作曲家はそうやって曲を作っていますよ。リュート属の曲でもそうであることは、これから解説していこうと思います。


>でもっ純正律に慣れると、ミーントーンの五度の狭さが許せなくなったり・・・?
・・・正直、その傾向は否めないかも(爆)



by koten (2011-10-26 12:55) 

Enrique

子供ギター+貼りフレットとは思えない,リュートやビウエッラの様な響きになっていると思います。
ちょっと最近純正律から離れていたので,細部思い出さないといけませんが,どの調でも細かいフレットさえ使えば対応可能と思います。ただ特に低音の解放弦のところに狭いフレットが出来てしまうと演奏が出来ないので,そのような調は実際上はダメかなと思っています。イ長調はそのような問題の少ない調ですし,音を欲張らなければ,十分使用可能のようですね。

by Enrique (2011-10-26 23:34) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。( ^-^)o旦~~ どぞ ♪

 いやあ、純正律おもしろいですわ(笑)。 というか、今日も先ほど呟いておきましたが、西洋音楽を勉強するには純正律をちゃんと勉強しないとマズイなと感じ始めている今日この頃です。


by koten (2011-10-27 12:58) 

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