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さらに5/10補足:難題に挑戦!? イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律に関する研究論序説 [最適音律を見極める基準(仮説)]

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 あぁ、GWが終わってしまう(泣)
 今年のGWは家族で「苺狩り」に行って私だけお腹を壊したりとか色々ありました(汗)。
 一方、GW中の音楽的行事としては、22日に発表する曲を練習して若干録音した程度でしょうかね、、、あと、イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律研究をそろそろはじめようかな、と思い立ち、後述するサイトに投稿したりもしました。

 で、今回のお題が「イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の音律に関する研究論序説」な訳ですが、いかんせん消灯?時間が迫ってきてじっくり推敲している余裕がありません(泣)。
 以下、レジュメ風に行きます。

 前期バロック(フレスコバルディ、ロッシ、ピッキ等)はとりあえず保留(汗)⇒ミーントーン中心、純正律的な要素がどこまで入るか?論、分割鍵盤論となるだろう、おそらく。

 後期バロック以降
※こんなにいるイタリア鍵盤楽器作曲家の「ドメニコ」人(笑)
D.ツィポーリ(1688年 – 1726年)
D.スカルラッティ(活躍はスペイン、1685-1757年)
D.パラディース(活躍はイギリス(1707年~ 1791年))
D.アルベルティ(1710年前後 - 1740年)
D.チマローザ(1749年 - 1801年)

   VS(?)
イタリア鍵盤楽器作曲家の「非」ドメニコ人
B.ガルッピ(1706年- 1785年)
M.クレメンティー(活躍はイギリス(1752 年 - 1832年))

 で、今回は、ちょうど渦中にある(?)イ長調曲の名曲として、D.パラディースの「クラヴィチェンバロのためのソナタ」第6番イ長調より第2楽章(Allegro)を取り上げてみました。

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  使用楽譜(ショット版)とおすすめCD(Enrico Baianoのチェンバロ演奏)です。

IMG_5110.jpg
 例によって色塗り楽譜です。

 以下、5種の調律聞き比べ。

その1(調律名を当ててください(笑)、以下同じ)


その2(同上)


その3


その4


その5


 どうでっしゃろ?(汗) その1とその2の違いが直ぐに分かった人は凄いです。その3以降は割と分かりやすいかもですね。ヒントは、ローランドの電子チェンバロ(旧型のc20)での演奏なので、一般的な古典調律しか入っていないこと、調律替えが出来ること、などです。さらなるヒントは、ミーントーンの演奏が3つあり、内2つは調律替えを使ってます。12平均律は勿論ないです(笑)。

 解答と解説は下記サイトに載せておきました(下記サイト中の演奏順序通りです。)
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=7406

解説の再掲:イタリア人作曲家の鍵盤楽器作品の「想定音律」を探り当てるのは非常に難易度が高いと感じます。特に、パラディースは音楽史的には2つの時代(スカルラッティなどのバロック、C.P.E.バッハ、モーツァルトやハイドンなどの古典派)を生きていることもあってか、調律に対する「懐の広さ」のようなものを感じます。当時のイタリアでは、分割黒鍵をもったチェンバロが18世紀の中頃に流行らなくなり(「古楽の音律(東川清一編、春秋社)」第184頁参照)、その後、ヴァロッティ考案による音律(1/6分割法)がタルティーニにより称賛されていること(同書第160頁参照)、などにより、この頃の鍵盤楽器の調律問題は一層複雑になっているように感じます。イタリア人の鍵盤楽器曲作曲家の中ではドメニコ・アルベルティ(Domenico Alberti, 1710年前後 - 1740年)などの作品が比較的個性が強いので、このあたりから研究すべきか、とも考えられますね。

 
その他メモ:
スカルラッティの初期作品はミーントーンベースか?
中期作品(カークパトリック(K)番号3桁くらい)以降、調律の使い分けが始まる?
晩年は再びシンプルな音律にもどっている?

 それでは、みなさま明日からまた仕事頑張りましょう・・・頑張れニッポン!!


5月9日(月)夜追記:

ドメニコ・パラディースのチェンバロソナタの楽譜は、現在一部ですがIMSLPのサイトで入手可能です。
http://imslp.org/wiki/Category:Paradies,_Pietro_Domenico

KBⅡの(約11セント狭い)5度に慣れてくると、ウェルクマイスターの(6セント狭い)5度に違和感が無くなって来る(≒昔は耳障りだったあの6セント狭い5度が「許せる」方向に自分の感覚が次第に変容する)ような気がするのは私だけでしょうか(汗)・・・何か、ヴェルクマイスター(第一技法第三番)って、(少なくとも)イ長調の曲には非常に相性が良いのではないか、とも感じてしまう今日この頃です・・・うぅん、人間変われば変わるものだなぁ(汗)。

5/10昼追記:
 schott版の楽譜解説では、(オペラやカンタータの作曲家として成功しなかった)パラディースは、「1746年にロンドンに移住した」って書いてありますね。『ミーントーンの国』イギリスです。
 で、パラディースは、この曲集を1754年に出版して真の名声を勝ち得た(頻繁に再版された)けれども、生活は不安定だったようで、財政難により手稿譜を売却し1770年にイタリアに戻った、とのこと(その後1791年8月25日にヴェニスで没)。
 なので、この曲集は、「英国人の趣向(ミーントーン)を(も)意識して作曲された」と考えて良さそうですね。



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REIKO

イチゴでお腹壊す・・・?あまり聴いたことないですけど。
原発ストレスでお腹が弱っていませんか?

音律当ては難しいです・・・(^ ^;)
ミーントーンが3つ?2つじゃないのですか?
3と4がミーントーンぽい。
(↑違っていたらどうしよう)
でも3は、かなり音痴ですね・・・ウルフ長三度にひっかかってる?
でもまあ分散和音なので、ヘンな響きになる箇所も面白いといえば面白いです。
こういう曲は、転調で響きが変わる音律じゃないとつまらないですね。

1と2は割と普通ですね・・・
「1とその2の違いが直ぐに分かった人は凄いです」とあることから、一般的な古典調律だと「ヤングかヴァロッティか」「ヴェルクマイスターIIIかキルンベルガーIIIか」のどっちかではないかと。
で、私的には5が圧倒的に良く聴こえます。
伸び伸びしていて響きがスッキリ!
ヴェルクIIIのイ長調は、長三度が広いですがA-E-Hの五度が純正なので、割といいんですよね。

・・・と、ここまで書いて、答えを見に行こう(笑)。

う~~~ん、まだまだ修行が足りんな。(苦笑)
5だけ完全に「別音律」に聴こえましたよ。
5のカッコ内の説明が????なんですが・・・
(D♯A♯型)ってのはどういう意味ですか?
by REIKO (2011-05-09 22:34) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。

おぉ、丁度私が追記した後に(笑)。私もヴェルクIIIの「イ長調適合性」については今回の実験で改めて再発見した感じです、、、ううん、やっぱり音律の世界は深いですねぇ(しみじみ)。

>私的には5が圧倒的に良く聴こえます。
・・・激同です(笑)。どれも同じ条件(マイクの位置、音量、録音レベル等)で録音したのに、しかも「電子楽器」で共振とか生じないはずなのに、どういうわけだか「その5」が別格レベルで「良く鳴っている」んですよね。非常~に不思議です。 「最後に録音した」がために、楽器や機器のコンディションが最も良い状態だったとかも考えられるのですが、やはり最終的には「音律が良い」と考えるのが妥当でしょうね。。。

 で、「D♯A♯型」の意味は、通常のミーントーンだと「E♭B♭型」になりますが、そうでなく、ウルフ5度の位置を2つ右側にずらしてD♯とA♯の音が出現するように設定した、という意味です(ウルフ5度がA♯-Fの位置になります)。

 ちなみにこの曲ではE♯音も可成り出てくる(F音は使わない)ので、もう一つウルフシフトさせて、「D♯A♯E♯型」(E♯-Cがウルフ)に設定すれば、もしかしたら更に良い響きになるかもしれないですよね、、、流石にここまでやるとリスナーの方が聴き疲れするだろうと思って録音しなかったのですが、今思うと録音しておく価値があったかもですね(若干反省)。

>イチゴでお腹壊す・・・?
・・・会場がビニールハウス内で「一人30分取り放題&食べ放題コース」だったのですが、苺の実に結構土が付いていたり実が若干痛んでいたりとか、そんな感じでした、、、胃は比較的丈夫なのですが「腸」があまり強くないんです私(汗)。でも原発ストレスは確かにありますね(自爆)、、、浜岡早く停めて~(笑)
by koten (2011-05-09 23:13) 

REIKO

>おぉ、丁度私が追記した後に

たぶん私がコメント書いてる間にkotenさんの追記が入ったんだと思いますよ。
で、私は追記を見ていない(今見た)ので、同時に同じようなこと書いてたんじゃないでしょうか?(笑)
5がヴェルクIIIかと思っちゃったんですよ(伸び伸びしてるので、とてもミーントーンの狭い五度には聴こえなかった)・・・で、1・2がヴァロッティとヤング(どっちがどっちかはともかく)かな?とか。
でもそうすると、「ミーントーンが3つ」と違うので、分からなくなっちゃったんです。

>D♯とA♯の音が出現するように設定した、という意味

ああ、なるほど!ウルフ移動で新たに出現する音を並べたんですね。
分かりました。

>E♯音も可成り出てくる

あ、そうですね。(楽譜持ってます)
FじゃなくてE#になってますね・・・
以前ヘンデルでもkotenさんが指摘されてましたが、ウルフをブンブン(笑)回してた可能性を示唆する記譜ですね。
ただE♯-Cウルフにすると、安定し過ぎてつまらなくなる可能性もあるかもしれません。
やはりこの曲には、動的な変化が欲しい気が。

で、イ長調に関して、「ドデカゴン」の57番(ピタゴラスコンマを2分割してB-FとFis-Cisに置く・・・何と!1776年・マールプルクの音律)が良いんですよ。
実はモーツァルトのK.331が、この音律で抜群なんです・・・(カシオのキーボードで第1楽章テーマや、短調の第3変奏を弾いてみられたし)
でもこの音律は、マールプルクの「推奨音律」ではないはずです。
たぶん、理論の展開上出してみただけで、「駅前通りに汚い五度を2つも並べたキルンベルガーのバカ」に対して「汚い五度は裏通りに離して置け」と言ってるような気がしますね。

★シューベルトの人気曲と音律についてブログ更新しました
http://handel.at.webry.info/201105/article_3.html

末尾の「衝撃の事実」とは何か?
予想を立ててみてくださいませ♪
by REIKO (2011-05-10 00:37) 

koten

REIKOさん、追コメおおきにです。

>同時に同じようなこと書いてたんじゃないでしょうか?(笑)
・・・いわゆるシンクロ現象ってやつですかね(笑)、、、同じ血液型だと思考も似てくるとかあったりして(爆)。

>ヴァロッティとヤング
・・・ローランドの旧型の電子チェンバロだと1/6分割法がプリセットされてないんですよ実は(号泣)。 ちなみに最新式の電子チェンバロだと、ヴァロッティはプリセットされていますが、調律替えができないため「ヤング」には設定できないという体たらく(ぷんすか!)
・・・なのでローランドさま、(音色には十分満足しているので)音律の方を何とかして下さい~(などと突然振ってみる(笑))。

>以前ヘンデルでもkotenさんが指摘されてましたが、ウルフをブンブン(笑)回してた可能性を示唆する記譜ですね。
・・・ヘンデルと聞いてハッとしたのですが(笑)、先ほど本文中に補足したように、パラディースも『ミーントーンの国』イギリスで活躍し、この曲集(初版)をイギリスで出版したんですよね。ヘンデルと違って、財政難により帰国を余儀なくされたようですが。 なので、この曲集は「ミーントーンベース&調律替え有り」と考えて良さそうですね・・・おぉ、これで「その5」が非常に良く鳴った理由が分かった気が!(凄い凄い(笑)、やはり「見切り発車」でも記事にしてみるものですね(しみじみ))
・・ちなみにこの曲集の初出版が大バッハ没から4年後の1754年なので、「バロック時代が終わってもミーントーンは立派に生き残っていた」ことの証にもなりそうですよね(再度しみじみ)。

>イ長調に関して、「ドデカゴン」の57番(ピタゴラスコンマを2分割してB-FとFis-Cisに置く・・・何と!1776年・マールプルクの音律)が良いんですよ。
・・・でましたね「ドデカゴン」(笑)、しかも「あの」マールプルク&狭い5度がKBⅡより酷い「12セント」とは!(汗)。家に帰って見てみますが、試したいような試したくないような、、、って感じですかね(^_^;  

>末尾の「衝撃の事実」とは何か?
・・・ロマン派は未だ検証不足なのであれですが、また例によって「シューベルトも自分のオリジナルの音律を考え出していた!(驚愕)」ということじゃないですかね。。。ちがう? (汗)
by koten (2011-05-10 13:01) 

REIKO

>ヘンデルと聞いてハッとした
>『ミーントーンの国』イギリス
>この曲集は「ミーントーンベース&調律替え有り」と考えて良さそうですね

それでふと、以前「ひょっとして・・・?」と思いついたアイディアを実験してみました。
すると・・・おおおおおお!!!
ヘンデルの1720年出版のハープシコード曲集で、「ウルフシフト」してもまだ一部に不快な響きが残ったり、CisとDesが同一曲に混在していたりで、完全に解決できない問題がありましたよね。
わかりました!これが正解で間違いないです!

こちらのヘンデル記事↓↓↓にコメントつけておきますので、発表会が終わったら試してみてくださいませ♪
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-12-04

これでヘンデルの組曲がミーントーンで完璧に美しく弾ける!!
「ヘンデル問題」、これにて一件落着! \(^o^)/~♪♪♪
by REIKO (2011-05-20 22:59) 

koten

REIKOさん、追コメありがとうございます。

 ミーントーン問題、私も色々考えるところがあって、記事にしたいところなのですが、ナカナカ纏まらないところです。
 今疑問に思っているのは、「イギリスの鍵盤楽器って、実はずっと『分割黒鍵』が残っていたのでは?(少なくとも廃れてはいなかったのでは?)」ってことですね。

 前に記事にしましたが、野村氏の調査によれば、イギリスって「ピアノ」にまで分割黒鍵付けてたほどのミーントーン好きの国ですからね(汗)。
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/archive/20101226

・・・先ほど再検索したら、下記記事などから、やはりそういう雰囲気が伺われます。
http://www.symphonic-net.com/schonfeld/cgi-bin/lec/diary.cgi?no=23
(以下引用)
>こうした調律法によるミーントンの英国事情は、遅い時代のスプリットキーという物証があることでも裏付けられます。
>異名異音が出せる分割(スプリット)・キイは、イタリアでは十七世紀末に使う風習がなくなり、フランスでは使われていません。
(引用終わり)
・・・つまり、名著「古楽の音律」中では、イタリアの分割鍵盤の衰退について書かれているだけであって、イギリスの楽器事情については全く触れられていないんです。
 で、イギリスは(いわば古めかしい(?)音律であり進歩的な音律ではない)ミーントーンに固執したがために、結果的に「パーセル以降は(エルガー(1857年生まれ)が現れるまで)大作曲家が出なかった」などと評されてしまったのか、などと考えてみたり。さらには、イギリスで活躍した外国の作曲家(ヘンデル、パラディース、クレメンティ、イギリスにスカルラッティを紹介することに尽力したロージングレイブ、、、、などなど)は、案外「分割鍵盤」をも視野において曲を書いたりしたのかな、などと色々と妄想が沸いてくる訳です(笑)。

 あと、スカルラッティ&ロージングレイブで検索したら、面白そうな資料がヒットしました、、、膨大ですね。
http://www2.accsnet.ne.jp/~rkadono/ss.pdf

by koten (2011-05-22 21:36) 

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