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音律実験シリーズその7!(ハイドンのJust(純正律)part2!) [純正律(Just Intonation)]

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 以下は私見です。(私は古楽の勉強をしている身ではありますが、あくまでも単なる一アマチュアですので。)

------前回までの復習及び今回の議題----------------------

 純正律(系)ハ長調の「和声」論(現代人が「鍵盤楽器では使えない」と考えている和音、音程関係)につき、ハイドンらはこう考えたのではないか。
 Dの和音につき、
 D-Aの5度は「不協ないし「不快」和音」である(故に「禁則」)。但し、ミーントーンの「ウルフ」5度よりは遙かに軽傷である。
 低音がDで高音側がAだと確かに不快だが、この逆(A-D)すなわち、低音がAで高音側がDであれば、不快さが緩和ないし軽減される(→第1転回形での使用は許される/論点:では第2転回形は?)。

 ※D-Aの(禁則)5度は、「不快」であるが故に、強い感情表現の場面などでは使っても良く、むしろ「使う価値」があるのではないか(ミーントーンのウルフ5度でさえ先人達は使っていたこともあるし)。ただし、やたらと使うのではなく、「ここぞ」という場面でのみ使った方が効果的である。

 純正律(系)ハ長調の「旋律」論
 ※ラ(A)の音は注意して使うべきである!!
-----------------------------

【koten】:あ”~、一週間が終わった。今週はエライ疲れた~~(ぐったり)
  〔M〕:お疲れさまです~。
【イッテツ】:仕事終わって帰宅後に、演奏&録音&写真撮影&演奏UP&ブログで詳細説明してるんだから、そら疲れるわな(汗)
 
【koten】:いやぁ、でもこの一週間は幸せでしたよ私(笑)。 しかし確かに疲れたことは疲れましたね・・で、明日も早いので、さっさと本題いきますね(汗)

 今日はこれです。ピアノ学習者が一度は習うハイドンの有名なソナタC-durです。
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?lid=6731

【イッテツ】:うぉー! 中間あたりで何か凄いエコーかかってない?
【koten】:特にエコーの編集はしてないですよ。出力ボリュームをいじりながら再生したくらいで。おそらく3度も5度も純正な「完全純正和音」から生じる何らかの効果なんでしょうね。何たってこの曲、低音のアルペジオを、それこそマシンガン(笑)のように弾きまくる曲ですからね(汗)。

〔M〕:youmusicで書いてますが、この曲は『14小節まではラ(A)の音を全く使っていない』んですか。
【koten】:そうなんです。第1主題は勿論、低音部も含めて「ラ(A)だけ」は使ってないんです、他の幹音(ド・レ・ミ・ファ・ソ・シ)は全部使っているのに。これ不思議でしょ?(笑)

〔M〕:最初のメロディーが「ドーミソ、ソ、ソ、(シ)ド~ソ、ソ、ソ、ミード、シ、シ、ド、ド、レーーー、、ソーレファ、ファーソミ、ミーファレ、レーミド、ド、レ、レ、シ、シ、ドーー」ですか、、あれーーー確かに!! こんなに長いメロディーなのに、どういう訳か「ラ(A)だけ」は使ってないですね!!(驚)
【イッテツ】:何でかいな?

【koten】:いやぁ~m今日はもう疲れたので、説明は明日にしましょうか・・・読者の皆さんには今晩ゆっくり悩んでもらうこととして(爆)
【イッテツ&M】:却下~!!&却下です~!

【koten】:いや、これ、あくまでも私見なんですけどね、、、あと、説明が相~当~に長くなりそうなんだけど(汗)
〔M〕:私見でも長文でも何でも良いので、言って下さい! このままでは眠れません。
【イッテツ】:言ってみ、言ってみ、言えば楽になるぜ(笑)

【koten】:一言で表すと、純正律(キルンベルガー第1も含む、以下同様)のラ(A)は、「音程が低い」ので、注意して使わないと「不自然」に聞こえる、ってことじゃないかと思うんです。
【イッテツ】:おー見事に簡潔にまとめたな(笑)。

〔M〕:もう少し詳しく言うとどうなります?
【koten】:純正律の特徴の一つとして、全音が「大全音(CD、FG、AH)」と「小全音(DE、GA)」の2種類に区別されるってのがありますよね。そして、5度は、CGが純正、EHも純正、FCも純正、GDも純正、AEも純正です。DAだけが22セント狭い不快な5度になる訳です。つまり、GAの2度は小全音で狭いし、DAの5度も(ここだけ)狭いんです。言い換えると、旋律面でも和声面でも「Aの位置がイレギュラー(ラの音程が不正)であり、低い!」って感じちゃうんですよ、「普通」に使っていると。
【イッテツ】:うむぅ~・・・そうなのか。

【koten】:だから、ラ(A)の音は、無造作に使っちゃいけない(はずな)んです。純正律のハ長調で曲を書こうとするときは。
〔M〕:そういった事情で、主題では使用を避けて、15小節目でやっと低音にラ(A)の音を出してくるってことですか・・・
IMG_4650.jpg

【koten】:ここでもメロディーじゃなくて、まずは手始めに低音で使ってますよね。ラ(A)の音を。慎重なんですよハイドンも(笑)。無造作に使ったりしたら(当時の)見識を疑われちゃうとか心配していたんじゃないですかね。


【イッテツ】:25小節目でDの和音が出てくるよな。
IMG_4652.jpg
【koten】:ここは定石通り第1転回形ですよね。それと、メロディーのラ(A)に装飾音(ターン)を付けて、長い間鳴らさないようにしてますよね、ラ(A)の音を。

〔M〕:何か、おそるおそる細心の注意をもってラ(A)の音を扱ってますね(汗)。

【koten】:あと、25小節目の真下の小節、ここ29小節目なんですけど、ここで初めてAの連打音が来ます。対する低音はCの音です。この瞬間は純正な6度音程です。間違っても序盤のこの場面でDの低音をぶつけたりはしません。見識を疑われますので(笑)。31、32小節目も同じです。
   40小節目からクレッシェンドがあり、徐々に「冒険」が始まります。40小節目のDの和音は第1転回形ですが、42,43小節目でメロディーにD♯音、G♯音を使い、緊張を高めていきます・・・そして遂に!!(笑) 50小節目に使うのです。泣く子も黙るあの「禁則の5度」を!!

IMG_4655.jpg

【イッテツ】:これが本当の「確信犯」ってやつか・・・
〔M〕:凄い! この禁則5度、全然不快に感じないですよ。この和音を出すまでのストーリー、仕掛けも素晴らしいですね!!

【koten】:このDAの禁則5度、後半でも出てきますが、どちらも不快でないですね。前半のは、さりげなくスルーしてしまう(誰にも気付かれない)ような使われ方ですが、後半で出てくるDAの禁則5度は、抑圧されていたものが一気に開放されるような、そんな爽快感さえ感じますよ(笑)。
【イッテツ】:水戸黄門の「印籠」みたいなものかな、後半の禁則5度(笑)。
【koten】:言われてみると、「痛快」って表現もGoodかも知れませんね(笑)。 ちなみにモーツァルトの有名な(初学者用)ハ長調ソナタの3楽章の後半でも出て来ますよ、この禁則5度。モーツァルトの使い方は更に痛快な感じしましたね、そういえば。

〔M〕:ハイドンやモーツァルトって凄い人だったんですね・・・・(絶句)
【koten】:そりゃ、泣く子も黙る「ハイドン」、「モーツァルト」ですからね(笑)。並の音楽家とは比較にならないですよ。

【イッテツ】:「何でもあり」の平均律の世界では、絶対に分からないよな、この曲の構成の素晴らしさは・・。

【koten】:それはそうと、・・・まずいっっす、夢中で書いてたら12時回っちゃったっす(汗)。明日も早いのに(泣)・・これで大体書いたよな、今日の議題。

〔M〕:忘れていたら後で書けば良いですよ。
【イッテツ】:そうそう、明日のために、今日は早く寝ようぜ。

【一同】:という訳で、それでは皆さま、良い芸術の秋を!!
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ぺかっち

禁則4度の部分はターンと絡めてうまくごまかしている部分とかがあれど、やはり多用されると違和感がぬぐえないのが正直な感想です。当時のDの和音ってどういうイメージで使われていたのでしょう。54秒の部分は聞き方によっては「なんだこれ?」とも「ひょうきんな感じでいいかも」ともとれます。短調の部分とかは割と違和感なく聞ける印象です。
ハイドンの使っていた音律はミーントーンだとかキルンベルガー第1だとか見るのですが、どちらにしてもウルフを挟んだ曲を作っているみたいです。この辺はちゃんと調べたり検証したりしてないので特に前者について機会があればいろいろ試してみたいです。
by ぺかっち (2010-10-23 12:05) 

Enrique

昨日の課題,狭い5度はダメだがその分広い4度はヨイという理屈を考えていましたが,うまく説明できないですね。
オクターブ上げれば(音が離れれば)緩和するというのは自明に近いと思います。鶴亀算ではないですが極端なケースを考えれば,少しずれた1度はとんでもないものですが,オクターブずらせば緩和しますから。
by Enrique (2010-10-23 17:48) 

koten

ぺかっちさん、コメントありがとうございます。

 54秒の部分って、オクターブで上がっていくところですよね。このJustの音律は、DF♯の長3度が純正よりも22セント狭く、要するにF#(Fis)の音が22セント低いので、慣れてないと違和感があるかと思われます(私は慣れちゃったのでどうってことないです)。
 ただ、私もこれはおそらく「キルンベルガー第Ⅰだろう!」と強く感じています。キルンベルガー第1であれば、DF♯の長3度は純正ですし。(&キルンベルガー第2であれば、これほどAの音の使い方に神経質になる必要ないかな、とも思えるし。と言いますか、こんなにAの音の用法に気を使っている曲は初めてみた気がしてます。本当びっくりです。)
 キルンベルガー第1と第2は今まで全くノーマークでしたので、これはちょっと真面目に勉強しないとイカンなぁと思ってます。真面目な話し、電子楽器に組み込んでくれないかなぁ、キルンベルガー1&2。
by koten (2010-10-23 23:54) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。

純正律の狭い5度&広い4度の感じるところにつき、再度確認してみました。狭い5度は1オクターブ離しても不快さが軽減されず、2オクターブ離してやっと少し緩和される感がありました。それに対して広い4度は、1オクターブ離しただけでも不快さが大幅に軽減されるように感じました。(計測実験が電子チェンバロの音だけなので、心許ないところはありますが・・・今年の冬休みは純正律系の実験に没頭しようかなぁ(笑)。)
 ただ、この5度は、何度も繰り返し鳴らしている内に、だんだん「別に大したことないじゃん!」的な印象になっていきますね(汗)・・・ピタゴラス3度もそうですが、この5度も実は周波数比が「整数比」(27対40)であり、得てして整数比の和音を繰り返し聴いていると、人間の感覚が「慣らされる(or麻痺する??)」現象が起きるみたいです。
 5度は周波数比27対40ですが、これを転回して4度にすると周波数比20対27ですよね・・後者の方が少しシンプルな比になっている気もします。

by koten (2010-10-23 23:55) 

koten

(追記) あっ、もしかして!!
 
 40÷27=1.48148148148・・・って割り切れない数ですよね。

これに対して、
 27÷20=1.35ですよね、割り切れますよね。
 
 この違いじゃないですか!? 不快度が大かそうでないかは???
by koten (2010-10-24 00:01) 

koten

自己反省:

 禁則5度DAにつき、本文中で
>前半のは、さりげなくスルーしてしまう(誰にも気付かれない)ような使われ方
って書いてしまいましたが、楽譜みると「fz(スフォルツァンド)」記号が付いてますね(汗)・・・強調せい!ってことですよね。こっちの記号の方を見過ごしてしまいました(笑)。まぁ、やっぱり確信犯なことに違いない訳ですが。
 ちなみに後半の禁則5度DAの箇所も、ちゃんと「fz(スフォルツァンド)」記号が付いてます。
by koten (2010-10-24 01:17) 

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