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ピタゴラス長三度の発生を回避する調律技法について考えてみる(ラモー、Lehman、Jobin、ジルバーマン) [不均等音律]

(長らく「下書」に保存しておいたこの記事、ようやく公開である(笑)) 

昨日は、
>今回のような「変ホ長調」の曲は、メジャーな不均等音律の内では「ヴァロッティ」が最も無難ではないか、と思う今日この頃である。
 と書いて、この図を載せた。
ヴァロッティ_サークル-JPEG.jpg

 しかしながら、この図をよく見ると、3箇所にピタゴラス長三度が生じていることが分かる。当時(←少なくともバロック時代)の人(の多く)はこのピタゴラス長三度の和音(の響き)を「非常に嫌っていた」というのが専らの噂(通説?)なので、当時の人がピタゴラス長三度の発生をどうやって回避していたのかを、もう少しマニアックな調律法で調べてみる。

(超)代表例:「純正五度の連鎖は三個まで」の技法(ラモー、Lehman、Jobin)

 まずはラモー音律(いわゆる「ラモーの修正ミーントーン」)から
ラモー(1/4sc×6)の音律サークル.JPG
 この音律では3箇所の五度の広さの値が不明(=調律者の裁量)であるが、少なくとも言えることは、「A♭(G♯)-E♭の五度は純正(ピタゴラス)には絶対にするな!」ということであろう。
ここを純正五度にすると、ピタゴラス五度が4つ連鎖して、B-E♭(D♯)すなわちホ調のⅤの和音にピタゴラス長三度が発生してしまうからである。

 従って、A♭(G♯)-E♭の五度は、純正よりも「広く」する場合と「狭く」する場合に大別される。

 そして、ラモー音律をベースとして、A♭(G♯)-E♭の五度を純正よりも「広く」したのがJobin(ジョビンないしジョバン)音律である、と考えることができる。
ジョビン(1/4sc×5)の音律サークル.JPG


 つまり、Jobin(伝バッハ)音律は、両方の図を比較すると明らかなように、ラモー音律がベースになっていて、「修正ミーントーン」の一種であることが分かる。(ラモー音律が「ベース」なのかどうかは議論があるところかも知れないが、少なくとも両者が「著しく似ている」、「余りにも似過ぎている」ことは否定できないはずだ。Jobin音律はラモー音律(の思想)に対して「Fの位置だけ」が異なっているのである。つまり、jobin調律にセットした後にFCの五度をMT五度に直せば、それは即ち「ラモー音律」に他ならない訳だ。)

 これに対して、ヴァロッティ音律をベースとしつつ、ラモー音律の考え方も取り入れて、A♭(G♯)-E♭の五度を純正よりも「狭く」したのがLehman(レーマンないしリーマン)音律である、と考えることができる。
レーマン(vsヴァロッティ)の音律サークル.JPG

 つまり、Lehman(伝バッハ)音律は、図を比較すると明らかなように、ヴァロッティ音律がベースになっていて、「修正ヴァロッティ」の一種と考えることができる。(ここでもヴァロッティ音律が「ベース」なのかどうかで議論の余地がありそうだが、ヴァロッティ音律の内7つ(しかも白鍵7つの内6つも!)が同一音程(同じ位置)であり、残り5つ(いわゆる「裏の調」)の音を微調整するだけで出来てしまう以上、こう考えざるを得ないのである。)

 以上をまとめると、
 純正五度の連鎖を3個までにして、残りの五度が純正より
「広い」場合は、ミーントーンないし修正ミーントーンとしての響き(つまり、ミーントーンの所謂ウルフ長三度を「緩和」した響き)が得られ、
「狭い」場合は、ピタゴラス長三度よりも柔らかな響きが得られる、
 ということであろう。

 その他:「スキスマ分散法(ジルバーマン)
ジルバーマン(1/6sc×6)の音律サークル.JPG

 この音律の「スキスマ6分割」の構成も、主な目的は「ピタゴラス長三度の発生回避」ではないか、と思えてならない。そう考えないと、わざわざ手間暇を掛けて折角の純正五度を全て崩してしまう(⇒あらゆる純正和音を捨てる)意義が不明だからである。
(一方で、この音律ではピタゴラス「短」三度やスキスマ五度(ないし平均律五度)も発生しないので、ジルバーマンはこれらの和音の響きをも「悪」と考えたのかも知れない。)

 当時の調律法をもっと色々調べれば、さらに何か分かるかも知れないが、とりあえず今回はこんなところで。


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不均等音律で演奏したい曲(レゴンディのギターエチュード) [不均等音律]

自己引用
>さて、今晩はどうすべか? 例によって自己ノルマ?を世界発信してみる。
>案その1:長大なクラシックギター曲、(ギターではとても弾けないから(泣))古典調律鍵盤楽器で弾いちゃおうシリーズを始める。
>案その2:クリスマスが近いのでクリスマス曲の演奏upシリーズを始める。

・・・ううん、今回はハードルが高いノルマを課してしまった。その1を開始しようとしたが長い曲は鍵盤楽器でもやはり難しい(泣)。

 仕方がないので(?)ノルマ達成すべく、(演奏upなしだが)記事をとりあえず書いてみる。
 前回は不均等音律の記事を書いたので、今回もその路線とする。

 「不均等音律」を使用していたのではないかとの疑惑(笑)があるロマン派のギター作品は、長大な規模の曲が目立つ。
 例えば、G.レゴンディ(1822-1872)のギターエチュードにつき、先日演奏upした第1番ハ長調は比較的小規模な方だが、それでも小節数は54あり、演奏時間は5分前後になる(はずだ)。そして、このエチュードシリーズは、第2番イ短調で小節数が一気に倍の107になり、次の第3番イ長調で136小節、第10番イ長調でも100小節越えとなる。他は、第4番ホ長調が59小節(但しダルセーニョを考慮するとプラス25小節)、第5番イ長調が89小節、第6番ニ短調が51小節(但しダルセーニョを考慮するとプラス34小節)、第7番ニ長調が55小節、第8番ト長調が41小節、最も小規模な第9番ホ長調が36小節(但し速度指示が「ラルゲット」)、といったところだ。
 ここでも「イ長調」の作品が多く、かつイ調の曲は長大化するところが凄く気になる。

 今回は第2番イ短調の雰囲気だけでも紹介したい。
 まずは冒頭楽譜。
フレット工作他 017.jpg

 このように、A音を維持するバスの上に付点リズムの高音メロディーが歌われるようにして始まる。
 そして、27小節目から驚きの連続となる転調劇場(?)が開始される。
フレット工作他 018.jpg
 まずは27小節目、いきなり♭4つの変イ長調(!)への転調である。

 これが8小節続いた後、今度は35小節目でエンハーモニックもどき(?)の転調となる。
フレット工作他 019.jpg
 このように、♭4つから♯5つへの転調なので、変イ長調⇒嬰ト短調へのエンハーモニック転調かと思いきや、良く見ると「ロ長調」に転調しているのだ。

 これがまた8小節続いた後、43小節目でまたもや大胆に転調する。
フレット工作他 020.jpg
 このように、♯5つから♯2つへの転調なので、ロ長調⇒ロ短調と思いきや、ニ長調に転調していることが分かる。
 そして極めつけ、53小節目で一気に♯が「7つ」に!!
フレット工作他 021.jpg
 そう、A属7の和音から「嬰ハ長調」への転調である(驚愕)。
 この後も、57小節目でイ長調(♯3つ)⇒65小節目でヘ長調(♭1つ)、74小節目でようやくイ短調に戻り、その後も調号変化は無いものの、A♭などの遠隔調の和音を使用しつつ終結に向かっていく。

 このように延々と転調を繰り返す曲の場合、完全な12等分律(12ET)の楽器で演奏すると、「どんなに転調しても同じような響きにしかならない」ので、弾いていて「凄く虚しく」なるのでないかと思う。どこまで行っても「救われない」訳で、少なくとも私には無理だ。とても最後まで演奏する気にはならないだろう。一方、いわゆる「不均等な音律」の楽器で演奏すれば、「響きのバリーション」を思う存分味わえるので、新たな転勤先(笑)ならぬ転調先に出張(笑)する度に新鮮な体験が出来るのである。 変な例(?)で喩えれば、家「イ短」では納豆ごはん(笑)、最初の出張先「A♭」ではフレンチフルコース、次の出張先「B(H)」ではタイ料理、その次の「D」ではイタリアン、次の「C♯」は激辛タイ料理、、、、と言ったように、様々な「各地域」の響きを味わうことができる。 それに比べて12ETだと・・・・・「どこへ行っても同じ料理(←しかもインスタント食品)しか味わえない」ことになる、と私は考えるのである。

 あ、もうこんな時間だ。と言うわけで、いつかこの曲を不均等音律の楽器で演奏upしたいです。

 ではお休みなさい~



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(随時更新)ジョビン音律の研究(バッハ前奏曲他) [不均等音律]

「ようやっと実現しました(汗)」シリーズ、今回はジョビン音律です。

先ほどバッハの例の曲をジョビン音律でupしてきました。
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=8249

サイト中の音律表が見にくいでしょうから再掲しておきます(クリックで拡大可能)。
join音律.jpg

この音律は、実は本ブログ開設初日に試すつもりだったのですが、
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-06-11
(↑本ブログ開設初日(2010年6月11日)の記事)
ずるずると(1年半近くも)放置状態になってしまいました(汗)・・・理由は上記投稿サイト内の解説で書いた通りです。

今日はもう遅いので寝ますが、この記事は随時更新する予定です。

とりあえず音源upしておきます。まずは投稿した前奏曲で使われる和音の一覧



長調の音階一覧(ハ長調から半音上がりで)


長調の主3和音一覧(ハ長調から半音上がりで)


明日の午前中に短調の和音や他の曲の音源もupする予定です。とりあえず今回はここまで。
お休みなさい~m(_ _)m

-----H231210朝追記-----------------------------------------------------------
 続けます。
 自分用(笑)メモ。電子チューナーを使った効率的調律手順
①KORGのOT-120チューナーを「D♯型ミーントーン」に設定し、CGDAEBの6音を調律する(各5度が耳障りにならないこと、CEとGBの純正3度を確認する。)
②同チューナーの設定を「キルンベルガー第3」に切り替え、F音を調律する(C-Fの純正5度を確認する)。
 ⇒KB3の設定にするとB音が約5.5セントずれるが、CGDAEの5音は変更なし。
③残りの5音は、SEIKOのSAT501を併用してセント値を見ながら合わせていく(B♭-Fが若干広め)。
-----------------------------------------------------------
 この音律については、ネット上での支持者が多いようなので、じっくりと検証していきたいと思っている。

 H23年12月10日現在の私としては、
 「レーマン音律=(本物だとしてもせいぜい)WTC1巻『専用』の音律」
  vs
 「ジョビン音律=(本物だったら)バッハがWTC以外にも『常に使っていた』音律」
 ではないか、との心証を抱いている。

 次に短調の音階(ラシドレミ)の一覧(イ短調から半音上がりで)


 短調の主3和音一覧(イ短調から半音上がりで)



 次に曲をup。
 まずはゴールドベルク変奏曲のアリア(ト長調)。


 この曲の想定ないし最適調律となり得る可能性大なのではないかと感じた次第。
 つまり、前々から「この曲はGBの長3度が純正であるべき」と強く思っていたが、通常のミーントーンでは非常に厳しく思え、一方でいわゆる「有名どころ」の不均等調律ではGB長3度が広くなってしまう。
 この音律であれば純正長3度がCEのみならずGBにも確保されるので、非常に快適である(アリア以外の曲(特にト短調変奏)も検証する必要ありだが)。 バッハは鍵盤組曲でト長調を頻繁に採用していることからも(例:フランス組曲第5番、パルティータ第5番、トッカータ第7番、BWV973の協奏曲第2番(原曲;ヴィヴァルディのOp.7-8)、BWV980の協奏曲第9番(原曲;同前Op.4-1)、 BWV986の協奏曲第15番(原曲;テレマン?) )、GBの長3度で純正が確保されている音律はポイントが高いと言えるだろう。

次は・・・あぁ、子供の世話ね、はいはい(汗)、、続きはまた後で

-----H231210昼追記分-----------------------------------------------------------

 次はホ長調の曲をup
 フランス組曲第6番よりサラバンド


 バッハの「ホ長調」の独奏用鍵盤曲(アンサンブル曲除く)は、WTCとインヴェンション以外では、これと後は数曲の小品しか作っていない(BWV993のカプリッチオ「ヨハン・クリストフ・バッハを讃えて」ホ長調とBWV937の 前奏曲ホ長調)し、いずれも「線的」な書法のものである。
 従って、このサラバンドは、バッハが作曲した独奏用鍵盤ホ長調曲の中で「最も和声的」な作品と言えるのではないか。
 ちなみにバッハは、オルガン曲ではホ長調曲を一曲も作っていない(はずだ)。
 してみると、バッハは、チェンバロやクラヴィコードの調律法は「オルガンとは異なるもの」を用いていたことが伺われる。
 アンサンブルやオケ曲のホ長調曲は次の3つが有名
①BWV1016:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番
②BWV1035:フルートと通奏低音のためのソナタ第3番
③BVW1053:チェンバロ協奏曲第2番

 とりあえずここまで。
--------------------------------

2012年5月29日(火)追記:

大井浩明氏がジョビン音律でバッハwtcのリサイタルを行ったという記事 

http://ooipiano.exblog.jp/4340516/

・・・ジョビンじゃなくて「ジョバン」になってますね、、これではヒットしない訳ですよ(汗)。それにしても大井氏は流石ですね(感心)。


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0204夜補足:1/6分割法(ヴァロッティやヤング)は「中途半端」な音律なのか?(価値観崩壊?まであと7日) [不均等音律]

-----女装じゃないや(爆)、序奏:-------------------
 
 昨日の記事で「音律比較表」を作って、例によって最後は「現代の標準音律」(別名「多数派閥」ないし「与党」(笑))を小馬鹿にした訳ですが(汗)、その後ふと、「ん、まてよ? この表に1/6分割法(ヴァロッティやヤング)を当てはめると・・・(冷や汗)」と青ざめ(爆)、読者様(第○のミューズ(笑))からの鋭い突っ込みが来ないうちに(笑)、何とか「体裁を取り繕う記事」を書いてみよう(汗)、と考えるに至った次第。

昨日の音律表を再掲(「MT」はミーントーン、「?」はS.C.を3分割してG-D-A-Eに配置した音律です。念のため。)
音律比較表.PNG

 それと、家のアップライトピアノの「地軸大変動(笑)」別名「大手術(?)」まで「あと7日」と迫ってきたので、「純正音程満載」音律に移行するまでに、現在自分が考えていること(現在の自分の価値観)を謂わば『遺書(爆)』として書き残しておこうと思い立った次第。

 (ひそひそ・・楽器の音律を変更すると(←今回は間違いなく「大変動」!)、自分の「内面」や「音律観」(ひいては音楽観、価値観)が大きく変わってしまう可能性が大だと思うんですよね。小生、前回のアップライトピアノの「ミーントーン化」でも「劇的」に変わりましたし・・・それどころか、ウチの3男が「生後1年ちょっとで片言をしゃべるようになった」(←これ、周囲のママさん達から驚かれているらしいです。)のも、ピアノ音律と無関係ではないと密かに思っています。)


-----本題部-------------------

テーマ:1/6分割法(ヴァロッティやヤング)は「中途半端」な音律か?

 予想(仮説ないし推測):
 おそらく「生楽器業界」と「DTM業界」とで意見が大きく割れるはず(この音律はいわゆる「分岐点」になり得る気がしている。)
 「生楽器業界」⇒(中途半端かどうかはさておいて、)「充分に美しい音律である!」という意見が多い(というか「圧倒的多数」な)のではないだろうか。(平成23年2月4日(金曜日)現在(笑)の)私もそう思うし(←さぁ、この価値観、KBⅡ調律予定の2月11日以降にはどうなるか?(笑))。
     【vs】
「DTM業界」⇒中途半端だ!と主張する人が結構(←どころかもの凄く?)いるのではないか?(これにつき、REIKOさんの意見を是非聞いてみたいものだ(しみじみ))
 (その根拠:DTMの「上の人(笑)」のサイトで、この音律を使って曲紹介(←実験的ではなく研究成果発表を兼ねた「本気の曲紹介」の意味)をしているのを見たことがないこと。後述の岸論文に対するDTM関係者のブーイングなどから)

 さて実体はどうか?
 1/6分割法(ヴァロッティやヤング)は、昨日の表の項目に当てはめてみると、
 ①純正5度(振動数比が2:3.000000000000・・・・・)
 ⇒6つ(但し「白鍵間の純正5度」は、ヴァロッティでは無し(←!)、ヤングではC-Fの1つだけ)。
 (余談:ちなみにジルバーマン方式では、「S.C.(約22セント)の6分割配置&スキスマ(約2セント)を残り6つの5度に散らすこと」となるので、純正5度が無く(亡く?)なる(合掌))
 ②純正長3度(振動数比が4:5.000000000000・・・・・)
 ⇒無し
 ③純正短3度(振動数比が5:6.000000000000・・・・・)
 ⇒無し
 ④大全音(振動数比が8:9.000000000000・・・・・)
 ⇒5つ(但しいわゆる「裏」の調)

 これだけ見ると何だか「中途半端」感が漂う(汗)。ピタゴラス音階ができる(ヤングではC♯スタート、ヴァロッティではF♯スタート)のが「せめてもの救い」といえるのかもしれないが。(ちなみにジルバーマン方式では、ピタゴラス音階すらない(汗)。キルンベルガーの「第Ⅲ」音律でも(スキスマの配置の関係で)ピタゴラス音階が出来ないのは前に記事にした通りである。)

 つまり、純正音程「至上主義」的な観点からは、1/6分割法(ヴァロッティやヤング)は、「中途半端な音律」と評価せざるを得ない・・・・のかもしれない(←煮え切らない私(汗))。

 しかしながら、生楽器では、「共鳴(共振)現象」や「同期(シンクロ)現象」というものがある。つまり、2つの弦の和音の調律が純正から若干ずれていても、1本の弦が振動すれば、実際には他方の弦が共振し、共鳴する。
 ⇒(さらには、(これは仮説だが、)その際に「共振した他方の弦から、純正の音の成分が(「抽出」されて?)鳴る」という現象が発生するのではないか、とすら感じてしまう(汗)。これが「同期(シンクロ)現象」の一側面ではないかもと思うのだが、正直詳しいところは良く分からない(「自然はシンクロしたがる」という仮説(?)は、直感的・経験的には同意できるのだが、同期現象の「理論」は私には難しすぎる(泣))。これも今後の検討課題だ(←検討課題多すぎ(汗)))

 良く言えば、生楽器は電子楽器よりも「懐が深い」と評価できるのかもしれない(←何か「お茶濁し」的だが(汗))。

★★★同日夜の補足追記★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 先ほど「閃いた」のですが(笑)、もしかして上記の「同期(シンクロ)現象」は、「弦の振動中は、その音程は(電子楽器のように一定なのではなく、)微妙に変化(上下)している」ことも大きな要因の一つではないか、と感じました。だとすると、

法則①:「1本の弦を振動させ」て、(そのとき振動していない)もう1本の弦との間でこの現象を起こさせることよりも、「2本の弦を同時に振動させる」方が、同期(シンクロ)現象がより起きやすい。

法則②(★重要):張力(張り)の強い弦(同士)よりも、張力(張り)の「弱い」弦(同士)の方が、振動中の音程変化がより大きいので、同期(シンクロ)現象が起きやすい ⇒ 故に、A=440Hzの場合よりもA=415Hzにした方が、さらにはA=392Hzにした方が同期(シンクロ)現象が起きやすい。さらには、例えば両楽器がA=440Hzで同じ場合であっても、もの凄く強い張力で張られているモダン・ピアノの弦よりも、相対的に「うんと弱い」張力で張られている古楽器の弦の方が同期(シンクロ)現象が起きやすい。

 という2つの仮説的な「法則」が導かれるのですが、どうなんでしょうかね・・・・パイプオルガンの「管」なんかの場合は良く分かりません(汗)。
★★★★★★★★★★★★★★★★補足終わり★★★★★★★★★



以前に下記記事で、
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09

>長3度の共鳴現象発生について、岸啓子さんの「音律の検討 Ⅲ. ― 12等分平均律、バッハ音律、ヴェルクマイスター音律、. ヤング6分の1各音律における和音の響きの相違」という論文(11/11現在、インターネットで入手可能です。)では、現代のピアノで実験を行った結果が報告されており、そこでは、ヤング音律(p.c.(ピタゴラスコンマ24セント)を6分割して配置する調律法)の純正から「6セント」広い長3度であれば、許容範囲であり共鳴が確認された旨が述べられています。

 ということを書いた。しかしながら、上記記事より前にmixiの某コミュ内でこの論文を紹介したときには、この論文に対して電子楽器関係の方から強い不評(ほとんどブーイング?(汗))が出ている。
 これは「何かを物語っている」と言えるのではないか。
 具体的には、「生楽器」業界では、純正音程「至上主義」的な価値観や発想が(相対的に)希薄になる傾向にある、ということが言えるのではないか。 逆に言うと、前に書いたDTM実践者の「劣悪環境&ハングリー」論とも関係(というか直結)していると言えるだろう。

 現在のピアノ設計で重要な要素(というか正確には「セールスポイント?」)としての「平均律でも良く鳴る(共鳴する)楽器」における「共鳴」ってのは、要するに「愛想笑い」なのではないか、などと皮肉ってみたりして(汗)。(純正から2セントしかずれていない)5度であれば、特別な設計などしなくても自然に共鳴するだろうし。つまりC音を鳴らせば上のG音は「自然に」共鳴するはずだ。これに対して、モダン・ピアノが(上記の岸論文では「許容範囲外」である)純正から14セントずれた長3度でも共鳴するような設計になっているのであれば、つまり平均律であってもC音を鳴らせば(G音のみならず)「E音までもが共鳴する(!)」ような設計なのであれば、それは有る意味「恐い」設計であり(汗)、思わず『愛想笑い共鳴』と命名したくなる今日この頃の私なのです。(ogawa_jさん、このネーミングセンス、ナカナカ逝けていると思いませんか?(爆))

      あ~昼休みが終わってしまう(泣)・・・ま、でもこんな所ですかね今回は。
                  
                                      以上、「第一遺書」終わり(笑)
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ヴェルクマイスター法についてもフォローしておく(汗) [不均等音律]

 このブログではヴェルクマイスター音律に対する「悪口」を沢山書いているような気もするので(汗)、この辺で少しフォローしておきますね(^_^;)

 最近、バッハの「トッカータ集」の話題を出してますが、例えばこの中のニ短調トッカータでは、下記のように、アダージョ楽章で「もの凄い転調(汗)」が現れます(写真をクリックすると拡大されます)。

IMG_5032.jpg

 この転調が「どのくらい凄いのか?」、「当時の鍵盤楽器曲の常識からどれだけ外れているか?」は、「固定ド」読みだとナカナカ実感が沸きにくいと思うので、「移動ド」読みで書くと、
 アダージョ楽章の最初では「ド♯」、「シ♭」が出てきます。この程度は別に大したことないのですが、2段目で「ミ♭」、3段目で「ラ♭」が出てきます。最初の方で既に「ソ♯」は使ってしまったので、この時点で「12鍵盤ミーントーン」だと苦しくなります。そして、4段目で「レ♭」が、5段目で何と「ソ♭(C♭音!)」まで出てきて、「あ、、、これはミーントーンではちょっと・・・(泣)」となるわけです。

 じゃあどうするの?って考えると、やはりここは「異名同音」を有する不均等調律の出番となるわけです。で、この転調を考慮すると、この曲では「ヴェルクマイスター第3(第1技法第3番)」は結構イケルと思います。キルンベルガー第3より何となく「良さげ」な響きのように感じます。なにぶん電子チェンバロで試しただけで、実際に「生楽器」で試した訳ではないし、未だキルンベルガー「第2」や「第1」も試していないので、これが「最適調律」かどうかは分からないですが・・・。あと、「裏技」として、「あくまでミーントーン」かつ「2弾鍵盤の上鍵盤に上記音を仕込んでおく」ことも考えられない訳ではないですよね、何せ相手は「あのバッハ」な訳だし(爆)。




 余談:昨日、「良い調律の鍵盤楽器曲集」の「調律替えミーントーンで対応可能」な曲(変イ長調の前奏曲)をご紹介しましたが、勿論この曲集では、「調律替えしても駄目(=音が足りない(泣))」曲もあります。例えば第13番の嬰ヘ長調です。
IMG_5030.jpg
 この前奏曲では、上記図のように、「C♯音」ルートのミーントーン(ウルフ5度=「Gのダブル♯-E」の位置)にすると、最初から26小節目くらいまでは破綻も無く良好に弾けるのですが、終わりから4小節目に(移動ド読みで)突然「ミ♭」「ラ♭」の音が出てきて泣かされます(笑)、つまり最初の方で「レ♯」「ソ♯」音を使っているので、この最後の最後で「奈落の底」に落とされるのです・・・ううむ、さすがはバッハ先生、一筋縄ではいきませんね(笑)。


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