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K.333の想定音律は「調律替えミーントーン」か否か?~秋の夜長の公開討論会(笑)~ [調律替えミーントーン(ウルフシフト)]

というわけで、折角なので記事にしてみました。

 モーツァルトのピアノソナタK333変ロ長調は、私の記憶が正しければ、モーツァルト嫌いのグレン・グールドに「この曲だけは好き」と言わしめた曲だと思ったのですが、、、、そうですよね?ROMされてる100名余りの読者の皆さま(笑)・・・何もレスが無ければOK(正しい)ということで確定させていただきます(爆)

 で、私の場合、モーツァルトのピアノソナタの音律調査については、かなり昔にヘンデルの調査をした時にこの曲だけ調べた記憶があって、他は放置状態だったんですね確か。 そして、この曲の場合、素直に「変ロ長調基準」の1/4コンマミーントーン(以下MT)で行けそうな感触を得たんですよ。

 変ロ長調基準のMTのサークル図はこうなります。
B♭基準ミーントーン-JPEG.JPG

Ⅰの和音とウルフ5度の音です、以下の音源は電子チェンバロですが、モーツァルトピッチ(A=421)に近いピッチにしてます(旧型製品でそこまで融通が利かないので若干低め)。


 で、第1楽章は特に問題ないはずなのですっ飛ばして、第2楽章です。

参考までに楽譜写真をupしておきます。
K333の楽譜 001.jpg

第2楽章の最初の方でいきなり出てくる不協和音です。これをまず覚えておいてください。


 そしてこれが実際の出だしです。3小節目頭が注目(注耳?)です。



 次、第2楽章後半の出だしです。これは大したことないですかね。


第2楽章後半出だしの参考楽譜写真です。
K333の楽譜 002.jpg

 この後に不協和の和音が結構出てくるのですが、それは各自でお試しくださいということで(←ぶっちゃけ、難しくて弾けないんですよ(爆))

 次、いよいよ問題の第3楽章です。
K333の楽譜 003.jpg
出だしは全く問題ないかと。


中盤の参考楽譜写真
K333の楽譜 004.jpg
 で、中盤(上の写真の紫色鉛筆で○した箇所)でウルフ和音が出て来ます。ここから先は、前の第2楽章の不協和音の響きが「気持ち悪い」と感じる人は、聞かない方が良いかも(笑)。

 ただ、このウルフは5度でなく1オクターブ離しているので、未だ大したことないと思うんですよ。

次のここ(やはり紫で囲った部分)も大したことないですよね・・・?
K333の楽譜 005.jpg


その後に、不協和音の連続が来て、最後に泣く子も黙る「ウルフ5度」が、まるで水戸黄門の印籠みたいに鳴らされるんです(笑)。まずは不協和音の開始箇所。
K333の楽譜 006.jpg



今の箇所からウルフまでです。ちょっとミスが多いのでアレですが、まぁ雰囲気だけでも味わっていただければと(・・・だってジックリ練習する暇なんて無いですもん(泣~))。
K333の楽譜 007.jpg

ウルフ5度部分の写真です。
K333の楽譜 008.jpg


 で、私、この不協和音の使い方(次第に響きを酷くしていく手法)は絶対「確信犯」だと思うんですよね。

 ネット上で古楽科の方が述べていた「和声の実験場」とは例えばこういう和音の使い方のことかな、などと感じる今日この頃です。

 私の結論は、以上のように「この曲の想定音律はB♭基準ミーントーン」ですね。ただ、生の古楽器で弾くとまた全然違った響きになると思うので、その演奏を是非聴いてみたいと思ってます。


--参考:先日REIKOさんブログコメントに書き込んだ内容の自己引用------------

何年か前にヘンデルの曲で使った(1/4)ミーントーンの「ウルフシフト」をモーツァルトにも適用できるのか?について検討したことがあったんですよ。で、そのときK333の変ロ長調曲(♭2つ)には適用できるな、という結論に達したんですね、これも今日思い出しましたよ。
 具体的には、これは素直にB♭基準にするんです、つまりF♯-D♭がウルフ5度です。これだと第2楽章の3小節目冒頭で「ぞぞ」って来て、さらには3楽章なんかではウルフ音程出まくりなのですが、これが妙に「痛快」なんですよ。ただ、これは未だ「生楽器」では試してないので何とも言えないのですが、少なくともウチの電子チェンバロでは逝けます(笑)。ですので、ちょっとこれをREIKOさんの方でも検討していただければ嬉しいかなと。
2011/11/08 20:31
(続き)
このK333は、楽譜を見ても実際弾いてみても「凄くのびのびと自由に書かれているな」と感じます。特に上昇スケールの使い方や圧倒的な「音の多さ」からしても。 こういうのは典型的なミーントーンの曲じゃないかなと思うんですよ。ミーントーンはⅡの和音や大全音小全音の凸凹に気を遣わなくて良いので、自由に曲が書けるように思えます。
 「ウルフシフト」については、モーツァルトは若い頃に(ミーントーンの国イギリスで)クリスチャン・バッハと合っていたし、その後ヘンデルの曲を研究しているので、絶対知っていたと思います。

  (自己引用終わり)

----余談---------
 ちなみにこのMTや各種古典音律の「調律替え」は、某R社(笑)の「旧型」の電子チェンバロならできますが、同社の「新型」の電子チェンバロではできないんですよ(違ったらご指摘ください)。
 ただ、「新型」は、音色やピッチの点では旧型には無い機能を持ってます。ちなみに新型はヴァロッティがプリセットされてますが「純正律」はありません(ですよね)。

 で、旧型と新型、マニアの人にとって「どっちが欲しいでしょうか?」、「調律替えが出来ない新型って一体何なの?」というのを問うてみたいですね、私としては。 あと、高音キーの「G」問題も。






 

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バッハの変イ長調曲、ヴェルクマイスター第3vs調律替えミーントーン [調律替えミーントーン(ウルフシフト)]

あぁ良かった、昼休みの宣言を実行できた(笑)

 ええと、J.S.バッハ作曲「良い調律の鍵盤楽器曲集」第1巻より第17番・変イ長調前奏曲につき、
ヴェルクマイスター第1技法第3番の演奏がこちらで、
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=6903

調律替え(E♭音ルート)ミーントーンの演奏が下記です。
http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?cid=6&lid=6904

 貴方はどちらの響きが好みですか?

【紗綾】:・・・ええと、サイトの説明を見ると、WMの方が「かませ犬」になっていることが一目瞭然なんですけど(汗)
s12ちょっとそれは・・・ねえ汗.PNG

(素材画像:「」さん作)

【koten】:いや、私も自分で書いていてそう思ったよ(爆)、、、WMの自演デビューがこんな形になろうとは夢にも思わなかったね(汗)、、、WMさんには気の毒だけど、私、自分に嘘が付けない性格だから(爆)。

・・・さらに色々書こうと思ったんですが、何かむなしくなって来たので止めときますわ・・(・・・ぼそぼそ・・それにしてもR社の「新型」買っちゃった人は気の毒だよな・・・ぼそぼそ・・・)



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