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一般既存の純正律(オイラー含む)は親玉純正律の派生形なのか? [純正律(Just Intonation)]

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前の記事のコメントでのレスの自己引用(一部色付け)

---自己引用開始--------
私が上に書いた
>オイラーの純正律って、よく見ると「究極の#指向音律」
というのは、ドデカゴンの表を見て書きました。
つまり、ドデカゴンのオイラー音律(表)では、「Cをルート」にして派生音は全部#音で書かれているのです。
 
 私の見解では、今回の修正音律が「親玉」(少なくとも親玉の中の一つ、下手すると(笑)『大ボス』)で、他の(一般市民に公表されている)純正律は全て「派生形」と考えられます(理由:そう考えないと辻褄が合わないから)。
 で、オイラーは、親玉純正律の「新しい使い方」、「新たなルート音」を提示したもの、と考えられます。(ヴァロッティに対するヤングに近い感じのノリ)。

 その辺のことも余裕あったら今日記事書きたいのですが、今日は家族イベントが多くてどうなることやら(汗)
----引用終わり---------------------------
について記事を書きたいのですが、これから家族イベントが・・・

今日は、今回の修正(以下「王道」)純正律で、以前投稿した「目覚めよと~」(歌唱ミク)を再投稿してきました。http://www.youmusic.jp/modules/x_movie/x_movie_view.php?lid=8965

この曲、王道純正律にしたカシオキーボードで弾いたら、禁則5度が殆ど出なかったので(数カ所)、想定音律は「もうこれしかないっしょ」という運びになりました。
 何のことはない、「目覚めなければ」ならない人は、実は「私だった」、という落ちな訳です(汗)。

では今回の記事で使用する資料です(全て純正律)。ドデカゴンから一部撮影させていただきました。

(資料その①:マールプルク、1776年)
01マールプルクIMG_5717.JPG



(その②:マッテゾン、1717年)

02マッテゾンIMG_5718.JPG


(その③ Fogliano、1529年)

03フォグリアーノIMG_5719.jpg


(その④:発案者不明のヨーロッパ音階対応型)

04不明IMG_5720.jpg


(その⑤:いよいよ問題のオイラー、18世紀)

05オイラーIMG_5721.jpg


(その⑥Salomon de Caus、1615年)

07サロモンデカウスIMG_5723.jpg


(その⑦ ケプラー(天文学者)1619年、 ヨーロッパ音階対応型)

08ケプラー(ヨーロッパ音階)IMG_5724.jpg

(その⑧ キルンベルガーⅠ、1766年)

09キルンベルガー1(読み替え音多い)_IMG_5725.jpg

表の読み方:円の外周から黒い三角形が「内側」に目一杯伸びていれば「1シントニックコンマ狭い」五度、「外側」に伸びていれば広すぎる(所謂ウルフの)五度、どちらの三角形もない場合は「純正五度」。円の「内周」から三角形が伸びていなければ「純正長三度」、伸びていれば純正より広い長三度、です。

これから家族イベントに行って来ます。また後ほど
(上の表を見比べただけでも、「何か」が分かるはずです。皆様、考えましょう(笑))
---記述再開-------------

再開します。

 ドデカゴンと「ゼロビート」本に載っている種々の「実用」の純正律を見て、何点か疑問点が生じました。
 それは、
 ①ルネサンス時代(1400-1600年頃)の純正律はどうなっているの? ルネサンス音楽こそ「純正律」でしょ?
 という点と、
 ②ドデカゴンに載っている純正律は、同主調転調に対応できないものばかり。要するに「長調純正律」ばかり。短調純正律はどうしたの?
 という点と、
 ③「ゼロビート」本では、純正律が「ハ長調用」と「イ短調用」に分化しているけど、純正律ってもともと「そういうもの」なの?
 という素朴な疑問ですね。

 ③から説明すると、純正律の基本は、前に書いたように「演奏する曲の基(ルート)音が変わると調律替えをしなければならない音律」ってことですよね(※但し、上記引用音律の内の「キルンベルガーⅠ」は調律替えを前提としていません)。
 で、純正律否定論者はそれを根拠に「だから不便な音律であり・・・」と論旨を組み立てて行くわけですが、現代の電子楽器全盛の社会では、それはもう通用しなくなって来てますよね。ボタン操作一つで音律変更可能な訳ですから。

 それとは正反対に、私のような「何とかして純正律を使いこなしたい」論者(笑)は、こう考えるんですよ。

 純正律とは、「演奏する曲の基(ルート)音が変わると調律替えが必要となる音律」である、それって即ち「演奏する曲の基(ルート)音が変わらない限り、調律替えをする必要のない音律」なのでは?
 って考えるわけですよ。

 言い換えると、本来、純正律って、同主調転調には対応できる性質のものなのではないですか? と考えるのです。「より原始的な音楽」をイメージすれば、これが正しいであろうことは「直感」でも分かりますよね。

 次に、もっと具体的に「どういう音律構造ならば同主調転調に対応できるだろうか?」を考えます。まず、音階構造を考えると、長調と短調の2種類がありますが、長調の音階は7音(ドレミファソラシ)しか使わないのに、短調は旋律的短音階で9音(ラシドレミファファ#ソソ#)使いますよね。この時に平行調でなく同主調で考えるのです。実はここが最大のポイントなのではないかと思います。

 例えば長調の方をハ調でなく「イ調」で考えると、音階7音は「ラシド#レミファ#ソ#ラ」になって、これを並べてみると
 長音階7音:ラシド#レミ  ファ# ソ#
 短音階9音:ラシド レミファファ#ソソ#
 となりますよね。比べてみると、Ⅲの音以外は、短音階は長音階を「含んでいる」ことが分かります。
 音律学習者はこの瞬間にピンと来るはずなのです。あ、もしかして「短調用の純正律って長調用にも使えるのではないか?」と。
 で、実際、音律表を作ってみると、「音階構成音の範囲(つまりラシドド♯レミファファ#ソソ#の10音)」では「全く問題ない」ことが分かります。つまり、長調のⅠⅣⅤの和音、短調のⅠⅣⅤの和音のいずれも「完全純正」にすることが出来ることが判明するのです。
短2修正_短調(王道)純正律の途中図.PNG

 真人間であれば、この発見をした瞬間、この10音の配列構造(システム)は「純正律の核」だ、「核心」なのだと「確信」(笑)するわけですよ。だってそうでしょ? 長短調の音階構成音の全て、しかも1オクターブ12音の内の何と「10音」ですよ、ほぼ全部と言ってしまっても良い数の音の位置を「完全な位置」にして「完璧なハーモニー」を奏でることができるんですよ。これって謂わば「奇跡的」だと思いませんか?

  まともな音楽家であれば、この構造に『神』を見い出すはずです。そうでない音楽家はハッキリ言って「モグリ」だと思います。そのくらい美しい構造だと感じます。この美しさは、幾ら賛美してもしきれないです。
 もっとハッキリ書いてしまうと、純正律を否定する言動を行っている音楽家は、「神を否定する」に等しい言動を行っていると言えます。

 で、このようなことをウダウダと考えている内に、人は次第に次の覚醒段階に移行するのです。それは即ち、「この10音構造は実は『原初的』、『根源的』、『普遍的』なものなのではないか?」と疑い出す(笑)のが次の覚醒段階です。

 どういうことかと言うと、一般社会の音楽教育では、純正律はあたかも「ルネサンス時代」に「初めて導入された」、「それまではピタゴラス音律(音階)が主流だった」かのような教え方をしているみたいですが、それに対して「嘘つけ! ちゃうやろ!!!」と激しく罵倒(爆)したくなるのが次の段階な訳です。
(まあ100歩譲って「ルネサンス時代に初めて導入された」のが仮に「事実」だったとしても、「では何故、こんなに美しい音律構造の「詳細」の説明を、そして「実演」を、学校の授業で、そして社会で行わないのだろう?」などと、現代社会における音楽教育そして実演への疑問は、それこそ泉のように(笑)次から次へと沸き上がってくる訳ですね。)

 それと、音律をしっかり勉強した人であれば、この表を見たときに全員、間違いなく「全員」が、この表に対して次のような線を書き込んで完成させたくなるはずなんですよ。

短2修正版「ラ」調で示した王道純正律基本サークル図.png
 これ、もう「究極の美」でしょ? どこにも無駄が全くないでしょ? 「3つ目」のシントニックコンマを入れるなんて「ナンセンス」以外の何者でもないでしょ? 

 つまり、10音構造が出来た時点で、こうなるのは「必然」なんです。これ以外「あり得ない」んですよ。それほど「完璧」なシステムなんですこれは。「神の音律」って表現して何ら違和感ないと思いませんか?

 (続く)


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REIKO

私もドデカゴン見て気づいたんですが、6の「Salomon de Caus」(←何て読むんだろ?)が「王道」のイ短調型と同じですよね?
このAのところをCになるように「回せ」ば、ハ長調用の「王道」になるんですよね?
・・・オイラーとSalomon de Causは、「回した」関係にありますね。
マッテゾンとフォリアーノも同様ですね。
by REIKO (2012-06-23 23:31) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます( ^-^)_旦~

>Salomon de Caus」(←何て読むんだろ?)が「王道」のイ短調型と同じ
・・・おお、何と、そうだったのか、オイラーの方に注意がとられて、Salomon de Caus(サロモン デ カウス ですかね?)のチェックがおろそかになってましたわ(反省)。確かにオイラートとも回転関係にありますね。

>このAのところをCになるように「回せ」ば、ハ長調用の「王道」になる
・・・ハ長調用の王道というより、「ハ長調にも可成り対応できるハ短調用の王道」って感じですかね。これで本論で言うことの答えを言ってしまってますけど(笑)、要するにこの「王道」は、長調用として使うには♯音が足りないってことなんですよね。だからそれを補う「長調専用」音律が幾つも考案されたというのがkoten説です(←あくまでd推測ですけど、そう考えれば「全てのパズルのピースが繋がる」んですよこれが(笑))。

>マッテゾンとフォリアーノも同様
 これは気づいてました。
 それと、キルンベルガーⅠって、13番のMartin Agricola(1539年)を回転させたものですよね。9番のRamis de Pareia (1482年)とも(完全相似ではないですが、)可成り近いですしね。

by koten (2012-06-24 00:39) 

Enrique

回しただけのものも多いのですね。
大きくはシントニックコンマ2つのものと3つのものとその他に分けられる様ですね。
ここに記載のオイラー純正律は,私の認識ではオイラー律(非対称型)ホ長調型ですね。REIKOさんも使っていましたね。歴史的?にはこの認識なのですね。
オイラー表(ヨコに純正5度,タテに長3度とった表)でC基準で求めると,「王道」というのが最も普通なハ長調型オイラー純正律ですが。
私は歴史的経緯はあまり興味がないのですね(曲との適合の意味では時期は重要でしょうが)。理由は,普通理系の世界では,沢山の人の試行錯誤の上に立っていることは確かですが最終的に理論をまとめた人の名前で呼ばれることが多いでしょ。例えばニュートンやマックスウェル。ニュートン力学とは言っても,ガリレオ力学,ケプラー力学とは言いません(もちろんその中に含まれても先駆的な重要な考え方には名前ついています)。マックスウェルの方程式でもそうですし(ファラデーの法則やアンペールの法則も含まれます)。
だから,純正律に関しては(少なくとも)シントニック2つのタイプは私はオイラー純正律で良いとの認識ですが音律の世界は違うのかしら?
by Enrique (2012-06-24 09:34) 

koten

Enriqueさん、コメントありがとうございます ( ^-^)_旦~

 音律の世界では、「一番最初に発表」した人の名前を使うのが一般的ですよね。一方で、記事に書いたように、この同主調転調可能な「王道」純正律、特に「10音構造」は、いわば「自然発生的」に出来得るものであり、それゆえに「もの凄く昔」からあったのではないか、と推測しています。(妄想ですが、太古は例えば「黄金音律」とか「神の音律」とか呼ばれていたのではないか、と(あくまで妄想です)。)ですので、この音律に「人の名前」を付けるのはどうも違和感があるように思えます。音楽関係者にとってこの音律は謂わば「聖典」のように思えてならないのです。

 オイラー純正律は18世紀に発表されたものですが、その純正律を「回しただけのもの」(「その⑥」)が、Salomon de Causによって、既に1615年(つまり17世紀)に発表されているようです。ですので、シントニックコンマ2つの純正律は、少なくともオイラーが発表する以前に既に一般に知られていたことになります。

 さらには、「その⑥」の音律に関するSalomon de Causの論文ないし使用説明書(?)などが残されているならば、その内容によっては、既にオイラー以前に相当程度までこのタイプの純正律が「解読」されていたことになりますよね。一方で、私はオイラーの論文を読んだことがないので何とも言えないのですが、(これも未確認ですが)オイラー以後はこのシントニックコンマ2つの純正律の「新しい使い方」を提案した人がいないようですので、オイラーによってこの音律の使用方法が「完全に解読された」と言って良いのかもしれない、とは思っています。

 オイラーの論文でこの音律の「使用方法」がどこまで書かれているのかは非常に興味深いです。ルネサンス期に使われていたと推測される「Gルート法」まで記述されていれば、オイラーは音楽にも非常に詳しかったことになりますよね。

by koten (2012-06-24 19:32) 

Enrique

最初に見つけた人の名前をつけるのは,ピタゴラスやミーントーンはいいのですが,純正律は自然発生的のものでもあるので,沢山の試行錯誤はあるでしょうね。調や生かす和音によっては沢山出てしまいます。だから一元的な理論が必要なのです。
オイラーの原典を当たった訳ではないですが,あんな大天才からしたら,朝飯前の理論構築です。2と3と5の素数の掛け算割り算で音程を表しただけです。そんな大層なものではありません。他の人たちも独自の理論は展開していたのかも知れませんが,20世紀に物理学者のフォッカーがオイラーの理論を任意の素数に拡張していますので,オイラーが純正律をまとめたというのは認識で間違いないです。
ですから,オイラー以前にこういう純正律があったというのはもちろん厳然とした歴史ですが,オイラー以降にナントカ純正律というのは意味ないですね。オイラーの音律は彼の理論からオクターブ内に12音に収めたらそうなるというだけで,彼の音律の一面に過ぎません。
Gルート法というのは何か知りませんが,それを彼が知っていたかどうかは余り意味がないと思います。
彼の理論は特定の調や和音に拘ったものでも5度圏で12音を調整するものでもありません。だから実際上役に立たないという意見もあるのかもしれませんが。
by Enrique (2012-06-30 07:46) 

koten

Enriqueさん、追コメありがとうございます。( ^-^)_旦~

>だから一元的な理論が必要
・・・同意です。一方で、「理論が必要」になってしまったのは、12ETを音楽の「(実質的な)出発点」及び「最高のもの」と定義付けてしまった戦後の音楽社会のあり方が根本にあるのではないか、と感じざるを得ないですね。極論すれば、「自然発生的に生じる音律」である純正律を昔のように「最高規範」としていれば、理論なしでも「感性や本能」で音楽が出来るのではないかと。実際、昔は一元的な理論書などなかった訳ですし、多くの作曲家は理論書など読まなくても曲を書けたでしょうし(勿論、多くの場合「師匠」は必要でしょうけど)。

>オイラーの原典を当たった訳ではない
・・・(前にも書きましたが、)そもそも我々のような「一般市民」が音律研究書の原典にアクセスできるのか、からして疑問を持ってます。音律問題は政治がらみがあるようですので。「上の人」は我々を「ゴイム」扱いしてるし(爆)。

>オイラーが純正律をまとめた
・・・概ね同意です。ただ、シントニックコンマを3つ使う純正律や、一つしか使わない純正律にもオイラーはきちんと言及しているのか、が気になります。そうでないのであれば、
>オイラー以降にナントカ純正律というのは意味ない
・・は、少し言い過ぎなのではないか、と感じます。
 
>だから実際上役に立たない
・・・いやいや、オイラー純正律(シントニックコンマ二つで、ラ♯を使う長調用純正律)が適用できる曲を昨日発見しましたよ(自分祝!)。その内記事を書く予定です。

by koten (2012-06-30 10:17) 

Enrique

何度も失礼します。
また物理の例えで恐縮ですが,現在ニュートン力学を学ぶのに彼の著書プリンキピアを読む人はヒマな科学史家くらいしかいません。新しい理論を知らない当時の人たちに,知らせたという歴史的記念碑的な書物であるのはたしかですが,それを読まないから彼の理論がわからないということにはなりません。多くの人が彼の考え方を十分理解して,世の中が次に進んでいるからです。
オイラーは純正律を数学的にまとめましたので,オイラー以降にまだナントカ純正律というのがあったら,バッタだと思いますけど。あるんですか?
7や11を入れる超モダンなやつですら,オイラーが整理した考え方を押し広げただけですから,敬意を表してオイラー・フォッカーの純正律っていうじゃないですか(連名になったフォッカーは大変名誉です)。これにハマらないものは既に純正律ではないので,ナントカ純正律はあり得ません。オイラーの表にピタゴラスやキルンベルガーIまで入ってしまいますし,オイラー・フォッカーなら全ての純正律を網羅しています。オイラー・フォッカー・ダイアグラムで全ての純正律を記述出来ます。
何度も言いますが,kotenさんが,「王道」と言っているのも,まったく典型的なオイラーの一つの実現系です。もちろんオイラー以前から存在したのは確かでしょう。その五度圏は私の去年の記事にも書きました。
http://classical-guitar.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28

もちろん,実際の曲での適用性を探るのが重要な訳ですので,今後の研究を期待します。
kotenさんに限らず音律界?がオイラーの理論をものすごく過小評価している(シントニックコンマ2つ入れたホ長調型の一音律としか見ない。確かにその見方なら後期のナントカ純正律の一つででしかない。)ようなのが気になりますので,あえて憎まれ口を言ってみました。
by Enrique (2012-07-01 22:10) 

koten

Enriqueさん、再コメおおきにです。

>あえて憎まれ口を言って
・・・いえいえ、何かEnriqueさんの悔しさが伝わってきて良いですよ、趣味道楽の世界はこうあるべきだと思います。(私もREIKOさんにモーツァルトの想定音律論で突っかかってますし(爆))

>音律界?がオイラーの理論をものすごく過小評価している
・・・これには同意です。今まで色々な音律関係の書籍を読んできましたが、オイラーの純正律を(それなりに詳しく)解説している本を見たことがないんですよ。前に紹介したように、「一般人」には、オイラー純正律はCをルートとして♯音を「A♯」まで使うシントニックコンマ2つの純正律であり、その発表年は「18世紀」である、くらいしか分からないのです。

 ですので、もしかしたら「18世紀」にオイラーが純正律理論を発表したことで、その後の古典派音楽で純正律が再び見直されて盛んに用いられるようになった・・・のような説を展開することも或いは出来るのかな、とも思うのですが、そのような説は聞いたことがないし、如何せん私はオイラーの理論を読んでないので評価のしようがない、というのが実情です。オイラーの理論を知る上で何か良い書籍やサイト等、ご存じでしたら教えていただければ幸いです。

>オイラーは純正律を数学的にまとめましたので,オイラー以降にまだナントカ純正律というのがあったら,バッタだと思いますけど。あるんですか?
・・・藤枝氏の「響きの考古学」では、テリー・ライリーがいわゆる「13リミット」の音律システムを作ったとか色々書いてありますけど、これすらオイラーの「想定内」ならば、「無い」ことになるのかもしれませんね。
 ただ、音楽の世界が物理科学等と違うところは、やっぱり「実際に音を出してナンボ」だと思うのですよ。頭の中で考えついても、それを実際に音に出して演奏し、しかも「他の人を感動」させられないと「認められない」のが音楽の世界なのではないか、と。
by koten (2012-07-01 23:22) 

Enrique

オイラーはそれまでの純正律をまとめていわゆる5リミット。
フォッカーはそれをあらゆる素数に拡張しました,だから,テリー・ライリーらのは,オイラー・フォッカー律を利用しているだけです(実践が重要なんでしょうが)。
純正音ならば,必ず素数の組み合わせで書けます。この辺,英語のWikiなどにもかなり出ています。たとえば,
http://en.wikipedia.org/wiki/Just_intonation
kotenさんの「王道」はそこの”Asymmetric scale”そのものでしょ。
あとこれは余り書いてないですが。
http://en.wikipedia.org/wiki/Euler–Fokker_genus
その辺参照して,私なりに解釈してまとめたのが,こちらの記事でした。
http://classical-guitar.blog.so-net.ne.jp/2012-06-09
その辺関連でまた書きますね。

私の今の疑問は5リミットまでならば,音名と対応がつくのですが(これは楽典?のおかげ)のですが,7リミット以上になった時,どう音名と対応付けるのか?付けないのか?ですね。

音律の学問としてはプロの研究者は純正律に関してはもうやることが無いんですね。バッハ音律とかとめどのないやつをコチョコチョやってた方がメシの種になるんです。

オイラー・フォッカーの純正律は前衛音楽家の道具みたいに見られていますが,ピタゴラスまでを含みます。役に立たなければ!とどの分野でも理論に関して実際家はそう言います。でも理論てそんなものでしょ。ゴチャゴチャが整理されて見通しがつく。昔から親玉?王道?があったわよ!とは言っても,理論は包括的なものですから,従来のものを含まないとどうしようもないわけです。

音律だけが特殊というわけでなくて,実際面は理論の入り口で使っていることが多いですよ。自動車動かすのに相対論や量子力学は使わない。制御理論だって,これだけロボットやなんか出て来ても古典論で十分とか言っています。だから現代制御理論なんてそんなモノ要らない(使えて何ぼ)という事になる。一番凄まじいのが数学で何十年も何百年先に行っているわけです。オイラーは歴史上1,2位を争う大天才で,数学的業績すごいから,別に音律界で過小評価されても何でもないのです(名前が残っているだけでも御の字)が,後の理論家はその価値が分るからちゃんと評価します。その辺は感動モノだったはずですよ。そこは音楽の感動とはまた別ですが。

最近昔のピアノの先生にお会いして,音律に興味あるといったら,「ああ数学ね」とあしらわれてしまいました。音律=数学と捉えている音楽家は多い様ですね。
by Enrique (2012-07-02 02:56) 

koten

Enriqueさん、再コメおおきにです。

>オイラー・フォッカー律
・・そういえば、日本の音律関係書籍では(オイラーのみならず)フォッカーの名前も見たことがないです。日本は未だそんなレベルなんですよね(ぷんすか)。

結局、私の主張としては、「現代社会では、12ETの地位を確保するために、純正律の情報が『不当に隠蔽』されている」としか思えないのですよ。そう考えれば全ての不可解な事象(例:何故に日本の鍵盤/ギター曲の楽譜解説には音律情報が一切記載されないのか、何故に音楽理論での「禁則」といえば「平行五度」のことばかりがヒットして、「禁則五度」の真正面からの説明がないのか? 何故にキルンベルガーの「Ⅱ」だけは電子楽器等にプリセットされないのか? などなど)の理由が説明できますので。

>7リミット以上になった時,どう音名と対応付けるのか?付けないのか?ですね。
・・・ううん、クラシックのいわゆる「伝統的」なものとは違うので、最終的には記譜法などを新たに作らないといけないことになりそうですよね。ただ、12鍵盤楽器をそのまま使う場合は、従来の記譜法でも大丈夫そうですよね。ギターで追加フレットを付ける場合なんかは例えばtab譜で「3.5」などと書いておくとか(汗)。

>音律の学問としてはプロの研究者は純正律に関してはもうやることが無い
・・・各種純正律の適用可能曲(特に鍵盤曲とフレット楽器曲)についての研究があるじゃないですか(笑)。多くの研究者は「純正律は鍵盤楽器には適用不可能」って思っているでしょうけど、実際フィッシャーの曲とか適用可能曲を発見しちゃったし。ただ、音律に関する「プロ」の研究者がいるのか?は疑問ですけど。普通みんな(調律師とか作曲家とか)兼業してますよね。オイラーやケプラーだってそうだった訳だし。

>「王道」はそこの”Asymmetric scale”そのもの
Asymmetric scaleってこの表のことですかね。。。
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Size_of_intervals_in_5-limit_tuning_(asymmetric_scale).PNG
 これ、ひたすら数字の羅列で、何が何だか分からないっす(汗)

>その辺関連でまた書きますね。
 期待してます。あと、オイラー純正律につきEnriqueさんブログのコメント欄で書かせていただいたことを再掲しますと、
Enriqueさんの記事を読んでいる内に、オイラーの主張は「禁則5度の箇所は音程を変えて純正5度に修正すべき」と読めてしまうのですが、その理解で宜しいのでしょうか。だとすると「固定音程楽器業界」wから反発くるだろうな、とも感じてしまいます。禁則5度に関し、5度を4度に転回させたり、トリル等で何とか誤魔化す等の作曲上や演奏上の種々の工夫(つまり「現場の声」)に意味がなくなってしまいますので。
 小生、この辺が「理論」と「実践」との『乖離』現象かな、と思うわけですよ。

>オイラーは歴史上1,2位を争う大天才
・・・オイラーが大天才だったことは激同です。で、私としても、オイラーの名誉のためにも、音楽史の「真実」が「オイラーが純正律の理論を発表したからそれに刺激されて純正律の曲が次々に作られた」のだったら良いなぁと思っていますよ。そのためにはオイラーの純正律理論の正確な発表年くらいは知っておきたいですよね。単に「18世紀」なんてレベルでなく(ドデカゴンには「18世紀」と書かれているだけなのです。)。


>最近昔のピアノの先生にお会いして,音律に興味あるといったら,「ああ数学ね」とあしらわれてしまいました。音律=数学と捉えている音楽家は多い様ですね。
・・・モダンピアノの「一般的」な音律である12ETの方が「よっぽど数学的」なのにも関わらず、そういうこと仰るんですよね、音律の何かをご存じない方は。まぁ私も音律についてどこまで知っているのかは定かではありませんが(汗)・・・とにかく深いですよこの世界は(しみじみ)。
by koten (2012-07-02 18:02) 

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