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GW特別編(7、終わり)~収穫の時は来た!~前期バロックは宝の山だ!!-まとめend- [純正ミーントーン(ノーマル中全音律)]

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(続き)
この記事で最後にする予定ですがどうなることやら。

 前回記事ではフレスコバルディの弟子であるフローベルガーのトッカータを調べたのですが、その次に、明らかにチェンバロないしクラヴィコード曲と思われる組曲のホ短調曲を調査しました。フローベルガーと言えば「バロック組曲の完成者」と評価されているので、この調査は外せないですよね。

 で、使用楽譜はこれ。オーストリアのAKADEMICHE DRUCK-U. VERLAGSANSTALT GRANZ

031.JPG 

 この楽譜では、 解説が結構書かれていて、今回それを解読できれば良いのですが、いかんせんドイツ語(汗)。ただ、1959年(つまり12ETの独裁?期)発刊のものなので、音律情報までは期待できなさそうな雰囲気が漂ってます。

 という訳で目次。
フローベルガーの組曲032.JPG

  黄色で塗ったように、28組曲中、ホ短調は4作品あります。それどころかロ短調曲まで作っていることが分かりますが(第26組曲)、手を広げすぎるのもアレなので、今回はホ短調だけ調査します。(ちなみに♭系はハ短調(第19組曲)までで、ヘ短調曲までは作っていないことが分かります。)

で、最初のホ短調曲である第7組曲のアルマンド。比較的ゆっくりの曲であるにもかかわらず、このようにいきなり「真っ向勝負」でVのB和音が出てきます。

033.JPG

 「う~~ん、、でもBと同時打鍵するのは1オクターブ以上離れたD♯で、「3度」にはなっていないじゃん」と突っ込んでいる読者の方には、次のクーラントの前半最後をお見せしましょう。

フローベルガーのD♯ 001.JPG

 今度は紛れもなくBD♯は「3度」です。こうなると、アルペジオで響きの悪さを誤魔化そうとしても、到底誤魔化し切れないでしょう。念のため、サラバンドとジーグの前半最後も掲載しておきます。

フローベルガーのD♯ 002.JPG

フローベルガーのD♯ ジーグ003.JPG

 このように、フローベルガーの組曲(チェンバロ曲)では曲の速度に関係なく、ガチでⅤの和音を「これでもか!」とばかりに使っていることが分かります。なお、他の組曲も同様ですし、各曲の終止の進行は(例外もあるものの)殆どがⅤ-Ⅰ型です。いやぁ、これは怪しいですね、D♯は高さが調整されていたのではないか、との疑惑度大です。

 では、どの程度調整されていたのか? が大問題ですが、、、、、やはり例によってこれも「今後の課題」ですかね。ただ、上記の作曲された調の狭さから言って、ウェルテンペラ系ではなく、あくまでも1/4シントニックコンマ・ミーントーンベースで、派生キーの高さを調整するに留まると考えた方がよさそうに思えます。昨日チェンバロをいじって確認してみたところでは、D♯音の高さとE♭の高さの中間の領域で、「何か妖しい響き」が出る音程があって、どうもそこが匂う(笑)のですが、慌てて書いてもアレなので、今回は保留にしておきます。

 なお、前期バロックのホ短調&調律法を理解するためには、この後の作曲家(例えばケルル(←フローベルガーの弟子)やパッヘルベルやフィッシャーなど、さらにはバッハ)の音の使い方を調べて比較すると良いのですが、やはり今回はそこまで手が回りませんでしたね(残念)。

追記:手書きで年表なども作ったので、後日に追記するかも知れません。

 そんなこんなで、GW中多数回に渡って調べてきた前期バロックのホ短調曲とミーントーン(特にD♯音やⅤ(B)の和音)との関係、この辺で終了させたいと思います。いやぁ、今年のGWは生チェンバロも弾けたし、充実していて私としては非常に有意義でした。

 それでは皆様、長文にお付き合い頂き、どうもありがとうございました。


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Enrique

お疲れ様です。
連休中から沢山記事が上がっているので,どれにコメントするか迷うところですが,一連の記事の主題は,『「ミーントーン系が使われたとすると,ホ短調曲を調べれば良い」という考え方』という理解でいいですね。それとホ短調曲そのものが少ないということは,ミーントーン系が使われた証ということでしょうか。しかし調べる対象そのものも少ないので痛しかゆしというところですかね。
大枠の話としては,Dis型を使えば問題ないわけですが,にもかかわらずホ短調曲が極端に少ない(FWバージナルブックには皆無)理由としては,私はリュートの影響と見ます。初期の鍵盤曲はかなりリュートに影響されているのではないでしょうか?リュートのホ短調は,いわばギターでいえば(技術的には)嬰ハ短調相当ですから,こんな弾きにくい調はないわけです。音律的にはダブルフレットや付けフレットによりDis型併用は可能でもリュートでの殺人的弾きにくさは変わらないはずです。バッハがホ短調のリュート曲作ったのもこの辺のリュートの演奏技術への無頓着ではないかと思っています(現代作曲家が書いたギター曲もそうですよね)。
by Enrique (2012-05-09 12:47) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます&お疲れさまです(笑)。
( ^-^)o旦~~ ♪

>一連の記事の主題は,『「ミーントーン系が使われたとすると,ホ短調曲を調べれば良い」という考え方』という理解でいいですね。
・・・その通りです。

>ミーントーン系が使われた証ということでしょうか
・・・そう考えてます。記事にしたように、フレスコバルディの頃は、純正なMTがオルガンの基準(謂わば「社会的音律」)として存在していたが故に、オルガンでB-Dis(実際はEs)の減4度を鳴らすような曲を書くのは躊躇われていた、と言えるのではないかと。で、小生としては、それが純正MTの「修正」に伴って変わって行くのかな、という心証ですね。

>初期の鍵盤曲はかなりリュートに影響されている
・・・「書法」面ではそう言われてますよね。例えば(初期ではなく後期ですが)、クープランの「神秘的なバリケート」の書法も非常にリュート的ですし。

 一方で、作曲(選択)する調についてはリュートの影響は受けていない(はずだ)と考えてます。すなわち、リュートは、様々なサイズ(弦長)の楽器が存在する謂わば「移調楽器」ですし、この移調楽器的性質により、5線譜表示が流行らずに専ら「タブ譜」で書かれてますよね。なので、同じ曲が(同じ運指の)様々な「調」(←正確には「音高」)で演奏されていたし、楽器選択や調弦により、いわゆるホ調(の高さ)でもリュートなら弾けた(←但し実際の「運指」はいわゆる他の弾きやすい調用のもの)、と考えられます。

 それより(大)問題なのは、「どうしてリュートとチェンバロ用の2重奏曲の楽譜が現存しないのか?」ですよ。
http://okwave.jp/qa/q7292501.html
>リュートと通常のチェンバロだと、音の大きさが違うので、二重奏にしにくい
・・というのは理由になっていないと思います。音の小さい小型チェンバロ(スピネット)だってあったし、大型チェンバロでも蓋をすれば音量を凄く小さくできるのですから。
で、答えはやっぱ「闇の勢力による陰謀」しかないっしょ(爆)。

>バッハがホ短調のリュート曲作った
 ・・ネット上では、バッハのリュート組曲は(ある種の)ギター用に作曲された旨の説が出てますよね、情報源どこだったか(汗)。学生時代に習ったギターの先生もそのようなこと仰ってましたね、そういえば。

by koten (2012-05-09 18:47) 

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