GW特別企画!収穫の時は来た(3)、前期バロックは宝の山だ!!-(続)実際の楽譜を調べてみる。 [純正ミーントーン(ノーマル中全音律)]
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(続き)
いやぁ、その後、久しぶりにチェンバロを純正ミーントーンに調律して弾いてみたのですが、やっぱこれ良いですよ、最高w! 一方で、「あぁ、こりゃぁまだ録音アップにはほど遠いな」と思い知らされましたが(自爆汗)。
では写真再掲。
これは、フレスコバルディのトッカータ集(第1巻)より第6番のトッカータで、ホ短調の曲です(ちなみに奥に見えるのはピラミッドパワー実験用のジェネレーター(笑))。
楽譜中に書き込んであるように、リナルド・アレッサンドリーニのチェンバロ演奏(CD:ARCANA A904)だと6分26秒くらいの曲です。先ほどの記事でトッカータ演奏にあたっての9つの指針についてちょっと書きましたが、このCD(トッカータ集第1巻、2枚組)の日本語解説書には、その内容が非常に詳しく解説されてます。なので、このCDは学習者には凄くおすすめです。
で、楽譜中に答えを書きましたように、最初の記事で予告メモしておいた
>驚愕! ホ短調の大曲で属和音(B)さらにはD♯音、それどころかBのオルゲルプンクトすら一切使わない曲を発見・・しかも作曲者はあの有名な巨匠※※※※(笑)
の答えはこれです。但し、その直前の曲(トッカータ第5番ホ短調)も同様です。
これが第5番の出だし。
(曲の開始が和音でないので珍しい型といえそう。)
で、ホ調の曲で「属和音(B)を使わないのならば、曲の終わり(終止の進行)はどうするんかいな?」という疑問が当然に出ますが、この両曲では、V(B)→Ⅰ(E)の進行ではなく、Ⅳ(A)→Ⅰ(E)の進行で終わらせています。これが第6番の最後の小節。
これに対して、他のトッカータは全て、Ⅴ→Ⅰの進行で終わっています。
証拠を挙げると、下記が第1番から第4番(いずれもト短調曲)の最後の小節。どれもⅤ(D)→Ⅰ(G)の進行で終わっていることが分かります。
(←トッカータ第1番)
折角なので、トッカータ第1巻の全12曲の最終小節をすべて載せておきます。
これが第7番ニ短調、Ⅴ(A)→Ⅰ(D)で終わります。
第8番ヘ長調、やはりⅤ→Ⅰ(つまりC→F)
第9番イ短調、これもⅤ→Ⅰ(つまりE→A)
第10番ヘ長調、やっぱりⅤ→Ⅰ(C→F)
お疲れ様でした(笑)、最後の第12番ハ長調も予想を裏切ることなくⅤ→Ⅰ型です。
最後は堂々たるⅤ(G音)の長大なオルゲルプンクトの後に主和音で綺麗に終わっています。
トッカータ集第2巻の方も、写真は載せませんが、第1、第2番がト短調で第5、第11番がト長調(いずれもD→G)、第3、第7番がニ長調で第10番がニ短調(いずれもA→D)、第4番がイ短調(E→A)、第6、第8、第9番がヘ長調(いずれもC→F)です。
つまり、ホ短調の第5,第6番以外は全てⅤ→Ⅰの進行で終わる曲です。何故ホ短調曲だけがⅣ→Ⅰの進行で終わらなければならず、しかも導音であるD♯の音を1個も使っていないのか? それはもう答えを書くまでもなく明らか(笑)。 この頃の最も一般的な音律が「通常の純正なミーントーン」であり、その音律だとD♯の音が「不正」すなわちE♭音なので(特に持続音のオルガン用の曲としては)D♯音は「使えない音」と考えられていたから。これで決まりでしょ(笑)。
逆に言うと、ホ短調の第5,第6番のトッカータは、純正なミーントーンで弾いて初めて真価が発揮される曲であり、ウェルテンペラメント系の均質化された音律で弾いても面白みがない曲と言えそうですよね。
(続く)
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