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Mark Lindley氏の書籍紹介とガットフレッティングの途中経過報告 [音律関係の書籍の紹介]

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12月4日のコメント欄の自己引用から

----自己引用--------------------
・・・これに関連して、先日、注文していたフレッティング関係の外国本が届いたのですが、フレット楽器でも可成り前(少なくとも1500年代?)から、色々な調律法(in various regular tuning systems)として、(1/4や1/6のみならず)1/5や2/7(←!)や2/9(←!!)コンマのミーントーンもあったようですね。第44頁の表4では、「 various regular tuning systems」として、7種類の調律法が載ってますね(上記5種の他にピタゴラスとETが挙げられてます)。

----自己引用終わり--------------------

 ということで、注文していた昔のフレット楽器の音律に関するMark Lindley氏の書籍「Lutes, Viols & Temperaments」が(「少なくとも6ヶ月待ち」と言われていたにもかかわらず(笑))先日届きましたので、「超簡単な」紹介記事を書きたいと思います、、いや何せ英文の本でして、これからじっくり読み込む必要ありますので(汗)。

 まずは引用した上記事項の証拠(笑)写真です。文章だらだら書いているよりこうした方が断然説得力あると思いますので。
フレットの本、ガットフレット化 008.jpg
はい、これが「第44頁」でして、以下に表4(Table4.Tempering of triadic concords in various regular tuning systems.)の部分を拡大しますね。
フレットの本、ガットフレット化 009.jpg

 このように、「Tempering of triadic concords in various regular tuning systems.」として7種類の音律が挙げられていて、その内の5種類がミーントーンな訳ですね。で、この「 in various regular tuning systems」の「regular」の意味が問題かと思うのですが、単に「規則的な」の意味、換言すると「直線フレットで実現できる」音律という意味に過ぎないのか、それとも「標準的な」の意味、換言すると「当時の標準だった」音律という意味なのか、ということですね。というのも、1/5コンマはともかくとして、「2/7」や「2/9」コンマのミーントーンなんて初めて見ましたので。これが昔の「標準音律」の一つだとしたらエライことですよね(汗)。

 まぁいずれにせよ、フレット楽器においてミーントーン音律のフレッティングは「普通に」使われて来たということは言えますよね・・・これ、もう「異論なし」ってことで宜しいですよね?

 ちなみに純正律についても色々と書かれていますね。
フレットの本、ガットフレット化 011.jpg

 下記のギターの図は「ギターでは純正律は「不可能」である」ということを強調するために(一種の見せしめ?)引用されることがありますよね。
フレットの本、ガットフレット化 012.jpg
 ただ、今回発見したイ長調純正律型(KBⅠ類似型)はこれとは全く異なるもの(段差が何カ所かにあるだけ)ですし、この本にも載ってそうな雰囲気は無い感じですね(but英文を全部読む必要あるかも(汗))。

 で、この本は現在、新書では入手不可のようで、古本であれば例えば下記サイトで2冊出品されてますね。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/okbooksea.cgi?ISBN=0521246709
 ↑あぁぁ、¥6,808 だって、私が買ったのより凄く安い!(爆)
 というわけで、フレット楽器関係の方、古楽関係の方、「『古楽の音律』ではフレット楽器の音律情報全然載ってないじゃん(ぷんすか!)」とお嘆きの方、今がチャンス&早い者勝ちです(笑)

 今回買いそびれた方も、
Lindley, Mark Lutes, Viols and Temperaments
でググると、販売店情報が色々と得られると思いますので是非。


 上記書籍本に刺激されて、上記2/7コンマミーントーンと、2/9コンマミーントーンの数値(平均律との差を表したセント値)を手計算で出してみました。

2/7コンマMT
フレットの本、ガットフレット化 013.jpg
 2/7コンマということは1/3.5コンマってことですから、純正短3度が得られる1/3コンマMTと純正長3度が得られる1/4コンマMTとの中間の音律、すなわち「短3度と長3度の両方をバランス良く純正に近づけるようにした」音律と言えますよね。

 次は2/9コンマMTです
フレットの本、ガットフレット化 014.jpg

 同様に、2/9コンマは1/4.5コンマってことですから、1/4コンマMTと1/5コンマMTの中間の音律、、、ううん、これはすなわちどういうことだろう?、、、「1/4コンマMTだと5度が耳障りだけど、1/5コンマMTだと3度の純正度が足りないと感じる」人向きの音律ってところですかね?(汗)

 後は半分余談です。
 ギターのフレットを「フレットガット巻き」にすることにつき、3年くらい前にフレットガットを仕入れて準備していたのですが、ずっと放置状態となっていて、ようやく今日、念願叶って実行できました(自分祝!)・・いやぁ本当、これも実行までに年月要しましたね、、、音律を変えることもそうですが、何でこういったことに「勇気」、「大いなる決断」、「凄いエネルギー」が必要になるのか不思議でしょうがないです、、、ホント、誰かが「無気力念波(別名:ヤメタランス光線)」でも送り続けているのではないか?って疑っちゃいますね(爆)

 簡単に説明しますと、作業に当たって、先ず、1/6MTに設定していたギターの仮フレットの木工用ボンドを水で溶かして、フレットを除去します。
フレットの本、ガットフレット化 001.jpg

こんな感じで取れます。
フレットの本、ガットフレット化 003.jpg


で、後は例えば
フレットガットの結び方
などでググると指南サイトがヒットしますので、それに従って作業すればOKですね。
ちなみにフレットガット(牛の腸)は下記サイトで購入しました。
http://coastaltrading.biz/string_strings/post_230.html

 ともあれ、ガットを火であぶる時のあの匂いはとても良いですね(笑)、、思わずガットに(「いかそうめん」とばかりに)カブリつきたくなる衝動に駆られるのは私だけでしょうか?(爆)

最初の1巻き目は結構苦労しましたが、2巻き目からは比較的順調に出来ました。
フレットの本、ガットフレット化 004.jpg

で、まず2/7コンマMTを試してみたのですが、、、何か変な響きでしたね(汗)、、でも、もしこれが昔の「標準」音律の一つであったのならば、「慣れるまで使ってみる」必要があるってことになりそうですよね、昔の人の感覚に近づくためにも。

 これは2/9コンマMTのフレッティングを作っているところです。
フレットの本、ガットフレット化 015.jpg
 
 まだ音程のつめが甘いので、ちゃんとした音程になった暁には、何か演奏upしたいところですね。
(ちなみに端っこにあるフレットは「補助フレット」用の1.1ミリのガット巻きです(他は1.0ミリ))

 では今回はこんなところで!




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コメント 2

REIKO

>「regular」の意味が問題かと思うのですが

これは(最後に残る五度以外は)全て同じ広さの五度を「規則的に」積み重ねて作った音律・・・という意味だと思いますね。
「標準的な」ではないと思いますよ、おそらく。
(理由を聞かれても困りますが・・・)

>「2/7」や「2/9」コンマのミーントーンなんて初めて見ましたので

「ドデカゴン」にRatte名で2/7や2/9が出ていましたよ。
他にも2/11とか1/9なども。
単に数値計算するだけなら、色々考えられる・・・ということでしょう。
で、2/9SCは4.8セント狭い五度なので、1/5PCと同じですね。
(完全に同じなのか、多少の誤差があるのかは分かりませんが)
ただ、ピタゴラスコンマを割った音律では、割った数(この場合は5)と同じ数の「純正より狭い五度」を配置して、それで終わり(ケルナーなど)・・・が普通ですが、「ナンとか分のど~たらミーントーン」(笑)では、ズラッと並べるのがお約束ってことなんでしょうね。
3/11SCは1/4PCと、2/11SCは1/6PCと同じですね。
ピタゴラスコンマ、シントニックコンマのどちらを割った数値かにかかわらず、最後の一つをのぞいて同じ五度を並べた音律なら、直線フレット可能・・・でいいのでしょうね?

>ガットを火であぶる時のあの匂いはとても良いですね

その話、時々目にしますが、タレをつけたら食べられるんじゃないでしょうか・・・?(笑)
乾燥ホルモン焼きみたいなもんでしょ?
商品化したら、お酒のツマミとして売れそうな気もしますね。
by REIKO (2011-12-07 03:04) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。(*^_^)/C□~~ カフェ♪

>「標準的な」ではないと思います
・・・私も何かそんな気がしてきました。ともあれ、他の箇所もしっかり読み込む必要ありますね、、、あぁ英文苦手(汗)。

>「ドデカゴン」にRatte名で2/7や2/9が出ていましたよ。
>他にも2/11とか1/9なども。
・・なっ何と、あ、あったのかぁ~!!(爆)

そういえば、1/7を採用したゼルキンって今年も日本でリサイタルやったみたいで、結構話題になってますね。「調律のおかげ」という噂もちらほら出てるみたいですし。
http://www.kajimotomusic.com/news/2011/08/02/pa-to-z17.php
ここでは「空前の名演」と評価されてますね。
http://www.kajimotomusic.com/news/2011/08/29/pin.php

 ホント、(例え無名の)モダンのピアニストでも、(比較的純正度の高い)古典調律(さえ)使えば、あっと言う間に高評価得られると思うんだけどなぁ。。。ホント、勿体無いというか何というか、、、
 我々のような下の者が各自のブログで、「(比較的純正度の高い)古典調律(さえ)使えば、(モダン楽器でも)コンサート聴きに行くぞ~」って世界発信で叫べばクラシック音楽社会変わりますかね?(笑)


>3/11SCは1/4PCと、2/11SCは1/6PCと同じ
シントニックコンマを22セント、ピタゴラスコンマを24セントとすれば同じですよね。
 ただ、より正確には、シントニックコンマは約21.5セント、ピタゴラスコンマが約23.5セントみたいなので、正確には若干違うってことになるんですかね、、結局、数値の誤差(の揚げ足をとること)が重要なのではなく、「何を目的としてその分数を掛けるのか?」が重要なんですよね。それと、「シントニックコンマ」に対する分数の掛け算の方が、「(どこかの)和音の比率を整数比にする」目的がある(場合が多い)と思われます。

>ピタゴラスコンマ、シントニックコンマのどちらを割った数値かにかかわらず、最後の一つをのぞいて同じ五度を並べた音律なら、直線フレット可能・・・でいいのでしょうね?
 前にも書きましたが、「可能」と考えてます。勿論、全部試した訳ではないし試せる訳がないのですが、可能でなければ辻褄が合わないと思います(勿論、弦の張力、材質、太さ、弦高等による誤差は考えないという前提で)。

>タレをつけたら食べられる
・・・変な表面処理がされていないことが前提ですね。例えばテニスのガットだと「防水処理」がされているので、炙ると石油臭い匂いがするんですよ(爆)。

>商品化したら、お酒のツマミとして売れそうな気も
・・いやぁ、原価が高いのでコストパフォーマンスがとても合わない気が(笑)、、ワタシャ「いかそうめん」で我慢?します(爆)

by koten (2011-12-07 18:26) 

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