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夜に音源追記!!! これが純正律の本質か? ~昼休みつぶやきシリーズ~ [音律(調律)の基礎知識]

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昼休みつぶやきシリーズ

 フレット楽器の純正律の研究を始めてから色々と考えさせられることが多い。総じて、毎日が楽しくて仕方がない(笑)。

 古典調律を本格的に研究しようと思った切っ掛けは、「生楽器でのミーントーン体験」だった気がする(何しろあの「生まれて初めての生楽器による純正長3度の洪水」体験は本当に凄かった。未だ体験していない人が或る意味羨ましい(爆))。
 だから、このブログのタイトルも「ミーントーン大好き!」になっている訳だ。

 しかしながら、西洋の音楽理論を本格的に勉強しようと思ったら、やはり出発点を純正律としないと「分かるものも分からなくなる」のではないか、との感が次第に強くなってきた今日この頃である。逆に言うと、純正律を勉強することで、ミーントーンやピタゴラスを実践しても「どうしても分からなかったこと」が「あっ!そうだったのか!」と分かるようになるのではないか、と感じ始めている。

 一例を挙げよう。

 純正律(以下「PT」) vs 代表的音律であるピタゴラス(以下「PG」)、ミーントーン(以下「MT」)、(本来は論外音律であるが(爆))12等分律(以下「ET」)

 問1:純正律とこれら3種の音律との「本質的違い」は何か? 言い換えると、PG、MT、ETに共通する事項であってPTには備わっていない事項(≒性質)は何か?

 ヒント:制限時間はオクターブ(8)分&下の□を見よ!

---1(ド)分経過------


---2(レ)分経過------

---3(ミ)分経過------
---4(ファ)分経過------


---5(ソ)分経過------

---6(ラ)分経過------


---7(シ)分経過------
---8(ド)分経過------

・・はい!時間です。

 正解は、
 PG、MT、ETに共通する事項
 =音階(ドレミファソラシド)において「全音が相互に等しい」

 純正律(PT)=「全音が2種類ある」
  ということである。

 つまり、
 PG、MT、ETは、ドレミファソラシドが
「ド○レ○ミファ○ソ○ラ○シド」という構造なのに対して、
 純正律(PT)は、
「ド□□レ□ミファ□□ソ□ラ□□シド」という構造なのだ!
 (↑□一つだと小全音、□□だと大全音、以下同じ。)

 このことから何が分かるかというと、例えば、
 上記3種の音律では、
 イ短調とニ短調の短3度和音に関し、
 どちらも同じ構造すなわち「ラ○シド」、「レ○ミファ」及び音幅(すなわちPはP短3度、MTやETはそれよりは広いが純正より狭い短3度)
 になるのに対して、

 純正律(PT)は、
 イ短調とニ短調の短3度和音に関し、
 相互に違う構造すなわち「ラ□□シド」、「レ□ミファ」になるがために、
 「相互に違う音幅」になるのだ!!!!(←私的には大発見!!!!(笑))

  具体的には、イ短調の短3度和音「ラ□□シド」は大全音が入っているので
 『純正短3度(5:6)』になるのに対して、
  ニ短調の短3度和音「レ□ミファ」は小全音が入っているので
 『ピタゴラス短3度』になるのだ!

 つまり、「音階中」に構成される「長」3度の「種類」は、4種の音律のいずれも「1種類」となるが、
 「音階中」に構成される「短」3度の「種類」は、PG、MT、ETでは「1種類」となるのに対し、純正律(PT)では「純正」と「P」の『2種類』を味わうことが出来るのだ!!!

 なので、教会旋法(何故かマイナーな「エオニア(=エオリアン?)」vsどういう訳か有名で人気が高い「ドリア」)についても、PG、MT、ETで弾いても「どっちも同じじゃん!」としか感じない(はずだ)が、純正律(PT)で弾けば「全然違うじゃん!!」ということになる(はずだ)。

 面白い、何と面白いのだろう純正律理論(笑)。この調子で行けば私も音楽博士?(爆)
 

------------------------------
音源追記:
教会旋法のエオニア(=エオリアン?) vs 「ドリア」について、
先ほど録音したので音源upします。但し基準ピッチが高めです(モダンより半音高い感じ)。



順番に鳴らしてますが、低い方が純正短3度&エオリアン、相対的に4度高い方がピタゴラス短3度&ドリアです。


 いやぁ、本当、純正律は凄いですわ・・・古典調律の研究をミーントーンから始めてしまったことに今更ながら後悔しています(泣)。 読者の皆さんも、多くの人がサイト上で主張している「純正律は(実用音律として)不可能」という言葉にだまされないようにして欲しいと強く願う次第です。 「不可能」と主張している人の殆どは、「何も実験していない人」だと思います。

 例えば幼稚園で歌う歌なんて凄くシンプルだし、純正律の適用範囲のものが殆どなのだから、電子鍵盤楽器(例えばカシオ製)を純正律にした伴奏で歌えば、凄く音感の良い子供が育つと思うのですが、上の人が「不可能」と主張している今の日本の社会では難しいでしょうね。 音楽界の上の人は、子供の将来を何も考えていないのでしょうかね・・・。


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コメント 5

Enrique

純正律の音間隔は純正音の拾い方によって3通りくらいは出来ますよね。
いずれにしろ純正律だと旋法の違いが良く出るということですね。
エオリアンで良いと思いますが,エオニアというとイオニア(ドの旋法)と区別が分かりませんね。
純正律の使用は何を持って不可能とするかですね。転調が出来ないとは良く言われますが,音律に応じたやり方がある訳でしょうしね。平均律で出来る事が純正律では出来ないというのは本末転倒な考え方でしょうね。
by Enrique (2011-10-28 00:41) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。
>純正律の使用は何を持って不可能とするかですね。
・・確かに。

>転調が出来ないとは良く言われますが,音律に応じたやり方がある
・・本当、今回勉強していてそれはつくづく感じてます。ミーントーンで5度を控えめに使うケースがあるように(例えばソルのエチュード)、純正律も「たとえ転調しても、その禁則5度を使わなければ良い」だけの話なんですよね。3度は純正なのだから(←この3度については本当、出回っている情報や電子楽器が明らかにオカシイ!)。さらには、TPOに応じて禁則5度を効果的に使うことだってできる訳ですし。ミーントーンの「ウルフ」でさえ効果的に使って来たのだから、単なる不協和音にすぎない禁則5度(でも「整数比」和音)を効果的に使えないなんて、そんな人に「芸術家」と名乗って欲しくないですね(きっぱり!)。
 2種類の全音の凸凹の並びについては、本来「それを活かすように何とかする」のが芸術家(作曲家や演奏家など)の使命なんですよね。あれだけ美しい音律なのに!
 本当、キルンベルガーが鍵盤楽器の調律に(白鍵が純正律である)KBⅠを提案している書籍に何て書いてあるのか、是非読んでみたいなあ。(推測ですが、おそらく「この音律なら(調律替えすることなく)全ての調に使える」って書いてあるはずですよ。「純正作曲技法」中の(KB「Ⅱ」の)売り文句はそれですから。 つまり、基音をどこにしても良い、調律替えはするな、「(少なくとも器楽の分野では)純正律は昔からそうやって使ってきたんだ」ってことだと思うんですよ。)

>平均律で出来る事が純正律では出来ないというのは本末転倒な考え方
・・・激同、まさに激同です(笑)

>エオニアというとイオニア(ドの旋法)と区別が
・・なるほど、発音も字も似てるのでごっちゃになりそうですね。分かりました、ネット界でも「エオリアン」が多数派みたいだし、今後は「エオリアン」で行きましょう!

>純正律だと旋法の違いが良く出る
・・そうです。誰でも「違いの分かる人」になれる訳ですよ(笑)。

>3通りくらいは出来
・・・そうですね。ちなみに「純正律だと半音が3種類できる」という記事を以前に見かけたのですが、どこだったっけかな?(とググル)・・・あった、ここだ(祝!)。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1142977136

 ええと、要約すると、純正律だと正確には半音が4種類できるが(70.7セント,133.2セント,111.7セント,92.2セント)、1オクターブを12音に限定するのであれば、この内の3種類を使うってことですよね。

 で、重要なことは、まずは「音階中に含まれる半音(つまり、①ミファと②シド)」は何か? と言う点で、これはどうなのかな、、、回答者さん、Eの数値をすっ飛ばしてるからなあ(爆)、、、あ、でもEは有名ですね(約386セント)。とすると、Fの498.0から減算すると、約112ってことは、111.7セントですね。

②シドも、1088.3cをド(1200)から減算すると111.7セントなので、これで、
「音階中に含まれる半音(つまり、①ミファと②シド)」は1種類、すなわち111.7セントで確定! ってことですね(MTやPGと比べてどうなの?ってのは次の機会に(汗))。


by koten (2011-10-28 12:52) 

REIKO

なるほど、つまり教会旋法も純正律で考えないと(というか聴かないと)、ホントのところは全然分からないってことですね!
旋法によって、純正とピタゴラスの2つの短三度ができる(楽しめる?)とは、全然気づいてませんでした。
そもそも「ピタゴラス長三度」って、割と目にする言葉ですが、「ピタゴラス短三度」の方はマイナーというか、私もベトベン=KBIIを調べるまで、全く脳ミソの外でしたし・・・。

>「何も実験していない人」

どんな音律でも、「曲の書き方次第」で転調もできるし、ちゃんと使えますよねえ?
(ナンとかと音律は使いよう?←平均律だって「使いよう」かも!?)
純正律に限らず、音律に関する色々な文を読むと、「無実験」で「~と言われている」「~とされている」みたいに書いてるのが多すぎると感じます。
「モーツァルトが愛したミーントーン」という小見出しがあり、その項を読むと彼が1/4S.C.ミーントーンで作曲した(ということは、ミーントーンで演奏できる)としか解釈できない本を持っていますが、どのピアノソナタでも冒頭ちょっとミーントーンで弾いてみれば「絶対に違う」のは明白なんですが。
音を出してみないで音律を語ってはダメですよね・・・

>禁則5度
>鍵盤楽器の調律に(白鍵が純正律である)KBⅠ

KBIの「熱情」第三楽章で、破綻はしないけどD-A禁則を使っている点について、以前は「避けようと思えばできそうなのに、ベートーヴェンにしては手抜かりだ」「この小節さえ無ければ完璧なKBIの曲なのに」・・・と思っていましたが、最近ふと気づきました。
彼は「音律の全てを使って作曲」したかったのに違いないです!
調べたら、全ての五度を(和音として)使っていました。
禁則使っても破綻しないってスゴイです・・・さすが楽聖♪

by REIKO (2011-10-29 14:53) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。~~■Pヽ( ̄▽ ̄*)

>旋法によって、純正とピタゴラスの2つの短三度ができる(楽しめる?)とは、全然気づいてませんでした。
・・・いや本当、これについては私も全くノーマークでした。
 純正律は、勉強すればするほど、「何でこんなに美しい音律を『実践』しないの???」の思いが強くなっていく音律だと感じますね。(そして最後には根拠の希薄な『陰謀論』に走る?(爆))

実際、例えば下記のJust Intonation networkでは、純正律が用いられなくなったのは歴史的な事故である旨の意味深な見解が述べられてますし。
http://www.justintonation.net/

>平均律だって「使いよう」かも!?
 超ざっとですが、下記の傾向はいえるかと。
 平均律の「使いよう」:
 クラシック(≒芸術)音楽界⇒無調化、12音技法、半音のさらなるn分割化、、、、
 新たな音楽創世のベクトル⇒ジャズ(最終的には無調主義化した)、ボサノヴァなどの不協和音中心主義
 ポピュラー音楽界⇒盛り上がったら半音上げ転調とか

 和声(感)や調性(感)を「捨てる」覚悟があるのなら平均律使えば良いと思うのですが。私は嫌ですね、「自然に反する」こと「ばかりやっている」と、「幸せが遠のいていく」のを身にしみて体験してますので。


>音を出してみないで音律を語ってはダメですよね・・
・・・全くもって激同です。


>「音律の全てを使って作曲」したかったのに違いない
・・・偉大なる芸術家になればなるほどこの傾向強いですよね。
 例えばクラシックギター作曲家の中でもソルの曲とかは凄くその傾向を感じます。「あらゆる和声、あらゆる調性、あらゆる変則調弦、etc・・を使い尽くす」ことに生き甲斐を感じているかのような、そんな雰囲気さえ感じます。

 ギターをミーントーン化すると、あるフレットではD♯、割と近くのあるフレットではE♭が出るので、最初は「同じ音が出ないので、これは使い物にならないのではないか?」と疑問に思っていたのですが、1/6の実験をした後は「そうではないな」と思えるようになってきました。実際は「1曲中で『両方使って(!)』上手く両立させていた」んだな、と思います。

by koten (2011-10-30 09:41) 

koten

追記:
>あるフレットではD♯、割と近くのあるフレットではE♭が出る
・・・逆に言うと、これって凄いことなんです。
 鍵盤楽器では「分割黒鍵」を(特注&超高コストで)付けなければできないようなことを、フレット楽器では、何の苦労もせずに実現できてしまう(つまり1オクターブに13個以上の音を得ることができてしまう)んです!!! これって「凄いこと」だと思いませんか、このブログを読んでいるROMの方(笑)

by koten (2011-10-30 09:49) 

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