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自分祝!記事100号記念_補遺編・フレンチミーントーン_週刊(習慣?)音律マガジン第6号-冬休み&年末大サービス版(笑) [週刊(?)音律マガジン]

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何だかんだで、この投稿が丁度100回目の記事になります(自分祝!)

今回は、以前(下記サイト)に書いたフレンチミーントーンの記事の続き(補足)です。
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-12-18

【要約】
 フランスにはミーントーンが正しく伝わらなかった。
 →誤った解釈(?)により、「歪んだ(いびつな)型の音律」が輸入された。
  ①この歪んだ型の音律から「独自の音楽文化」が生まれた。
  ②そして、フランスの鍵盤音楽界は、
   ※悪く言えば、この歪んだ音律(いわば「改悪ミーントーン」)を「修正」していく歴史であった。
   ※良く言えば、この歪んだ音律(いわば「独自のミーントーン」)の原型を尊重しつつ、より洗練された音律及び(それに基づく)音楽を「進化」させて行く歴史であった。

 以上、「古楽の音律」の記載内容より(若干私見を加えつつ)要約。

フランスの「各種調整律」につき再掲しておきます(「古楽の音律」より)。
IMG_5034.jpg

----余談---------------
 このように、「古楽の音律(東川清一編、春秋社)」は、音律関係書籍の中でも名著中の名著であり(少なくとも私はそう思う。「聖書(バイブル)」と言って良いのではないか?)、是非とも復刊が待たれるところである(私は既に持っているから良いけど(爆))。

 ただし、この本は、驚いたことに、平成22年12月29日現在、ひそかに市場(現世、表の世界)に出品されている(定価の3倍近くでふっかけられているが(汗)、私がこのブログを立ち上げてから初めて見かけた出品であり、私的にはとても驚愕しているw。ちなみに可成り昔にこの本が3万円くらいで出品されているのを見たことがある・・・あぁ、何と嘆かわしい現世であろうか(悲嘆))。というわけで、興味のある方はamazonで検索されたい。早い者勝ちである(笑)。(ちなみに出品者は私ではないので誤解のないように(汗))

 え?、私がこれだけ書いたにも関わらず「検索が面倒?」・・・いけませんねぇ、平※律の「ヤメタランスガス」に毒され過ぎてますよそれ(合掌)。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%8C%C3%8Ay%82%CC%89%B9%97%A5
 ↑ここです、本当に「早い者」勝ちですので。
------------------------------

以下は私見です。

 フランスの「ヴェルサイユ・ピッチ」、即ちバロックピッチ(a'=415Hz)よりもさらに半音低いピッチ(a'=392Hz、下記のwikiで「ティーフカンマートーン (Tiefkammerton)」と言われているピッチ)は、要するに、
 『上記の歪んだ音律の唸り(悪い響き)を出来るだけ緩和しよう』として編み出されたもの(よく言えば「裏技的」、悪く言えば「苦肉の策的」なピッチ)なのではなかろうか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E6%A5%BD%E5%99%A8

(補足:同じ「周波数比」の和音であっても、ピッチや音域を下げれば、単位時間当たりの「唸りの回数」が減ります。)


 フランスのチェンバロ音楽で「低音領域偏愛」の曲が非常(異常?)に多いのも、上記の歪んだ音律の和音の唸り(悪い響き)が出来るだけ目立たない低音域を、(人、真人間(笑)として)いわば『自然に』選択した結果なのではなかろうか?

 さらには、フランスの製作家によるチェンバロ(クラヴサン)の低音が「『良く鳴る』ように設計されている」のも、上記事項と密接に関係しているのではなかろうか?

 フランスの「イネガル奏法」や「バスとメロディーの打点タイミングを少しずらす奏法」などのフランスのクラヴサン曲独自の種々の奏法も、上記「歪んだ音律」から『自然発生的に』生まれた奏法なのではなかろうか?(少なくとも私は、何種類かのフレンチミーントーンを電子楽器で試してみて、そのように感じました。)

 いやぁ、まさに音律は『音楽の本質』ですね!!


 (この記事は未だ粗書段階なので、後に加筆される可能性があります。加筆されると(お茶ら化されるので)エッセンス内容が大分「薄まって」しまうかも知れませんが(汗)・・・なので、このエッセンス記事を読めた貴方は「超ラッキー」かも(爆))

余談:フランスの音律について、専門書レベルになると「ミーントーン」という言葉を使っていないのも、上記歴史的事情などを考慮しているのかなぁ、などと思ったりもします。

余談2:知り合いの某芸大の作曲科専攻の学生さん(美人女性)から、このブログについて「右翼的」みたいに言われたのですが(泣)、表現形式や特定の音律批判の姿勢はとりあえず置いておいて(汗)、書いている内容それ自体は「本質突いている」はずだと思っているのですが、読者の皆様いかがですか? 


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REIKO

確かに「奏法」または「表現」と「音律」は、関係があると思います。
例えば不等分律(含・改良型ミーントーン)で、苦手な調へ転調し、調子はずれっぽい音が出たり、響きが厳しい箇所を弾く時、「災い転じて福となす」的に聴かせるには、それなりの「奏法」「表現(テンポ、フレージングなど)」が必要です。
装飾音の種類が多く、クネクネ・ノタノタ(笑)の仏クラヴサンの奏法は、音律の歪みと良くマッチしてますね。
ただ、フランス人だってバカじゃないから(笑)、歪んで伝わったとしても、それを「直す」くらいの頭は持ってたと思うのです。
だから歪んだまま使ってたのは、結局それが当時のフランス人の感性と合っていたからとも言えるのでは?
「音律が先か、奏法が先か」は「卵が先か鶏が先か」的なところもあると思います。

★「神秘のバリケード」を急きょ打ち込んで、先日の「もしかして?クープランのミーントーン」で鳴らしてみましたが、A♭音が出てくるあたりのクプレの「崩れ具合」が絶妙、ロンドー部分との対比も鮮やかで、とても良い感じでした。
響きの変化から、テンポの揺らしやタメと突っ込みのタイミングが自然に引き出せるので、ベタ打ちの後、編集するのもラクでした。
もし全てが同じように響いていたら、「どこでどうするか」演奏のヒントが得にくいでしょうね。

>「右翼的」みたいに言われた

右翼か左翼かは分かりませんが(笑)、音律は音楽の大前提なので、「平均律に疑問を呈する」と、憲法にケチつけてるようなものと映るのでしょう。
まあ、言いたい人には言わせておけば。
でもピアノ業界なんてまだいいですよ、楽器そのままでも調律替えればいいので。
私が心配?してるのは、「木琴業界」「ハーモニカ業界」などです。(爆)
by REIKO (2010-12-29 15:33) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。
>フランス人だってバカじゃないから
・・・私もそうは思うのですが、最近「モーツァルトの手紙(岩波文庫)」の上下巻(下記サイトのブツ)を入手しまして、この中のパリ滞在中に父に送った手紙で息子アマデウスは、「馬鹿なフランス人」というフレーズを執拗に繰り返し述べてますね(汗)。フランス人は物を考えないだとか何とか、散っっっっっ々悪口書いてますよモーツァルトは(爆)・・・何なんでしょうかねこれは(汗)。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003350413/ref=pd_1ctyhuc__sim_02_03

>歪んだまま使ってたのは、結局それが当時のフランス人の感性と合っていたから
・・・これには同意です(笑)。今日、チェンバロを①の音律(広い5度が3カ所、残りはミーントーン5度の音律)にしてルイ・クープランを弾いてみたのですが、凄く合っている感じしました。どのように控えめに?見ても、ノーマル・ミーントーンよりは確っっっっっ実にマッチしてますね。めちゃ感激です(笑)。

 疑問なのは、②の音律(1/5p.c.狭い5度を積み重ねるもの)がどのようにして出来ていったのか、何故にこれがフランスの「通常」調整律と、わざわざ括弧書きまでして(笑)「通常」と強調されているのか、そして、「通常」と強調しているくらいなんだから、ラモーやクープランなどは、この音律を当然知っていたはずであり、それなのに何故に採用しなかったのか(この音律の何が気に入らなかったのか(←やっぱり「純正」長3度が無いところか?)、「ラモーやクープラン以外のフランスのクラヴサン曲は②で正解!」で確定なのか?、ラモーやクープランが自分の音律を発表する前の彼らの既出版済みの曲の(ベスト)音律は、①なのか②なのか?(或いは、そのときは一般に②が「通常」調律として凄く広まっていたから「①が廃れるのはケシカラン!」と感じて①の修正版を彼らが発表したのか??)、、、などですね。

 なので、とりあえず今は生楽器で①を「試すだけ試し」てから、②→ラモー→もしかしてクープラン(笑)に進む予定です。先は長いですね(汗)。

>もし全てが同じように響いていたら、「どこでどうするか」演奏のヒントが得にくいでしょうね。
・・これは確かに言えるかも。


 ハーモニカ業界といえば、純正?ハーモニカでなくて鍵盤ハーモニカの話しですが、ウチにあるSUZUKIの鍵盤ハーモニカの音律は、最初「ヴェルクマイスター法」に再調律されて、現在は「アーロンのミーントーン」になってます(爆)。メーカーに問い合わせたところ、意外と安い値段で再調律してもらえました。


by koten (2010-12-30 02:33) 

Enrique

第100号オメデトウございます!超ディープな話題での達成,並みのものではありません!

さて,妻のチェンバロ発表会は当初相当違和感がありました。上手な人とそうでない人の区別がつきませんでした(笑)。
ギターのセゴビアのような低音高音ずらし・立ち止まり・リズムのくずし演奏をする人がいたり,あれは(特に)フランスものだったのですね。しかし,フランスものもバッハも調律を変えることなく演奏していますので,ウェルテンペラメント系の調律なんでしょうね。
いずれにせよ,最近あまり違和感感じなくなって来ました。

楽器の鳴りの件,胴の共振周波数をどこに持ってくるかが基本的設計だとは思いますので,低音用の設計当然あるでしょう。
低音の件,たしかにうなりは低い分少ないですが音は持続しますので目立つ方向に作用します。むしろ耳の感度特性があるかもしれません。楽器音は倍音含め2kHz以下だと耳の感度が落ちてあまり気にならないとか言われています。

音律が秘伝のようになっているのは何故でしょうか。普通の本が一万円以上の値段がついているのも,秘伝の書だからでしょうか?kotenさんのブログ,表世界?で殆ど触れられない話題をばったばった斬っているので,独善的に映るのかもしれませんね。しかし美人女性!の指摘では無視できません(笑)。しろうとでも突っ込みどころがあるといいかもしれません(作曲専攻の方がしろうとの訳ないですが)。

ちなみに横レスですが,木琴は音板の裏を削って調律可能です(中央部を削れば下がります)。ハーモニカなどのリード楽器は素人には手を出せません(これもリードを削るんでしょうけども)ね。木琴等は衝撃音の後音が減衰するので音程がごまかされてしまいますが,リード楽器は音が延びるので分りまくりですね。楽器屋さんに音律の認識があるかどうかですね。
by Enrique (2010-12-31 14:49) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。

>ギターのセゴビアのような
・・・セゴビアの演奏って、音律(フレッティング)といいリズム面と言い、聴けば聴くほど深いものを感じますよね。良い演奏とは何か?につき、最近は「あぁ、この人、逝っちゃっているな(笑)」というのが伝わって来る演奏が「グッドジョブ」だな、と思うようになって来たのですが、セゴビアの演奏はそれが特に伝わって来ますね。

 低音の件、現在、生楽器でフランスの調整律を試しているところですが、これがナカナカ深い&電子楽器で感じたよりも①の(原型)音律が相対的に結構良いものに感じられます。また、A音をバロックピッチより少し低めの410hzに設定して弾いているのですが、それでも「全体的にピッチが少し高い」ように感じてます。やはり、当時のヴェルサイユピッチ(392hz)も試さなあかんみたいです(笑)。あと、ピッチを低くした方が、「装飾音」が格段に弾きやすくなりますね。

>音律が秘伝のようになっているのは何故でしょうか。普通の本が一万円以上の値段がついているのも,秘伝の書だからでしょうか?
・・・基本的にはそうだと思いますね。人(特にプロ)によっては「企業秘密」的なところもあるでしょうし、幾つかの書籍では、音律については「昔から慎重に議論され&伝授されてきた」的なことを説明しているものもあります。
 
 ただ、インターネット等の普及により情報の流通が「もの凄く早く」なった現代社会は、「もう(昔のような)そんな時代&社会ではない!」と言い切って良いかと思います。
 そんな昔のような(悠長ないし秘密主義的な)ことをしていたら、クラシック音楽の分野だけが時代の流れに取り残されてしまうことは確実であり、他の分野の人から笑われてしまうでしょう。 (例えば将棋界などが良い例であり、あの世界では「将棋の真理を究めよう」と躍起になって研究や新定跡の探求(さらにはデータベースの整備やコンピュータ将棋ソフトの開発など)が行われていて、「一ヶ月前の情報(新手情報など)はもう古い!」とか、そんなレベルで進化し続けています。 「古楽界もあのくらいハイレベル化&ハイスピード化になれば面白いのに!」っていつも思います(笑)。

 ちなみにチェンバロの調律法に関する外国のサイトで下記のものを見つけたのですが、
http://harpsichords.pbworks.com/w/page/16830825/Temperament_Ordinaire
こういうサイトを見てしまうと、「日本は余りにも遅れているな」って感じちゃいますね(泣)。


>美人女性!の指摘では無視できません(笑)。
・・・そうなんですよ、美人だと困りますよね(爆)。

 ・・あ、新年になってしまいましたね(笑)、そんな訳で、本年も宜しくお願い申し上げます。 m(_ _)m


by koten (2011-01-01 00:40) 

ogawa_j

かなりディープ(オタクっぽい?!)内容のブログですね。REIKOさんの「ヘンデルと戦慄の右脳改革音楽箱」から入って見ました。私の「私的CD評」で、時々自分流の音律論を書いていますが、まあ、上っ面を撫でる程度です。このフランスのピッチに関する記事も面白いですね。いびつな音律を輸入し、それを独自に展開していったという観点、「フランス人は頭が悪い」という暴言 m(_._)m も結構気に入りました。時々訪ねて来ようと思います。
by ogawa_j (2011-01-02 12:44) 

koten

ogawa_j さん、コメントありがとうございます。

ogawa_j さんのブログ、時々拝見させていただいております。特にバッハ音律の記事は非常~に参考になりました。

 あ、あと「フランス人が頭が悪い」と暴言を吐いたのはあくまでもモーツァルトですので(爆)。あくまでも私は「どういう根拠で彼がそんなことを言ったのかなぁ」と問題提起しただけということでお願いします(汗)。
by koten (2011-01-02 16:32) 

Cecilia

あけましておめでとうございます。
私のブログにコメントをありがとうございます。
REIKOさんもいらっしゃっていますね~。
EnriqueさんにもREIKOさんにもお世話になっています。
音律には詳しくないのですが、今度a'=415Hzで歌う予定があります。
前にも歌いましたが普段の練習では半音下げて練習する必要があるかなと思いました。(面倒なので今回もしないかも?)

皆様に教えていただき私も詳しくなりたいです。
よろしくお願いいたします。
by Cecilia (2011-01-03 16:13) 

koten

Ceciliaさん、nice&コメントありがとうございます。

どうもどうも、あけましておめでとうございます。
遅レスすみません。元日から家族総出?で大風邪をひいてしまい、小生この2日ほど熱にうなされて死んで?ました。なので未だに初詣にも行っていないという体たらく(泣)

>REIKOさんもいらっしゃっていますね~。
・・そうなんですよ、REIKOさんの突っ込みコメントが毎回鋭くて、当方も大変勉強になります。 (・・・ひそひそ・・・ コメント欄や他のブログで、沢山の方がREIKOさんの名前を挙げておられるところをみると、REIKOさんって可成りの有名人なのですね(感心)、、ブログ界の「女帝」ってところかしら?(爆))

>EnriqueさんにもREIKOさんにもお世話になっています。
・・このブログを立ち上げたのは、Enriqueさんのブログで「ソルはミーントーンが好きだった」という記事を拝見したことがを切っ掛け(トリガー)になりました。なのでEnriqueさんは私にとって恩人なわけです。

>今度a'=415Hzで歌う予定があります。
・・肉声の場合、音程を自由に変えられるしフレキシブルに微調整できるので良いですよね(羨望)・・ただ、楽器の伴奏で歌う場合は楽器の音律に合わせる必要があるし、無伴奏でも合唱だとピッチや音律を決めておかないとバラバラになってしまうので、その辺の摺り合わせが大変なんだろうなぁ、などと勝手に想像(妄想?)する次第です。

 可成り昔に、クラシック歌曲のプロの卵の人に(楽器伴奏で歌う時のコツについて)質問したことがあるのですが、(独唱の場合は)「楽器より高めに歌う」という答えが返ってきました。

 あと、ウチの嫁がいつも嘆いて?いるのは、日本人は低めの音程から入って徐々に高くしていく歌い方が多くて、あれが「とても気持ち悪い」んだそうです(汗)。いわれてみるとなるほどなぁと思ったり。

 
by koten (2011-01-05 20:18) 

koten

アヨアン・イゴカさん、niceありがとうございます。励みになります。
by koten (2011-01-05 20:20) 

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