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(20130508凄いサイト情報追記)週刊(?)音律マガジン第5号(分割鍵盤特集) [週刊(?)音律マガジン]

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 今回は年末で時間が無いため(汗泣)、サイトURL引用モードで行きたいと思います。

 ええと、名著「古楽の音律」によれば、分割鍵盤の楽器について、第2章(モノコルド分割)で「(歴史的には確かに存在したが、)音楽史の大きな流れからすれば、広く普及するところとはならなかった」(第72頁)と位置付けており、かつ、鍵盤楽器のための音律の章(第5~第6章)では一切取り上げていない一方で、「ヴァイオリンの音律」に関する第7章では、「イタリアでは分割鍵盤の楽器が流行っていた」的な「雰囲気を匂わす」記載があります(汗)。

 具体的には、第183頁に「分割鍵をもつチェンバロを所有していた楽長、ジョヴァン二、ヴァレンティーニ(1582-1649)」という記述があり、続いて第184頁に、フランスの物理学者シャルル・エベール(1733)の手書き原稿として以下のような記事が紹介されており、

--------エベールの手書き原稿-----
 イタリア人はフランス人より、エンハーモニック音の使用に慣れ親しんでいる。私がこのように考えるようになったのは、サンフォニーあるいはコンセールでそうした音のいくつかが演奏されると、イタリア人の全聴衆の顔に突如として喜びの表情が現われるのを見たときである。その瞬間、教会の中ですら、彼らはこぞって「ヴィーヴァ!」と叫んだので、新参のフランス人は渋面を抑えることができなかった。
--------------
 さらに引用すると、

>しかしながら、やはりエベールによると、1733年にはすでに、そうしたエンハーモニック音程の使用は衰退しつつあった。1733年にはすでに、そうした分割鍵をもったチェンバロがもはや流行らなくなったからである。

・・とあります。
 この記述及び後の記述(ラモーが有名な「地震」で異名異音の導入を試みたがフランスの聴衆に受け入れさせることができなかったこと、対照的にイタリア人はその後も4分音を用いていたこと)から、
『フランスの音楽界では早くから異名同音の音律を採用するに至ったが、イタリア人は伝統的に♯音と♭音を明確に区別していた』ということが読みとれて、しかもイタリアでは「分割鍵をもったチェンバロが流行っていた」と読めてしまうのですが、この推理(?)で合ってますよね・・・。

 ちなみに第198頁にも、
>18世紀のイタリア・オペラでは、エンハーモニック的転調が次第に流行るようになり、これが平均律的半音の導入を支援することになった(分割鍵をもったチェンバロは忘れ去られていった)。とにかく、イタリア人がシャープ音とフラット音の区別に対する好みを忘れ去って、アンサンブル音楽においては、調整された音律(tempered intonation)を最も強く支持するようになっていったというのは、まったくの驚きである。
 と、「駄目押し」的な説明があります。

 ちなみに下記レオンハルト氏のインタビュー(最後の方)でも、分割鍵盤のチェンバロとオルガンについての質疑応答があります。
http://www.allegromusic.co.jp/leonhardtinterview.htm

 で、ここから、「じゃあ初期イタリアの鍵盤楽器音楽は分割鍵盤の楽器を前提として作曲されているのか?」、「フレスコバルディ(1583年-1643年)は分割鍵盤の楽器を持っていたのか?」などの疑問が当然に沸いてくる訳です(当然ながら「楽譜解説」には分割鍵盤情報(換言すると音律関係情報)には一っっっっ切言及されていないことは言うまでもありません(笑))。

 で、これにつき、最後はやはり(レオンハルト氏が示唆するように)「楽譜解析」しかないな、とは思うのですが、今日はちょっと時間がないので、今後の研究課題とします。

 このように、私的には分割鍵盤の楽器は「イタリア人のためのもの」というイメージがあったので、「その他はノーマーク」、「ヘンデルは例外的」な位置付けをしていたのですが、先日、野村氏のこちらのサイト(2009年6月26日の記事)を見て仰天しましたね(汗)。

 何と英国では「ピアノ」にまで分割鍵盤を付けていた!!(驚)

 これでやっと「英国=ミーントーンの国」と呼ばれる訳が分かった気がしました(ここのサイトも参照)。
 なので、(ドイツ生まれだが最後は)「英国人」だったヘンデルが分割鍵盤の楽器を持っていたとしても何の不思議もないわけですよね。

 最後に、分割鍵盤の楽器が紹介されているサイト情報です。

(20130508追記:)
http://www.h-pi.com/eop-keyboards.html 
  ↑
 各種写真と説明あり。、、2013年05月08日現在で知る限り、このページが一番凄いと思います。(追記終わり)

イタリア16世紀の驚異の分割鍵盤(図面が残っているのが凄い!)

現物情報その1、分割鍵盤クラヴィコード


現物情報その2、分割鍵盤クラヴィコードとペダルクラヴィコード


ショートオクターブの解説サイトで、最後に分割鍵盤についての図説明があります。但し異名異音の分割ではないので意味合いが少し違いますが。
 


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Cecilia

西山まりえさんのリサイタルに行って分割鍵盤(黒鍵)を見てきました~。
レクチャー付きで実際に音の違いも聴かせていただき、とてもよくわかりました。和音の音色の違いがこうも鮮やかになるとは、と感じました。
このサイトの写真にあるようなものでした。
http://www.h4.dion.ne.jp/~y-cemb/koubou.html
この分割鍵盤のチェンバロを手に入れるのに8年待った、とおっしゃっていましたよ。
by Cecilia (2011-10-02 18:33) 

koten

Ceciliaさん、nice&コメントありがとうございます。( ^^) _U~~

 西山まりえさんにつき名前は何度か聞きつつも演奏を聞いたことが無かったので少し調べていたら、バロックハープとの両刀使いの方なんですね。
http://www.youtube.com/watch?v=1-v84wm6WC4
で、上記バロックハープの響きが斬新(減衰早いし何かリュート的な雰囲気さえ感じる)なこともあり、ハープについて検索している内に、下記サイトを発見してしまい、
http://www.mideastmfgjapan.com/harp/ichiran.htm
思わず衝動買いのクリックを押しそうになりました(汗)。いやぁ安いですよねこの値段。このサイト、リュートもお安い値段で販売しているんですよね。
震災以来お金を使わないようにしてきたので、芸術の秋だし、ここらで発散?して使っちゃおうかな(爆)

 分割鍵盤楽器を特注してべらぼうなお金&待機時間を費やすよりはこの行動の方が建設的かなと感じた次第です・・っていうか分割鍵盤楽器買うお金なんかとてもないし(自爆)
 それにしても、分割鍵盤でレクチャー付きのリサイタルがされるようになったとは、本当に良い時代になりましたよね。次はミーントーンの布教(笑)をより一層頑張ることが課題ですかね、分割黒鍵楽器を復活させるためにも。

by koten (2011-10-03 00:02) 

Cecilia

まさに動画のハープを使われていました。西山さんのツィッターを見たらハープもミーントーンとおっしゃっていましたね。
この動画の曲を演奏されていましたよ。
http://www.youtube.com/watch?v=_lJitVx_6t8&feature=related
分割鍵盤のチェンバロはこの動画のものです。
http://www.youtube.com/watch?v=67UDKZxzcys&feature=related
木目調(塗装してない)の一見素朴なチェンバロでした。蓋の裏の灰色がかった翡翠色に金の縁取りが素敵でした。塗装すると音の響きが変わってしまうという話でした。
by Cecilia (2011-10-03 08:39) 

koten

Ceciliaさん、追コメおおきにです。 旦ヾ(∇⌒*))),,,,,

 西山さんのツイッターを見ました、、いやぁ、あのハッチャケぶり、如何にも古楽界の人って感じですね(笑)、、ミーントーンは人を幸せにする調律法なんじゃないかなぁという思いがだんだん確信に変わって行くような気がしている今時分です。しかし「ハープもミーントーン」発言がなかなか出てこない(泣)・・可成り昔の発言ですかね。

 ああ、本当、ハープ欲しくなってきました(爆)。
by koten (2011-10-03 12:26) 

Cecilia

9月30日のところにありますよ。
by Cecilia (2011-10-03 22:42) 

koten

Ceciliaさん、情報ありがとうございます。先ほど確認しました。「灯台もと暗し」とは正にこのことですね、盲点でした(汗)。
by koten (2011-10-04 12:09) 

REIKO

バロックハープの話題が出てるので、ちょいと書かせていただくと、以前に初めてバロックハープのソロCD(アンドルー・ローレンス・キングのもの)を聴いた時、その響きの美しさに驚いたんです。
(ちなみにモダン・ハープは、モヤモヤしていてそんなに好きな楽器ではない)
当時は「バロックハープは音が綺麗」という認識でしたが、今思うと綺麗に響いていたのは「音律」も関係してたのでしょう。
同じ楽器でも、平均律だったらこんなに美しく聞こえないはずだと。

その後マーラ・ガラッシというバロックハープ奏者を知り、こちらの方がテクが上だ(笑)し、さらに響きがクッキリしているので、音律もローレンス・キングとは違うのかもしれません。
(もっとミーントーン寄りの気がする・・・もちろん演奏曲の年代にもよりますが・・・そういえば彼女、ヘンデルも弾いていた!)

プサルタリーも、中世の歌モノの伴奏で初めて聴いた時は、その美しい響きに仰天!しましたが、その後バロックの合奏?で使われてるのを聴いたら、何か平凡な響きでイマイチでした。
中世の方は、おそらく純正律ではないかな?と思います。
(中世の歌モノは基本的にワン・コードで伴奏できるため)
ドレミ・・・♪ ってやっただけで、絶美!な感じ。

多くの場合、「この楽器綺麗な音&響きね」と思ってしまいますが、実は楽器自体よりも音律が大きく影響している・・・ということを、もっと多くの人に気づいてもらう必要があると思います。
by REIKO (2011-10-05 17:02) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。 旦ヾ(∇⌒*)),,,,

なるほど、「アンドルー・ローレンス・キング」と「マーラ・ガラッシ」ですか、今度youtubeあたりでチェックしてみますか。

>モダン・ハープは、モヤモヤしていて
・・・そうなんですよね、あのモヤモヤ感、明らかに音律のせいですよね(しみじみ)。

>同じ楽器でも、平均律だったらこんなに美しく聞こえないはずだと。
>実は楽器自体よりも音律が大きく影響している
・・・超ウルトラ激同です(笑)。是非ともこの台詞、もっと色々なサイトで激しく呟いてくださいよ(爆)。

>中世の方は、おそらく純正律ではないか
・・・なるほど、これも試してみる価値ありそうですね(もうすぐアレが届く、うふふふふふふ(←不気味(汗)))。


by koten (2011-10-06 12:57) 

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