SSブログ

(11/19追記)③「非」平均律フレットギター研究論序説(その3:キルンベルガー第3「改」フレットG) [私のうねうねフレットギター]

スポンサー広告
a8mat=2BY7HO+F5YIIA+33TA+609HT" target="_blank">



 
 すみません、キルンベルガー第3を修正した音律のギターの紹介が残ってました (汗)

 まずは、通常のキルンベルガー第3の音律を示します、こちらです。

通常k3IMG_4782.jpg

 上の図を見れば分かりますように、この音律では、C-Eが純正長3度(±零、Just!)になり飛び抜けて美しい響きが得られます。一方で、この音律は、ギターで良く使われるホ長調の主和音(E)の長3度が「純正+20セント」となり、殆どピタゴラス3度に近いんです。 あの悪名高き(?)平均律の長3度(純正+14セント)より6セントも劣化しているのです。
 11月16日に書いた記事の冒頭で、
>キルンベルガー第3を比較対象としない理由:ホ長調のケアが薄いので没(汗)。
と書いたのは、要するにこのことです。
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/archive/20101116

----ここで突然ですが、ティーブレイク!!------------

  脱線しますが、前にも述べたように、キルンベルガーは、発表した三種の音律(第1,第2,そしてこの第3)のスキスマ(約-2セント)を、一貫して「F♯-C♯」の位置に設定しています。

 さて、キルンベルガーは、スキスマの位置を一体何故にこの位置(F♯-C♯)に指定したのでしょうか?
 第3音律では、スキスマの位置をその隣の「B-F♯」に設定すれば、Dの和音の3度が改善され且つC♯音スタートのピタゴラス音階が確保されるのに、(もっと高級な事を言えば、B-F♯の5度を汚くすることでEとBの和音の差別化を図り「より古典調律っぽい雰囲気も醸し出せる」のに、) それらを全て放棄してまでF♯-C♯の位置に拘ったんです。スキスマの位置をF♯-C♯からB-F♯に変更するのなんて極簡単なんです、F♯の音を少し下げて、純正5度をF♯-C♯に移動させれば良いだけの話ですから。

 それでは、一体何故にキルンベルガーは、F♯-C♯の位置をスキスマ5度に指定したのでしょうか?
 そして、これに答えられる人は現在この地球上に存在するのでしょうか?(笑)

 koten君の仮説はこうです。
 まずは以前(平成22年11月3日の文化の日)に記事した純正調の5度圏サークル図を再掲してみましょう(引用は、平島達司著「ゼロ・ビートの再発見」(技法編、東京音楽社)より第43頁)。
IMG_4712.jpg

 そして、以下がkoten君が考え着いた、キルンベルガー氏の「狭いF♯-C♯5度」に関する『メッセージ』です。
 鍵盤楽器で伝統的に言い伝えられている純正調の3つの(1s.c.)狭い5度の内の一つは「B-F♯」に設けられているけれども、それだと、Dの和音の長3度が崩壊する(純正長三度と純正短三度との間の所謂「中立音程」になってしまう)よね~、だから「本当はヴァイオリン奏者が行っているように、鍵盤楽器でもこの位置(F♯-C♯)を狭くするのが正しいんじゃない?」という『メッセージ』(謂わばキルンベルガーの『遺言』)なのではないか!と (←これぞ驚愕説!)。 
        ・
        ・
 東川清一編「古楽の音律」の第109頁(ヴァイオリンの音律-歴史的概観)より
IMG_4700.jpg

        ・
        ・
        ・
 この説の真偽は定かではありません、あくまでも仮説(妄想?)ですので。 あとは読者さんの想像力の豊かさに期待します。(でも、電子楽器にプリセットされている純正律(JUST)の狭い5度の位置、早くキルンベルガーの『遺言』通りになって欲しいなぁ~(爆))


--------------
 さて本題に戻ります。
 ・・・ええと、何の話しでしたっけ?・・・・・あ、そうそう(汗)、キルンベルガー第3は「ホ長調のケアが薄い」って話しでしたね(笑)。 だから、『普通の人』であれば、「この音律はギターには使えないよね~」で終わってしまいますよね。私も「とりあえずは」没にしました。

 しかしながら、ギターの音律設計の方法(秘策)として、先日に「Gスタート」の技法や「欲張り」の技法を勉強しましたよね。 それならば、「ん、まてよ!? これらの技法(秘策)をキルンベルガー第3にも適用できるんじゃないか?」と考えるのが『真人間』(笑)なわけですよ。何事もチャレンジです! 実行あるのみ。

 と言うわけで、(自称真人間の(汗))koten君は考え着いたのです。「ギターでこんな音律があったら面白いんじゃない?」って。
K3改IMG_4781.jpg

 どうでしょう? 昨日の記事を理解した方ならば、この音律では、キルンベルガー第3に対して「Gスタート」の技法と「欲張り」の技法(秘技)の両方を適用しているということが分かりますよね。
 ここで注目すべきは、「Gスタート」適用によりC-Gの5度を純正にしても、G-D-A-Eの3カ所の5度が「-5.5」セントと狭いため、C-Eの長3度(純正+5.5セント)は、通常のヤング音律のC-E(純正+6セント)よりも響きが良いという点です。
 また、「欲張り」適用により(純正-5.5セント)狭い5度がGから5カ所連続して並んでいるために、ギターでよく使うGの和音の長3度(G-B)と、Dの和音の長3度(D-F♯)の2カ所(!)で純正長3度(±0.0000・・・セント)を作ることができます。特に、③弦開放のG音と②弦開放のB音が「純正長3度(4:5.00000・・・・の振動数比)」に設定されるギターなんて、そうそう無いですよアナタ!(笑)
 さらに、ホ長調のE-G♯の長3度は純正+11セントとなり平均律よりも3セント改善され、Bの和音の長3度は平均律よりも2.5セント劣化してますが、ホ長調の曲を弾くには許容範囲内に収まっていると評価できるかと思います。

 なお、この音律は、Gスタートの適用により①⑥弦のE音と②弦のB音との間が-5.5セントとなりキルンベルガーのEB5度(=純正)とは異なるので、korgの電子チューナーを使って調弦する時は、キルンベルガーではなく「ミーントーン」を使えば良いことになります。
  また、「欲張った」ために出来る広い音程(この例では5カ所の5度を-5.5セントとするので、5×5.5-24(p.c.)=27.5-24=3.5セントの余剰分)は、前回述べたように、余り使わない和音(例えばE♭)の5度にそのまま(3.5セント「広い」5度として)設定する(「押しつける(汗)」)か、或いは、例えばC♯-G♯-E♭-B♭の4カ所の5度のいずれかに少しづつ「散らして」しまうなど、様々な方法で割り当てることができます。

 さて、この音律は何と命名しましょうか?(笑)・・・より正確には「Gスタート欲張りキルンベルガー第3改造ギター用」音律ですが(汗)、長すぎるので単に「キルンベルガー第3「改」」と呼びましょう。

 このキルンベルガー第3「改」音律によるうねうねフレットは、実際に名古屋のギター製作家の大西達朗氏に作って(スペイン製ギターをフレット改造して)いただきました。ちなみに大西さんにフレット改造を御願いしたギターは3本あって、それぞれ改造後の音律は、最初が純正ケルナー音律、次がこのキルンベルガー第3「改」、そして最新作が次回ご紹介する「ケルナー-※※」音律(汗)です。 あっ、あと「フレットレス化」してもらったギターもありますね(笑)、これを含めると合計4本ですわ。
 (大西さんグッドジョブありがとうございます。m(_ _)m)

 ちなみにこのキルンベルガー第3「改」ギター、人前で演奏したことはあるのですが、投稿upは未だ行っていないので、機会を見て録音などしたいと思います。

 それでは今日はこの辺で、皆さま良い芸術の晩秋を!

11/19追記:上記キルンベルガー第3「改」ですが、その後色々と調べたところ、ジョビン氏の提案したバッハ音律に結構近いことが判明しました(驚き!)。下記参照サイトのページ内の下の方にジョビン音律の5度圏図が掲載されてます。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4053/bach.html
 見てお分かりのように、ジョビン音律も5.5セント狭い5度(図中の「1/4」シントニックコンマ)を「連続して5箇所」に設置することにより、純正長3度を「2つ」確保しております。キルンベルガー第3「改」音律と違うところは、(狭い5度、所謂ミーントーン5度が)Cスタートである点と、3.5セントの余剰分を複数箇所(G♯-E♭-B♭-Fの3箇所)に散らしてしまうところですね。
 ジョビン氏の音律のように「Cスタート&5連続のミーントーン5度」だとホ長調のケアが依然として薄いのですが、ジョビン音律は鍵盤楽器用(しかもバッハの快適音律クラヴィーア曲集(24の前奏曲とフーガ)用に提案されたものなので、この辺が鍵盤楽器用音律と(ホ長調を重視する)クラシックギター用音律との明確な違いとして現れる、といったところでしょうか。・・・・いやあ、音律って本当に面白いですねぇ、、、っっっって思っているのは私だけ? (汗)
タグ:さん
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
うねうねフレットギター 古典音律フレット 非平均律フレット楽器 古典調律鍵盤楽器ブログを作る(無料) powered by SSブログ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。