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【徹底検証】整数比和音の核心に迫る!! [音律(調律)の基礎知識]

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【今回の検証対象】
8:9:10(大全音と小全音)
20:25:32(1オクターヴを長三度分割した和音)

【本記事のレジュメ】
 kotenは、キルンベルガーの「純正作曲の技法」を読み、また、インド音楽の音階を調べている内に、以下のような素朴な疑問に見舞われるのであった。

①大全音(8:9)には本当に「協和性がない」のだろうか?
②純正律やミーントーンの減4度ないし増三度(25:32)は、本当に「ウルフ音程」なのであろうか?
 ※ティーブレイク(笑):増三和音(オーグメント・コード)は、本来、純正律やミーントーンで奏されるべきではないだろうか?
③総括:整数比和音を余りになおざり(ないし過小評価)していると、陰で「インド人に馬鹿にされる」のではないだろうか?

 さて、今宵の実験検証では、あなたの耳が『どれだけ平均律に毒されてしまっているか?』が分かるかもしれない。


----「音程検証劇場」 これより開幕です----------------------

【検証その1】:本当に大全音(8:9)には協和性が認められないのか?

 【イッテツ】:お前さん、今日は2回目の記事じゃん。どうしちゃったのよ、この頑張りようは?(笑)
 【koten】:いやぁ、整数比の和音について色々調べている内に、「西洋音楽、このままじゃ何かマズイんじゃないか?」と危機感が沸いて来てしまって、居ても立ってもいられなくなりましてね・・・あと、もう午前零時回っちゃったんで、ブログの日付けデータとしては31日のものですね、これ(泣)

 〔M〕:日付けデータはどうでも良いですから(汗)・・・一体、西洋音楽の何がマズイんですか?
 【koten】:古典音楽理論書の大ベストセラーであるキルンベルガーの「純正作曲の技法」を読んでいて、「長2度(8/9)」(すなわち周波数比8:9の大全音)に協和性が無い旨のことが繰り返し説明されているので、「何かおかしいな、この本」って感じ始めたんですよ。

 【イッテツ】:具体的にはどういった説明がされているんだい?
 【koten】:東川氏の訳本(春秋社)の34頁と35頁を拾い読みしますと、
『誰しも感ずるところでは、長2度には調和ないしは協和はない。・・・(中略)・・・短3度5/6はいつも協和音程と考えられるのにたいして、長2度8/9はきまって不協和とみなされる。・・・(中略)・・・耳にとっては8/9はすでに難しい・・・(中略)・・・8/9は確実に不協和なので、音程比7/8は、われわれの耳にとって、協和が終わって、不協和が始まる境界線であるように思われる。』
 と、もうこの2頁で、読者に押しつける&あたかも読者を一気に洗脳する(爆)かのように、「長2度(大全音)は不協和」ってことを繰り返し主張しているんですよ。何かオカシイと思いません?

 〔M〕:うーん、私は長2度(大全音)だけ特別に注意して聴いたことが無いから良く分からないですが・・。言われてみると、平均律の長2度(大全音)はそんなに綺麗な印象はないですよね。
 【koten】:いや、ここは平均律なんかじゃなくて、ちゃんとした「整数比」の和音の説明なんですってば。現代のモダンピアノ奏者ならスルーしてしまう記述かも知れませんが、例えば純正律やピタゴラス律をマスターされたヴァイオリン奏者とか金管奏者の方なら、この説明読んで「ふざけるなっ!!(激怒)」って憤慨するのが普通じゃないかなと、私思ったんですけど。
 【イッテツ】:ワシ的には確かにこの説明は嫌じゃな、ワシの愛するピタゴラスが冒涜されているような感じさえするな。

 【koten】:という訳で、私、居ても立ってもいられなくなって(笑)、先ほど純正律の8:9、9:10、8:9:10(大全音、小全音、大全音と小全音によるいわゆる「ド・レ・ミ」)を録音してみたんです。まずはこれを聴いて下さい。「ド・レ・ミ」→「ドレ(大全音8/9)」「レミ(小全音9/10)」の順で収録してます。電子チェンバロの音ですが、これでも十分に分かるはずです!!




 〔M〕:うーん、言われてみると、「レミ(小全音9/10)」よりは「ドレ(大全音8/9)」の方が遥かに綺麗とは感じますね。調和ないしは協和があるかどうかは、調和(協和)の定義が良く分からないのでコメントし難いですが。
 【イッテツ】:ワシ的には「レミ(小全音9/10)」はともかくとして、「ドレ(大全音8/9)」の方は綺麗に感じるぞ。これだけ綺麗なんだから「調和ないしは協和がある」って言いたいところじゃ。
 【koten】:そうでしょ、普通の感覚の普通の人だったら『ドレ(大全音8/9)は綺麗』って感じなきゃオカシイんですよ(笑)。トドメにこれ聴いてください。周波数比8:9:10の「全部鳴らし」ってやつです。




 〔M〕:あーー、これは綺麗! 何か体に「ビビっ!」て来ますね(笑)
 【イッテツ】:うぉ~痺れるな~!! 何か凄く良い感じじゃ。
 【koten】:これが「整数比和音」の本質ですよ。平均律で現代人が麻痺して失ってしまった「何か」がここに凝縮されているんです(笑)。

------------------------------------
 ナレーター:ここで10分間の休憩をいただきます。


---------第2部の開幕です-------------------------

【検証その2】:純正律やミーントーンにおける減4度ないし増三度(25:32)は、本当に「ウルフ和音」なのか?

 【koten】:じゃあ後半行きますね。次は可成り高度です。「反論者多発」は覚悟の上です(笑)。
 〔M〕:今度は何を検証するんですか?

 【koten】:純正律やミーントーンにおいて「減4度」とか「増三度」とか言われている周波数比25:32の和音を検証します。
 【イッテツ】:これは可成り複雑な和音じゃないか。これ、長三度としては「使い物にならない」和音なんだろ?
 〔M〕:「ウルフ三度」とも呼ばれてますよね。

 【koten】:そうです。この和音は私もずっと「不協和音」、「ウルフ三度」、「使えない音程」だとばかり思っていたんです。でも、昨日、この音程が「整数比」だと分かって驚愕して、さらには今日、インド音楽の音程を調べている内に、「それはちょっと違うんじゃないか?」、さらには『25:32すら音楽的に使いこなせないようじゃ、これはもう音楽家として失格(モグリ)ではないか?』とさえ感じ始めちゃったんですよ、実は(汗)。
 【イッテツ】:そりゃまた極端な説だね。反論来るよそりゃ(笑)。

 〔M〕:でも、今日、Enriqueさんへの追記レス(下記サイトのコメント欄)で説明されたように、
http://meantone.blog.so-net.ne.jp/2010-10-28
『インド音楽では長三度(4:5)と短三度(5:6)の中間の(三度)音程として沢山の種類の「中立音程」を使う』、この中立音程は『49:60, 40:49, 30:49, 49:80,・・・といった整数比で構成される』わけですよね。これって西洋音楽で使う整数比和音よりずっと複雑な比率ですものね。

 【koten】:それです、正にそれ。Mさんナイスフォロー!(笑) そうなんですよ。このインド音律の比率を見て、『インド人はこんな複雑な比率さえ使いこなしているのに、西洋人(さらにはキルンベルガーのあの(笑)記載)は一体何?、、何様なの?(爆)』って感じ始めちゃったんですよ。 それで、物は試しとばかりに、純正律(orミーントーン)のC-Cの1オクターブを3つの長三度、つまり①C-E、②E-G♯の2つの純正3度と、③G♯(A♭)-Cの所謂「ウルフ3度」に分けて弾いてみたんです・・・そしたらこれがまたビックリ!!!
 〔M〕:何が起きたんです?(汗)

 【koten】:ウルフなんて全然ないんです、G♯(A♭)-Cだけ弾いている分には。いやあ新発見ですよこれは。
 【イッテツ】:何じゃそりゃ? とりあえず音源を聴きたいところだね。
 〔M〕:同感です。聴きたいです。

 【koten】:じゃあ行きますよ。これです。あ、それから、この2つ目の音源では最後にワザとG♯(A♭)-C-D♯(E♭)のウルフ3和音を入れているので誤解しないで下さいね。ウルフとして聞こえるのはG♯(A♭)-D♯(E♭)のウルフ5度音程ですので。






 〔M〕:うーん。最後のウルフ5度は確かに酷いですね(汗)。25:32の減4度和音も、私の耳では「綺麗」には聞こえなかったです。
 【イッテツ】:ワシ的には、最後のウルフ5度に比べれば、25:32はそれ程ひどくは聞こえなかったな。

 【koten】:じゃあ最後にこれも聴いてください。前半が純正律のEの和音(E:G♯:B(H)=4:5:6)で、後半がEのオーグメント(5度を半音上げた)和音(E:G♯:C=20:25:32)です。どうぞ!!



 〔M〕:あ、なるほど、後半の和音もそんなに酷くないと言えば酷くない気がしないでもない(?)ですね。

 【イッテツ】:ワシ的には、前の和音は勿論じゃが、後の和音も何か「整数比」っぽい感じがしたな、確かに。
 【koten】:そうなんですよ!! 人間、耳が良くなればなる程、整数比に対する聴覚が、相当に複雑な比でも判別できるレベルまで研ぎ澄まされて来るはずなんですよ。実際インド音楽やっている人はその感覚持っている訳ですし。

 〔M〕:その「整数比」を嗅ぎ取る鋭敏な聴覚が、平均律ばかり使っていると「麻痺してしまう」ってことですね? kotenさんの仰りたいことは。
 【koten】:そうです、正にその通り!! 流石はMさん(笑)。 このままじゃ確実に、西洋音楽の人はインド音楽の人に馬鹿にされますよ・・・ってもう既にされているんでしょうけど(泣)。 だってインド人が、「あははっっっ、西洋音楽の奴らって、本っっっ当に頭が※(←ピー音)じゃないの!!! 『耳にとっては8/9はすでに難しい』なんて、それどんな音楽なんだよ! もぅ可笑しすぎて笑いが止まらないよ。」って陰で言っているのが聞こえるようじゃないですか(汗)。
 あと、これは補足ですが、昔の曲の楽譜を分析して実際にミーントーンのピアノで弾いてみると、上述した凄く広い3度やオーグメント(5度半音上げ)の和音を実に上手く使っている曲が結構あることが「確信」できるようになるんですよね。 ですので、近い内にそれを紹介したいなぁ、って思ってます。そんなところですかね、今日は・・。

 【イッテツ】:あと、お前さん、まだレジュメの「ティーブレイク」の内容を述べてないじゃん(笑)。
 【koten】:あ、そうか、そうですね(笑)。 ええと、今回実験してみて、上述した増三和音(オーグメント・コード)は、本来、純正律やミーントーンで演奏されるのが「筋」じゃないかなって思いました。いずれかの音律であれば、3つの音の周波数がキチンとした整数比(20:25:32)になりますので。
 逆に言うと、偉大な作曲家ならば、この整数比和音を曲の中で実に巧妙に上手く使っている訳で、それは純正律やミーントーンを勉強しつつ楽譜を分析すれば自ずと分かってくることであり、それに対して、平均律なんてインチキな音律(笑)使っていたら、この素晴らしい「知的価値」は逆立ちしても絶~~対に、分からない筈なんですよ、私に言わせれば(笑)。
  (【イッテツ】:やれやれ、調子に乗ってくると直ぐ「偉そう~」な論調になってくるよな、コイツ(笑))

 〔M〕:あれっ? オーグメント・コードって「3」和音ですよね? ミーントーンだと「純正よりも狭い5度」を使うので、整数比にならないのではないですか?
 【koten】:ちっちっち、Mさん読みが浅~い(笑)。オーグメント・コードは5度を半音上げるので、結果的に5度音程は使わないんですよ。(上述の例だと、純正3和音である4:5:6(E:G♯:B(H))の場合、E-B(H)が5度になるが、オーグメント・コードだとE:G♯:B♯(←つまりC)になるので、結果的にE-Cの「6度」となる。)
 1オクターブを3つの「整数比」の長3度に分割するのは、純正律もミーントーンも同じでしょ? オーグメント・コードでは、その分割配置された3つの音を使うことになるんです。
 〔M〕:なるほど~、納得です。
  (【イッテツ】:やれやれ、これも以前の「ピタゴラスコンマ無理数」論みたいに誤った情報だったりしてな(笑)、コイツ筆が滑りやすいから。読者の方も全て鵜呑みにするなよな、、、最終的には「アマチュアの独り言」だしな(爆))

 【koten】:ん? イッテツさん何か仰いましたか?
【イッテツ】:いやいや何でも(汗)。そろそろ気が済んだかい?

 【koten】:いやあ、おかげさまで。「喉につかえてた魚の骨が取れた」ような、そんな爽快感で一杯ですね今は(笑)。
 〔M〕:どういう例えですかそれは(汗)
【イッテツ】:じゃ、そろそろ終わろうぜ。 読者の皆さま、コイツの長文に付き合ってくれて有り難うな~!!

 【一同】:皆さま、良い芸術の秋を!!m(_ _)m
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Enrique

整数比と響きの美しさ。大変魅力的なテーマではあります。整数比についてさほど勉強しているわけでないのですが,整数比と聴覚との間に波の干渉があり,それらの波の干渉状態を美しく感じるかキタナク感じるかの心理的?生物学的?側面があるのだと思います。10/28の記事にコメントしてしまいました。
確かに人間の耳はオシロでなくてスペアナですので,波の干渉をすっ飛ばして周波数の比率で聞いている可能性はあると思います。でも「うなり」も聞きますので100%スペアナでもなく,音の高さ(スペクトル)を感じつつエンベローブくらいを聞いているのでしょう。
「真理はシンプルで美しい!」という考え方は全く正しいと思います。しかし,人間の聴覚とか美学的要素が入ってくると難しいですね。「美しい響きは整数比になっている」。しかし,逆の「響きは整数比になっている響きは美しい」とは必ずしも言えないですね。人間の聴覚という曖昧なものにさしかかると,とたんにムズカシくなります。
具体的な記事書いておられるのに,総論的コメントですいません。
by Enrique (2010-11-01 11:15) 

夢笛myu

はじめましてです。リコーダー&ギターで音楽を楽しんでおります、夢笛myuと申します。
私も「ドレ(8:9)」は十分美しいと思います。
リコーダーの楽器による音程のくせをつかみ、正しい音程で吹けるようになる訓練として、次のような練習をしています。
音の出るチューナーで「ド」を鳴らし続けている上に、「ドレミファ・・・」とか、「ドミレファミソ・・・」といろいろな音形を吹いて、きれいに?ぴたりとハマる音程を覚える、という練習です。(これは「純正律」になるのかな?)
この時「この音程はきれいじゃないな」と思うのは「ドシ(8:15?)」ぐらいで、他はみな綺麗にハマるポイントがあるように思います。
「ドレ」の時は、レを少し高めにすると綺麗にハマりますね。
リコーダーは平均律でできている楽器のが多いせいだと思います。
また、
リコーダーアンサンブルにギターで加わる時、ギターの「レ」の低さがいつも気になります。左手に余裕がある時は、無意識に引っ張り上げたりしていますね。
by 夢笛myu (2010-11-03 12:11) 

koten

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます。
コメント内容につき非常に深淵なテーマですので、表の世界(?)で話題にさせていただきました。m(_ _)m
by koten (2010-11-03 20:50) 

koten

夢笛myuさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

そうですよね、「美しい」ですよね大全音!
綺麗にハマる音程を覚える練習の方法、何か調律にも応用できそうな感じですね、情報ありがとうございます。
小生、今日は「文化の日」だし、今日くらいは生チェンバロ弾こう&チューナー使わずに調律しよう、と企てたのですが、純正5度は何とかできるものの、純正3度が未だに感覚が良くわからず、結局チューナー使って合わせてしまいました(汗)。
 そう言えば、私のmixiの日記のコメント欄で「リコーダー重奏で発する「差音」」について話題になってますので、mixiにアクセス可能&ご興味あればどうぞ!!(こういう話題が出ると、「やっぱりリコーダー奏者って音感良いな~」って感心しますね。)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1612424809&owner_id=17562685
by koten (2010-11-03 21:09) 

夢笛myu

mixiはやっていませんので、「差音」の論議には残念ながら加われませんが、
アンサンブル夢笛のブログに『和音はなぜ気持ち良いか?』について私が書いた一文があります。そこで「差音」について言及しています。
http://blog.goo.ne.jp/keimaro45/e/3c61d546b83b8660b84f02903b5ffd87
by 夢笛myu (2010-11-04 21:41) 

koten

 夢笛myuさん、再コメントありがとうございます。

 ブログ読ませていただきました。いやぁ分かりやすいですね、難解な理論を分かりにくく書いているサイトとは一線を画しているなと感じました。「振動数」の表現も確かに「周波数」よりも分かりやすいので、小生、これから前者の用語も使っていきたいと思います。ブログ内容につき非常に深淵なテーマですので、表の世界(?)で話題にさせていただこうと思います。これから記事を書きますね。
by koten (2010-11-05 13:09) 

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