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「古楽の音律(東川清一編、春秋社)」の紹介を試みる(その1) [音律関係の書籍の紹介]

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【koten】:えっ? あなたはオケの方ですか、それはどうも・・。はい? 西洋音楽では伝統的に3度の純正度が重要(理想)とされて来たこと、それに対して平均律は3度音程が非常に汚いことなんて、そんなこと『当たり前』だろうって? 「何でそんな当たり前の事をそんなにムキになって一生懸命説明しているのか」って?
 だって、私、その『当たり前』の事、20代後半になるまで全く教えてもらえなかったんですよ。しかも初めて教えてくれた人が、音楽の先生や楽器の先生ではなくて、(前に書いたように)「ピアノ調律師さん」なんですよ! こんなオカシな話しってありますか? 12平均律が「標準音律」である限り、この知識(歴史的事実)を学校(義務教育)で教えることは出来ないじゃないですか。だからですよ。
 12平均律を標準音律の座から引きずり下ろさない限り、この当たり前の知識(歴史的事実)を学校の「試験問題」で出すことすら出来ないんじゃないですかねぇ~?(笑) 

【イッテツ】:お前さん、今日はヤケにトゲのある言い方をするな(汗)
【koten】:あ、しまった。これ、イッテツさんに代わりに言ってもらえば良かったんだ(爆)。

【M】:・・・それで、仮に12平均律を標準音律の座から引きずり下ろしたとして、代わりに何を標準音律にすれば良いと考えてます?

【koten】:いやぁ、そこまではちょっと考えてないなぁ・・あははは
【イッテツ&M】:それじゃ駄目じゃん!!(←春風亭○太風に)

【koten】:いや、それは冗談として、無難な線としては1/6分割法(バロッティあたり?)じゃないですかね・・。表の調はミーントーンっぽく、裏の調はピタゴラスっぽいってことで。(これでも色々な人から反論来ると思うけど(汗))

【M】:でも、各音律を比較するための「基準となる物差し」としては、平均律は非常に便利ですよね。
【イッテツ】:それは全くその通りじゃ。あれ以上便利なモノはないんじゃないね? だから実際問題として、「今後も絶対に無くならない」じゃろうな。だからこそ、幾らケチョンケチョンにけなしても許されるわけだ(爆)、わっはっは。

【koten&M】:(「だから許される」ってのは何か違うような気もする・・・(汗))

【イッテツ】:それはそうと、今日は何の本を紹介するんじゃ?
【koten】:「ゼロ・ビートの再発見」、「響きの考古学」と来たら、次はやはり「古楽の音律」(東川清一編、春秋社)でしょ。

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【M】:でも、この本、私たちの間では未だ誰も完読してないですよね?(汗)
【イッテツ】:この本、何か難しいよな。最初にいきなり「1オクターブの幅を53に等分割する」、「その1オクターブの1/53を1コンマ(°)と呼ぶ」、『1オクターブは53°(「°」はコンマの単位記号)』って、訳の分からない定義を使い始めるし(汗)。
【koten】:いきなり面食らいますよね。しかもこれが「西洋音楽史上で長いあいだ愛用されてきた」(第14頁)らしいですからね。

【M】:面食らうと言えば、その前(第13頁)の記述(図(b))も凄いですよね・・「(b)18世紀に愛用されていた55分割法に基づく純正律音階」って、何、この「愛用されていた」って?本当?って思いました。

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【イッテツ】:15頁には、「デュルクやモーツァルトの場合、今触れた「55分割法」に基づいて音律問題を論じていたといえるのであるが、この55分割法はなによりも、音楽家にとって非常に分かりやすいという稀にみる特徴を備えている」って書いてあるぜ。
【M】:え~、「55分割」が分かりやすいんですかぁ?・・・そういえば、テレマンは、50何分割だかの平均律を愛用していたって話しですよね? これって別の何かの本に書いてありましたよね(?)
【koten】:ともあれ、12平均律に毒された現代の音楽家(プロ)がこの本を読んだら何て感想言うかな(笑)

【イッテツ】:でもさぁ、この本をパラパラめくって一番びっくりする現代人は、やっぱヴァイオリン奏者じゃね?
(↓第174頁の純正律運指表(1791年))

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(↓第178頁の中全音律的な運指表)
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(↓第193頁の「新ヴァイオリン教則本」の運指表(♯音が♭音よりも高くなる!))

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【M】:結論(第199-200頁)として、
---------------------
1 少なくとも18世紀中ごろまでは、ヴァイオリニストは一種の「純正律」ないし中全音律で演奏していた。 実際、
 1)彼らの長3度は純正であった
 2)シャープ音は、それと異名同音のフラット音より低く演奏された(たとえば和音ロ-嬰ニの嬰ニは、和音ハ-変ホの変ホより低かった)
ことを物語る証拠がある。
---------------------
・・って言い切ってますよね。

【イッテツ】:
 「公開のリサイタルにおいて5度がまる1コンマ(※注)ずれたとしても、人が思うほどに恐ろしい響きはしない(170-171頁)」、
 (koten※注:ここでの「1コンマ」とは、-22セントのシントニックコンマのことです。)

 「たとえばジュゼッペ・タルティーニは、自分は厳格に純正律を用い、そして5度ニ-イにおけるコンマも、「分割することなど考えず、自然がそれを配置したままの位置に」、そのまま残しておくと明言している。(171頁)」、
 「18世紀も中ごろ近くになると、シャープ音は異名同音関係のフラット音より高く奏されはじめた。・・・(中略)・・・いずれにせよ、ドゥルゼンヌの報告が明確に示しているように、19世紀の中ごろですら、純正律とピュタゴラス音律の葛藤は完全にはなくなっていなかった。(200頁)」、
 「さらに、ロビン・ストウエル〔Robin Stowell〕によると、「ヴィブラートをつけることは今日、弦の音律を絶えず伴奏楽器の音律に合わせるための、最も効果的な方法の一つと考えられるが、そうした実践が用いられたという証拠は、19世紀初期になるまではない(201頁)」、
 とか、何か色々書いてあるよな。

【koten】:あ、まずい、こんな時間だ(汗)。この本、とても一度では紹介しきれませんね(笑)。
【M】:とりあえず、今日のタイトルに「(その1)」って入れておきました(汗)

【イッテツ】:この本、「衝撃情報満載」ゆえか、入手しにくいよなぁ(定価は4200円じゃ!)。
【koten】:興味ある方は、オークションでアラート登録しておくと良いと思いますよ、大分ふっかけられるかもしれないけど(笑)。 

【一同】:それではまた!!
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Enrique

53平均律は12平均律と違ってかなり純正度が高いのですね(といってもぴったりではないですが)。なぜなら,ピタゴラスの5度回転を12回やると,(3/2)^12=129.7463379でこれが7オクターブ上2^7=128よりも結構大きい,これがピタゴラスコンマ(23.46セント)なわけですが,ピタゴラスの5度回転を53回やると,(3/2)^53=2151972563。これは31オクターブ上の214748364よりも大きいものの,高次のピタゴラスコンマは3.6セントに縮小されています。だから,こうしてできるオクターブ53音から音を拾えば最大でもこの程度のずれにおさまるという理屈で,この53回転のピタゴラス音律と53平均律はずれが少なく,仮に53平均律を使っても,純正律で使う音はほぼこの53音内に落ちるという理屈ですね。
by Enrique (2010-07-02 00:39) 

koten

Enriqueさん、コメントありがとうございます。

 うぉぉ、わかりやすいです! 素晴らしくわかりやすい解説ありがとうございます。 
 そうかぁ、「ピタゴラスの5度を53回」重ねて(積み上げて)行くんですね、なるほど! 流石はEnriqueさん!

 ん? とすると、55分割は、同様に「ピタゴラスの5度を55回」重ねる(積み上げて行く)んですかね・・・そしてこっちの方が高次のピタゴラスコンマが縮小されるとか? うー良くわからんですたい。

 しかしテレマン(←笛の名手!)って、53分割の音程を全部使い分けられたのでしょうかね・・・「愛用していた」っていうんだから使ってたんでしょうね、少なくとも笛では。
 (バロック時代の音楽関係の技術はもの凄かったらしいですからね、ジルバ-マンの1/6ミーントーンを例に出すまでもなく)

 あれあれ?、とすると、テレマンが笛で53平均律を使っていたとして、それを伴奏していた鍵盤楽器やリュートなどは、どういう音律を使っていたのかしら? ・・・うーん、謎は深まるばかり(笑)

by koten (2010-07-02 06:42) 

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